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世界の行方  作者: くま
54/58

54. アベル伯爵護衛依頼30


顔に叩きつけられてくる風に目を細めながらも前方を見渡してみると伯爵の乗る馬車の窓が開き、ブレイアが顔を出す。

ブレイアはそのまま窓から杖を持った手を出すと口元がわずかに動いた。すると、それぞれの馬車の前方に馬車と同じ大きさほどの薄く緑色に輝く魔法陣が展開される。


「あれ、なんか風が弱くなりましたか?」


気付くと顔に叩きつけられていた風がなくなっていた。


「今回はブレイアの爺さんがいるからな、あいつは風属性の魔術が使えるから障壁でも張ったのだろう。」


レンヤは魔眼を発動させると馬車の前にマナが集まり、壁を形成しているものが確かに見えた。

そしてそれはご丁寧にというべきか、抵抗を受けないように先頭が尖っていた。


「まぁなんというか、こういう使い方もあるんですね...。」


レンヤは抱き着いてきていたティアを剥がすと障壁を観察する。


「なんだレンヤ、見えるのか?」


「?見えませんよ(・・・・・・)?」


「だよなぁ。他の属性ならまだしも風属性は目に見えないからな。」


ティアが無言でなぜかレンヤを見てくるがレンヤはそれを無視する。


「見えるわけないじゃないですか。はははー。」


障壁を詳しく見てみると薄く魔法陣が残っている。魔法陣の構造はファイアボールと良く似ており色が違うほか数点異なる点が見られる程度であった。


「(大体の構造は似ているのか...でもあの万年筆を使ってこれを描くのは少し...いや、すごい面倒いな。)」


胸ポケットに挿していた万年筆型の魔道具取り出して見るが、とてもこの魔法陣を描くような労働はしたくはない。

視線をそらして先頭の方を見て見ると草原の向こうに再び森が見えてくる。


森の中を入り爆走している馬車からのんびり周りを見てみるがゴブリンやら小型のオーク集団が見える...が...。


「なんか僕たち必要無いような気が来るんですが?」


困った顔をしてロベルトを見るレンヤであったが、ロベルトはこうなることが分かっていたようでコックリコックリと舟をこいで寝ていた。


「いや、なに仕事中に寝てるんですか...。」


前の方ではブレイアが張った障壁のせいでゴブリンたちがひき殺されていっている。


「...レンヤ、なんだか眠くなってきた。」


ティアもまたロベルトと同じように眠そうにしていた。


「いいですよー、ロベルトさんも寝てますし。」


レンヤがそう答えるとティアは荷台で横になり、レンヤの座っている太腿に頭を乗せて寝息をたて始めた。


「寝るの早いですよー。」


そういいつつ寝ているティアの頬をつつくとくすぐったそうに顔を動かすが起きそうな気配は無い。

そんな二人を見ているとだんだんとレンヤも眠くなってきた。


「ふあぁぁぁー。そういえば寝る時間が遅かったから少し寝不足かな。」


レンヤも手で隠しながらあくびを一つすると瞼が重くなって気づくと夢の世界へと旅立った。




「レンヤ、起きて。」


体を揺らされて目を開くと太陽が天高く、よりも少し傾く程であった。


「どうかしましたか?」


レンヤは眠い目をこすりながらティアを見てみるとティアはお腹をおさえている。


「...お腹減った。」


ロベルトを見ると豪快にいびきをかいており、未だに起きる気配は無かった。


「そうですね、ご飯にしますか。」


アイテムバックから今朝買ったばかりのパンやスープを取り出して食事にする。

他の馬車を見てみると、同じように食事にしたり昼寝をしていたり各々自由にしていた。


「自由だねぇー。」


相変わらず先頭の馬車の障壁にはべったりと血がこびり付いており、寝る前よりもその色が濃くなってきているためあの後かなりの数を轢いたのだろうと予想することができた。


食事が終わるとしばらく暇そうに外を眺めていたティアであったが、再び眠そうになるとまた寝息をたて始めた。


「食事の後に寝ると太りますよー。」


そんなレンヤの声も届かないと悟ると、レンヤは持て余した暇をどうしようかと考える。

生憎睡眠欲は先ほど満たしてしまっているため全くと言っていいほど眠くない。

カバンから先ほど食べたパンの包み紙を取り出すとそれを広げた。ファストフード店のハンバーガーの包み紙のように店のロゴが入っている訳ではないため白く、紙として使えそうであった。


紙を広げると馬車の荷台の前の方に座り、万年筆を取り出すと魔眼を発動させ、その魔法陣を書き写していく。


日が暮れるまでの間、時間にして二時間ほどであろうか、レンヤの手元には目の前にある風属性の障壁、ファイアボールをもとにアレンジした火属性の障壁であろうもの、風属性の障壁の規模を大きくしたもの等いくつかの紙が散らばっていた。


レンヤは周りが暗くなってきたことを確認するとファイアボールの魔術の魔法陣が描かれた紙を手に持つと魔力を注ぐ。

魔法陣が下からだんだんと赤色の光を放ちながら輝いていき、魔法陣全体が輝くとその紙が燃え、紙があった場所にはレンヤのこぶし程の火の玉が現れていた。


「大きさは思った通り、というかいつも使っていた大きさか...でもこれはマナを扱える人にしか使えない。もっと使いやすくする必要があるのかな?」


唸りながら悩んでいるとその日の野営地へとたどり着き、テントやら野営の準備を始めた。

その後も特に事件も事故もなく過ぎていく。


そんな風に日々は過ぎ去り、帝都まで残り一日というところまでたどり着くと事件は起こった。





飲酒運転はダメですよ。

法律をきちんと守りながら運転しましょう。


ただいま最初から修正作業を行っていますので改訂版はもう少しお待ちください。



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