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最深層

実際にこういうことが起こんないように

教訓的作品です

「ってえ・・・」

タケルは目を覚ました

ここは巨大ビルの建築現場

場所はB5階 最も深い場所だ

タケルは、建設現場でバイトをしている20才である

体を動かすのが好きなタケルは、いろいろバイトを経験してみた結果、これが一番向いてると思い、このバイトをはじめた

タケルの所属している会社はいわば便利屋で、重いものの搬入や、現場の整理、掃除などが主な仕事であった

現場の親方に言われ、タケルは道具を取りに、資材置き場に来ていたのだ

スマホを見る

夕方5時を回っていた

「結構長いこと気を失ってたのか、やばいな」

タケルは大きな揺れを感じ、それが予想外に大きく、転倒して頭を打ち付けていた

だが、ヘルメットをしていたため、その程度ですんでいた


どういう状況か知りたかったが、スマホの電波は圏外だった

いったん廊下に出る

周りは暗くてまったく様子を確認することができなかった

ヘッドライトをつけ、様子を見る

タケルはわが目を疑った

外はがれきの山と化し、足場は崩れ、ほとんど通路をふさいでいたのである

さらに粉塵でろくに息ができない

口元を覆いながら、あたりを見回すが、視界はかなり悪い

「そんな・・・基礎工事がしっかりしてれば地震なんて起きたところでこんなことには・・・」

前方の通路はがれきで埋もれていたため、後方を確認する

こちらはまだ通路が確保されている

仮設の階段から地上へ上がれるか、と思い南の階段までやってきた

しかし、その期待を裏切り、簡単な鉄の棒で支えられていた階段は、根本から外れ、もはやただ逃げ道をふさぐだけの鉄の塊であった


廊下に戻り、どうにか出口を、と道を探していたところ、突然横の小部屋のドアが開いた

「・・・誰か、いたのか」

そこには、この現場の地下階を担当する現場の監督がいた

名前は確か鈴森だ

いったん小部屋に入って、話を聞いた

「監督さん、でかい地震があったみたいですね、他の人たちは?」

鈴森はこういった

「他の人らはちょうど昼飯どきで地下には来てなかった 私と君だけが閉じ込められたらしい それと、地震というのは間違えだ」

「地震じゃなけりゃ、なんなんですか?」

「耐震偽装だ、柱のコンクリが既定のものよりも細かったんだ とうとう、やっちまった」

「そんな・・・ここは○○建設の目玉っていうくらい大きな建築物でしょ?それを耐震偽装なんて」

「ああ、もう終わりさ、俺も、この会社もな」

と鈴森は言いながら、ため息を漏らした

「とにかく、ここで救援を待つしかない」

しかし、天井が崩れたとなれば、救援は相当な時間を要することになる

「いつ救援が来るとも限らないじゃないですか、一刻も早くここから地上に上がる手立てを考えないと」

「それは危険が大きすぎる おそらく私がここに残っているということは仲間も知っている 上で何か手立てを打っているはずだ、早ければもうあと1時間もすれば助けがくるはずだ」


しかし、1時間たっても何の音沙汰もなかった

スマホの電池もない

せめて電波の届くところまで行って、自分の居場所を伝えなければ、最悪、ここで力尽きることが予想できた

「監督さん、どうにかここから出ましょう 上のフロアに行く方法はないんですか?」

だが鈴森はまったく動く気配を見せず、あろうことかこんなことを言った

「やめておけ、この状況で一番いいのは待つことだ 時間が気になるのなら寝ちまおう」

そういって寝息を立て始めた

このままこのおっさんに従っていたら、ほんとに最悪の事態になりかねない

タケルはこっそりその部屋から出て行った


材料置きから、何か使えるものがないか探した

電線、ドリル、ハンマー、電気系の資材置き場に使えそうなものがある

「どこかで使えるかもしれない」

確認だけして、タケルは通路を探し始めた

南の階段はふさがれている

だが、階段を通り過ぎたの先の設備機械室と思われる広い空間に出ることができた

そこには巨大なタンクが置かれており、おそらく貯水槽だと思われた

空間の壁を補修するための足場はくずれ、とても登れる状態ではなかったが、この貯水槽のタラップは、貯水槽に固定されているため、上ることができそうだった

とにかく、上から様子を見てみよう、と思い立ったタケルは、そのタラップを上り始めた



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