47.アベル伯爵護衛依頼23
久しぶりの投稿!
短いですが...(´・ω・`)
「っくしゅん。」
体が冷えたのか小さくくしゃみをした。
ゆっくりと目を開けると窓の外は先程よりも暗くなったにも関わらず人通りが増えている通りが見える。
そのまま視線を下げると自分の膝の上に乗った状態で寝ていたティアがゆっくりと目を開かせている。
「ごめんね。起こしちゃったかな?」
「...大丈夫。」
ティアは目を擦りながら返事をし、大きな青い馬あくびをする。
「まだ眠い?」
「ずっと寝てたからもう眠くない。それよりもおなかへったの。」
「あ、そういえば毛布ありがとうございました。重かったでしょ。」
「毛布なかったら私も寒かったからいいの。」
レンヤから顔をそらして答えたティアの頬はいつもより赤くみえた。
「じゃあ晩御飯どこかに食べに行きますか。」
「うん。」
膝に座っているティアから毛布をどけるとするりとティアは床に降りた。
「さて、ご飯にするにしてもどこで食べようか...買ってきてここで食べてもいいけど。」
椅子から立ち上がってベッドに毛布を戻したレンヤが呟く。
「私はどっちでもいいよ。」
自分に聞かれたのかと思ったティアはレンヤの服の袖を引っ張りながら答える。
「でもティアさんあまり人族といたくないですよね?」
「...たぶん大丈夫。何かあったらレンヤが助けてくれる。」
「まあとりあえず通りを歩いて何か探しますか。」
「うん。」
荷物をベルトにつけてローブを羽織直しす。
ティアはローブを羽織るだけだったので直ぐに準備は終わりレンヤを待ち、レンヤが出掛けられる状態になるとドアの鍵をあけた。
部屋から出て鍵をかけるとそれを受付の人に渡して建物から出る。
「んー、何が食べたいとかはありますか?」
「...何か食べられるだけで十分に嬉しい。」
「とりあえずまわりますか。気になる店があったら言ってくださいね。」
大通りに沿って歩き始めるが面している店はどれも飲み屋が多く酒で酔っぱらっている人がそこらじゅうに見られた。
幸いにもレンヤたちに絡んでくる人は今のところはいなかったが酔っぱらいで混雑している通りは歩きづらく、ティアは大丈夫かと思い振り替えると案の定人の波に流されかけていた。
急いでその場に戻るとレンヤはティアを持ち上げて昼間のように腕に座らせる様に抱き抱える。
「すみません、もっと早く気がつけばよかったですね。」
「私も一人で歩けると思っていたから。ごめんなさいなの。」
「このまま抱えていくけどいいですか?」
「その方が二人とも安全なの。迷子にもはぐれたりもしないから。」
了承が貰えたところでレンヤは よいしょっ と抱え直すと再び歩き始める。
「其れにしても見事に飲み屋だけですね。」
入れそうな店は無いものかとため息混じりに言ってみたがティアからの反応が無かったため顔を見てみると遠くの方のお店をじっと見ていた。
「ティアさん?どうかされましたか?」
レンヤも同じ方向を見てみると理由が分かったような気がした。
「はぁ?獣人の分際で人様に楯突こうってか?」
酒でも呑んでいたのであろうか、若干顔が赤くなり足元もふらついている冒険者風の男二人組が建物と建物の間、狭い路地で言い争っていた。
どこかの店の店員であろう獣人の女性がかなりの怪我を負って地面に倒れている状態ではあったが。
レンヤは手でティアの目を覆い見えなくなるように隠す。
「そんなにじっと見ていたらこちらにも被害が飛んできますよ。」
「...あの人どうなるの?」
ティアは盗賊の所に居たためかこのような状況でどうなるかくらい知っているのであろう。
それでも聞いてきたのは確かめるためかそうでないことを望んでいるためか。
「ティアさんの想像通りと思いますよ。」
あまり子供に言いたくはないことなのでぼかして答える。
ティアもそれで察したのかレンヤの服を掴む手に力が入った。
「...やっぱり獣人だからダメなの?」
「違いますよ。今回は相手が悪かっただけです。」
現に帝国では人種による差別は国の規模では行われていない。
表向きでは。
どこの国でも抱える闇はあり、実際がどうなのかは誰も知らない。
そっとティアの目を隠していた手をどける。
「私はたまたま運が良くてついてただけ?」
「まあそういうことになりますかね。」
「...助けてあげられないの?」
同じ獣人、そして虐げられた境遇からティアはレンヤにすがったのだろう。
「残面ながら助ける義理はありませんよ。」
「...。」
分かりきっていた答えに言い返せずにうつむく。
「レンヤは獣人だから助けてくれないの?」
「別に獣人だからではなく自分に関係がない、メリットがないということですよ。」
ティアを抱えたまま歩き、問題の路地に近づいていく。通りかかる人も普段からの見慣れた光景なのか、無視や顔をそらしていた。
「私の時みたいに人助けってことでは?」
「ティアさんはまだ子供ですからね。」
「何かメリットがあればいいの?」
「保護してもらっている身で何か提示できますか?」
「...私の家はそこそこ裕福な家だったから無事に国まで送ってくれたらお礼が出せる。」
「僕がティアさんを送っていかないという可能性もあるんですよ。それにティアさんが誘拐?されてから随分と年月が経ってしまいましたから今まだ無事なんてことは無い可能性もありますよ。」
「だったら私がずっとレンヤの奴隷に 「そんなこと冗談でも言ってはいけませんよ。」。 」
ティアが言いそうなことが分かったため途中で口をはさんで言わせないようにする。
そう言っているうちに真横に来そうな距離まで来てしまっていた。冒険者風の男二人のうち一人は割れた瓶を持っており地面に破片、そして女性の頭から血が出ていることから殴られたのであろうと考えられた。
女性の方も多少ではあるが服を破かれなどしていたが全身に怪我がある状況にも関わらず抵抗している。
店の人はなにをしているのかと思い店内を見てみるが誰も助けようとする様子はなかった。
確かに冒険者風の二人は鎧を着ており、身長ほどあるかなり大きな両手剣を持っていればかなりの手練れだと思い、こちらに被害が飛んでこないのであれば放置したくなるのも分かる気がする。
横を通り過ぎるとき駄々をこねるようにティアはレンヤの服をつかんだままレンヤを叩く。
「(確かに見ていて愉快なものではないよね。)」
軽くため息をすると踏み出そうとしていた右足にマナを集中させて地面についた瞬間に地面を這うようにマナを流す。すると男二人に近い方の建物と足元に計八個の小さな魔法陣が浮き出た。その直後地面から四本の細い棘が付きだしてきて二人の足を貫くと同時に似たような棘が壁から四本出てきて男たちの二の腕に刺さる。そしてその棘にはご丁寧に返しまでついており抜くのは困難な上に折れないような硬さなので二人は動くことが出来ないであろう。
突如現れた棘と男たちの苦痛による叫びで通りは一瞬静まり返り何事かと野次馬が群がってくる。その間に女性は何とか立ち上がると店の中に戻り奥の方に入っていった。
ティアはレンヤよりも目線が高くなっていたため何が起こったのかはっきりと見ていたのであろう。
おもむろにレンヤの顔を見るがレンヤはまっすぐ向いたまま歩き続けている。
「どうかしましたか?」
ティアは腕をレンヤの首に回すとレンヤに抱き着いた。
「...ありがとう。」
「...なんのことですかね?」
「やっぱりレンヤはいい人なの。」
「まったく身に覚えがありません。」
「それでもありがとうって言っておくの。レンヤはメリットがなくても良いことをした。」
「...見ていて不愉快だったからですよ。自分のためです。」
「何かあったの?」
ティアはレンヤの顔を覗き込むがそこには無表情なままのレンヤがいた。
「所詮どんな善行を積もうがそれは自己満足な偽善って前に知り合いから言われたんですよ。」
「...。」
「あ、あそこに服が売ってるお店がありますからティアさんの服を買いますか。今のままでは汚れてますからね。幸いお金はありますし。」
そう言ったレンヤの顔はいつも通り微笑んでいるような優しい顔だった。
どもども( *・ω・)ノ
くまさんです。
暫く更新できずにすみません...
2月までこのような状況が続きますがどうか待っていていただけると幸いです(´・ω・`)
ZZさんの感想への返信でも書いた通りですが書き直す時間がないので大きく編集するのは2月の中旬以降になります。
誤字等ありましたらいつも通りで。
ブックマーク登録してない方はしてくれたら嬉しいです!(*´∀`)
ではでは( *・ω・)ノ




