40.アベル伯爵護衛依頼16
前話追加更新してるので読んでない方は是非( *・ω・)ノ
誰かに体を揺すられている感じがする。
だんだんと奥深くに沈んでいた意識が覚醒してきたため目を開ける。
目を開けると体に何かが掛けられている感触があり触るとレンヤがティアに魔術を教える前に出しておいた毛布であることが確認できた。テントの中を照らしている光の球はまだ光り続けておりその横でティアがレンヤの顔を覗き込んでいる。
「すみません、いつの間にか寝てしまっていたみたいですね。」
「...大丈夫。レンヤも疲れてるからしょうがない。あとエリカ?さんがテントの外で呼んでる。」
「もう交代の時間ですか。ありがとうございます。僕は今からロベルトさんと見張りを交代するのでちゃんと寝ておいてくださいね。」
「...ティアも手伝う。」
「そんな無理しなくてもいいですよ。顔に疲れが表れてきてます。きちんと寝てMPを回復しておいてください。」
「...分かった。」
「それでは行ってきます。」
軽く服装等を整えて光の球を消してテントの外に出るとロベルトもちょうどテントから出てきたタイミングであった。
「お待たせしました。交代します。」
「後は俺らがやっとくから寝てきていいぞ。」
焚き火の近くまで行きフェリプとエリカに声をかける。
「後は頼んだ。」
「よろしくお願いしますー。」
フェリプはいつも通りに淡々と、エリカは語尾が延びて眠そうな声で返事をして二人で用意しておいたテントの方へと歩いていった。
「フェリプは大丈夫そうだがエリカは護衛任務に慣れていないな。」
「まぁまだ若いですから経験が少ないだけですよ。夜の見張りって結構暇そうですし。」
「なにも起きないのが理想的だが盗賊か魔物の群れが襲ってくることなんて良くあることだ。それにどちらかというと今からの時間帯の方が襲ってくる可能性は高い。」
先ほどまで寝ていたせいかロベルトのまぶたは重力に引っ張られるかのように下へと落ちては上に持ち上がることを繰り返していた。
「ロベルトさんまだ寝ていても大丈夫ですよ?」
「おれはレンヤと違って冒険者歴が長いから大丈夫だ。」
「そうですか、とりあえずここに座りましょうね。」
まるで酔っ払った人を介抱するように怒らせないように気を付けながら焚き火の近くまで誘導する。この状態の人はなにがなんでも原因で怒りだすか分からないことはレンヤも散々知っていたため慎重になった。
「流石に夜は冷えますからこれを使ってください。」
そう言い持っていた毛布をロベルトへと差し出す。
「ありがとう。」
のそのそとそれにくるまると目は開いてるが動かなくなった。
アイテムバックから小さな鍋を取り出して布袋に入っている水をその中に注ぎ火の上にかざす。鍋がおけるような台があればよかったのだが生憎持ち合わせてなかったので我慢強く沸騰するまで待つ。沸騰したら火から離して少し冷まし持っていたコップに注ぎ、ロベルトへと差し出す。
「コーヒーとか持ち歩いていれば便利なんですけど流石に無いのでお湯で我慢してください。」
「すまない、ありがとう。」
ロベルトは毛布にくるまりながらチビチビと飲んでいく。
「すまないな、やっと目が覚めてきた。」
コップが空になる頃にようやくいつものロベルトの様子に戻ってきた。
「おはようございます。っと言ってもまだ夜明け前ですけどね。ロベルトさんって寝起きが弱いんですね。」
「あぁ、いつもに朝目が覚めたときはこんな感じだ。少し時間が経ったらスッキリとするんだ。」
確かに人間の脳は起きてから本調子になるまで時間がかかるなんてことを聞いたことがあった。
「目が覚めたらトイレに行きたくなってきたな、ちょっと行ってくる。」
「あ、はい。暗いので気を付けてくださいね。」
背を向けたまま手を振りロベルトは暗闇にまぎれていった。
この世界、そしてこんな砂漠に公衆トイレがある方がおかしいのでまぁ地面に穴でも掘ってするのだろう。
そんな事を考えながらも夜の見張りとしての責任を果たすために自分のマナを薄く広げていき気配を探る。近くにロベルトやテントで寝ている人の気配を察知するもその他には急いで迎え撃つ準備をしなければいけないような距離に敵の気配は確認できなかった。
「この感じだったら今晩は大丈夫かな。ま、確認できた範囲内の敵も少数ずつだから迎撃はできるけどね。」
自分用に再びお湯を沸かしながら呟くと後ろのテントでゴソゴソと音がする。振り返るとティアが毛布にくるまったままテントから出てきてトコトコとレンヤの方へ近づいてきた。
「ティアさんどうしました?眠れませんか?」
ティアの顔にはまだ疲れが残っておりあまり寝れていない様子であった。
「...一人は寂しい。」
「そうですか。隣に来ますか?」
きっと小さい妹か弟が居ればこんな感じだったのかな?と思いながら優しく話しかけ、自分の隣に座らせる。
レンヤの隣に座ったティアはレンヤにもたれ掛かるように体を傾ける。
レンヤはそんなティアの頭を優しく撫でるとティアの頭を自分の太ももにのるように倒し、優しく撫で続けた。
ティアは特に何も言わなかったが小さく笑うとその目を閉じ、いつの間にか寝息をたてていた。
ふと気づくとロベルトが少し離れたところに座っており、ニヤニヤと笑いながらレンヤとティアを見ている。
「トイレが長いと思ったら何をしてるんですか。」
「いや、帰ってきたらなんか良さげな雰囲気だったから邪魔するのもどうかと思ってしょうがなくニヤニヤしながら見てた。」
「はぁ、絶対しょうがなくなんて思ってませんよね。」
多少の呆れを込めながらロベルトに言うとそう答えが返ってきた。
「しかしレンヤがそうするなんて思わなかったな。」
「意外ですか?」
「そうだな、肩に頭をのせたところで終わると思ってたからな。」
「何ででしょうかね?弟か妹がいればこんな感じなのかと思っただけですよ。」
「俺も兄弟はいないから分からないな。しかしホントに幸せそうに寝てるな。」
「まだ子供ですからこれくらいの幸せぐらい感じさせてあげないとかわいそうですからね。」
「...レンヤってそんな性格だったか?」
「ロベルトさんは僕を何だと思ってるんですか...まぁまだ寝起きってことで頭が働いてなかったということにしておいてください。」
「そうだな。お互い寝起きだからしょうがないな。」
そのあともたわいもない話を続け気がつくと空が明るみ始め、一番始めにブレイアがテントからでてきた。
「ロベルトさん、レンヤさん、おはようございます。何か異常はありませんでしたか?」
「おはようさん。特にはなかったぞ。」
「おはようございます。魔物や賊が来ることはありませんでしたよ。」
「そうでしたか。来ないに越したことはないので良かったです。私は主様を起こす準備がありますのでこれで失礼します。」
そう言うとブレイアはアベル伯爵の寝ているテントへと向かっていく。
「すごい今さらなんですが伯爵の寝ているテントの入口に騎士から誰か見張りを付けていなくて良かったんですかね?」
「そういえばそうだな。ま、見張りをつけるかつけないかはその貴族様が考えることだ。自分で自分を守れるかまたは自信があるのか、それともよっぽどのバカなのか、まぁあの伯爵様のことだから最後のやつだろうとは思うけどな。」
「...ロベルトさんってやっぱり伯爵様と何か関係がありますよね?」
「だからちょっとした知り合いなだけだよ。それ以上の関係になんぞなりたかねぇよ。」
「まさかロベルトさん、あっち系ですか!?」
「違うわ!俺は女が好きなんだ!じゃないと結婚なんてしてねぇよ!」
「今の発言女ったらしみたいですね。」
「言わせたのレンヤだろ!」
その時ゴソゴソと音がし、下を見るとレンヤの太ももに頭をのせたまま寝ていたティアが動いていた。
「ほら、ロベルトさんが騒ぐから起きてしまったじゃないですか。」
「いや、それはレンヤが...すまん。」
「...おはよ。」
眠そうに目をかきながら上半身を起こしたティアは周りがまだ薄暗いことに気付く。
「...おやすみ。」
そして再び夢の世界へと旅立った。
ども( *・ω・)ノ
くまさんです。
いつもより文量が少ないかもですが気にしないで下さい。
誤字等ありましたら感想欄にてです。
そういえば感想を新たにもらいました( ´∀`)
読んでくださってる皆さんのおかげでここまで続けてこれてます( ´∀`)
まぁ読んでる人いなくても自己満足で書いてたと思いますが... 笑
それでも感想もらうのは嬉しいですね。
次はまた来週?でしょうかね?
ではでは( *・ω・)ノ




