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世界の行方  作者: くま
49/58

49.アベル伯爵護衛依頼25


先週はすみませんでした...


「...これがいい。」


ティアがいつの間にかレンヤの後ろに戻ってきており、その手の中に白く、少しの刺繍が施されたワンピースが握られていた。


「一つだけじゃなくていいですよ?」


しっかりと握っているところからこの服がよっぽど気に入ったのだろうか。


「...。」


「お金なら問題ないですから、大丈夫ですよ。それに着替えも必要ですからね。」


「あら、いらっしゃい。」


オロオロとしているティアを見ながらどうしようかと考えていると店の会計をするカウンターの奥から女性が出てきた。


「ごめんなさいね。ちょっと手が離せなかったもので。」


「いえ大丈夫ですよ、すみませんがこの子に合う服を見繕ってもらえませんか?僕はどうしてもこういうのは苦手なもので。」


女性はティアをチラリと首輪を見る。


「奴隷かい?」


「...奴隷に売るような服は置いてないということですか?」


この世界において奴隷に対する差別は厳しいものであることは分かっていたため、レンヤは比較的刺激しないように穏やかに言う。


「予算はいくらだい?」


「できれば金貨1枚以内におさめていただければいただければ助かるのですが。」


「奴隷の服に金貨1枚払うとはねぇ、よっぽどの物好きだね。」


「女の子ですからね。きれいな服を着せてあげないと。」


小さく笑いながら答えた。


「ま、いいんじゃないかい?私も普通の客と奴隷を区別するわけじゃないからね。さぁこっちにおいで。」


そういうと女性はティアの手を引いて服の並ぶ中へとまた消えていった。


「女性の買い物は長いと相場が決まっているからなぁ。たぶん時間かかるんだろうな。」


消えた途端女性の独り言のような、おそらく何がティアに似合うのかぶつぶつとつぶやきながら探している声を聴きながら、レンヤは日本において彩香と買い物で待たされたことを思い出しながらつぶやく。


「すいませーん、少し店から出てますのでその子お願いします。」


「やっぱりこの色かしら、でもこれから成長して大きく...えっ?あ、はい分かったわ、行ってらっしゃい。」


この人大丈夫なのか?と思いながらレンヤは店を後にする。

相変わらず人通りの多い通りを来た道とは逆に歩いていく。

やはり普通に食事だけできるような店は見つからず、どこを覗いてみても怖い顔したお兄さんが酒を飲んでいてティアの教育にはよくないだろう。

見た目だけ悪そうで話してみるといい人だったてことはレンヤにも経験あったが、さすがに人見知りそうなティアをうるさそうな店に連れて行く気は無かった。


「どっかいいところないかなーってなんだこれ?」


呼び込みをする店員の声を聴きながらずっとまっすぐ歩いていると大きな建物にたどり着いた。


"冒険者ギルド クランカ支部"


デカデカと書かれた看板を見て納得する。


「まぁ主要都市の1つならこれくらい大きくないと他への示しがつかないか。」


こんなに必要か?と言えるほどの大きさの建物に多少あきれながらため息を一つし、そうつぶやきながら中へと入っていく。

ずらりと並んだカウンターに営業スマイルを浮かべるイケメンや美女、大きな掲示板にあふれるほど張られた依頼書、そしてあふれかえる酔っ払いども。

となりに酒場を併設していれば当然そうなるだろう。


酒場の方へと歩き、申し訳程度に設置されたギルドホールと酒場との境界線らしき柵に近づくと小さな看板が目に入る。小さな黒板ような看板に書かれたメニューに酒はもちろんのこと、ちゃんとした料理からサンドイッチのような軽食まで幅広く書いてあった。そして所狭しと書かれたメニューの下の方に小さく持ち帰りできますと書いてある。


「いらっしゃませ!開いている席にどーぞ!」


看板を見ていたら酒場指定の制服を着たウェイトレスがレンヤに気付いた。

中をチラリと見るが席は大半が埋まっており、やはりティアを連れてくることは無理そうであった。


「あの、料理の持ち帰りってできますか?」


「はい、大丈夫ですよ。あちらのカウンターでご注文ください。」


「分かりました、ありがとうございます。」


通りかかった別の店員を呼び止めて聞いてみるときちんと持ち帰りは出来るらしい。

指された方向を見るとカウンターの一番端に"持ち帰り専用"と書かれたプレートが天井からぶら下がっている。


「いらっしゃいませ。注文をどうぞ。」


これまた見事な営業スマイルを顔に張り付けてある受付に迎えられて適当に肉や野菜が入っていると思わしきサンドイッチを二人分注文する。


「出来上がるまで少々お待ちください。出来上がりましたら番号をお呼びします。」


そういうと"Ⅰ"と書かれた番号札を渡される。


「はーい。分かりました。」


レンヤは返事をすると酒場から出てギルド受付ホールにある椅子に座る。

多少酒臭いが柵を超えていればむやみに絡んでくる暇人はいないであろう。

ボーっとギルド内を見ていても何もすることがなく暇なのでフラフラと掲示板の方向へ歩く。


「何か手ごろな依頼は無いかな...と言っても明日の昼には出ていくけど。」


掲示板には重ねずに冒険者に見やすくしようという意識はないのか、依頼書の上に別の依頼書を重ねていた。


場所柄しょうがないが腕試しの依頼書、貴族の騎士への採用または教育が多く、街での探し物も当然あった。


「Ⅰ番の方~、料理が出来ましたよ~。」


依頼を眺めていると後ろから番号を呼ばれる声が聞こえた。

この距離から返事をしても変に視線を集めるだけだと思ったため急いでカウンターに向かう。


そしてレンヤと入れ違うように一人のギルド員が掲示板のもとへ着く。


「もうこの依頼、掲示期間終わりだからはがしますか...。」


そういうとそのギルド員は他にないような古くなった紙を一枚はがした。



ども、くまさんです。


先週はすみませんでした。友人との呑みの約束を直前まで忘れていたため更新できませんでした。

大きな仕事が終わったはずなのに全く休めないのはなんでなんでしょう。

来週は分量多くして更新できると思いますのでご期待ください。

書き直しも始めてますのでよろしくです。

誤字等ありましたらいつも通りで。


ではでは。



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