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世界の行方  作者: くま
36/58

36.アベル伯爵護衛依頼12

後書きでお知らせあります。

「一旦休憩を入れましょう。」


レンヤとロベルトが話ながら歩いているとブレイアが騎士たちが疲れてきているのに気付き言った。

下が砂漠ということもあり、輝く太陽によって砂は熱くなっており騎士達はそれぞれカバンから簡単な三脚式の椅子を取り出して座る。

レンヤはローブのおかげで熱さは気にならずロベルトはそもそも熱さを気にしないようで二人そろって砂漠の上に座った。


「そういえばレンヤ、ブレイアに言ってきたらどうだ?」


座り込んで一息ついたロベルトが思い出したようにレンヤに言った。


「あっ、そうですね。ティアさん起きてますか?」


「...起きてる。」


そう言うとローブの首もとから頭を抜いて、ゴソゴソとローブの中から出てきた。


「歩けますか?」


背負ったままブレイアに会わせることも出来たが、ティアにも初めて会う人に弱みを見せたくないというプライドがあるかもしれないと思い一応聞いてみる。


「...」


無言で右手をレンヤに差し出す。


「はいはい、分かりましたよお嬢様。」


からかいながらレンヤは立ち上がると左手を出してティアの手を支えるようにつなぐ。


「では行ってきます。」


振り返りロベルトに言う。


「おぅ、多分大丈夫だろうが行ってこい。」


ティアの足はとても細く、筋肉なんてほとんどついていないので生まれたての小鹿とまではいかなくともゆっくり一歩ずつ踏みしめるようにしか歩いていくことができない。


「ブレイアさん、少しいいですか?」


ブレイアはレンヤとティアが向かってくることに途中から気づいていたが自分からは近づかずじっと二人が来るのを待っていた。


「どうかされましたか?」


「先ほど森の中で盗賊に尾行されていまして手を出される前に壊滅させたのですが、その時奴隷がいて連れてきてしまったので帝都まで同行させたいのですがよろしいでしょうか?」


ブレイアはじっとティアを見ると口を開く。


「お名前は何ですか?」


「...ティア...です。」


「ティアさんですか、首にあるのは奴隷の首輪だと拝見しましたが契約はされているのですか?」


「まだしてない...です。」


「無契約の状態は危ないのですがよろしければ私が契約相手になりましょうか?もちろん帝都につきましたら解除します。」


「...いい、レンヤと契約するから。」


そう言うとティアは繋いでいた手を離してレンヤの後ろへと隠れる。


「ほっほっほっ、振られてしまいましたな。」


「お気遣い感謝します。」


「この護衛の列の責任は私に任せられていますから大丈夫だとは思いますが一応伯爵様にも報告させていただきます。」


「分かりました。よろしくお願いいたします。」


「伯爵様、お聞きになっていたとは思いますがよろしいでしょうか?」


突然ブレイアは馬車の中へと話すと、馬車のドアが少し開きアベル伯爵が隙間から顔を覗かせティアとレンヤを見る。


「ブレイアに任せる。」


レンヤからははっきりと見えなかったが微かに笑ってアベル伯爵は答えているように見えた。


「伯爵の許可もおりましたし、早く契約なされるのがよろしいでしょう。契約方法は知っていますね?」


「あ、大丈夫です。ロベルトさんに教えてもらうので。」


「ロベルト殿ですか...なら大丈夫でしょう。レンヤさんの契約が終わり次第出発にしましょう。」



「分かりました。ありがとうございます。」


挨拶するとレンヤたちはロベルトの元へ戻る。この時体力の限界からかティアがフラフラしていたので片腕で抱きかかえて肩にのせる。

ティアも体力が少ないのを自覚していたのか暴れることなく素直に従った。





「おぉー帰ってきたか。」


「はい、無事了承貰ってきましたよ。」


「おぅ、そんじゃちゃっちゃと契約するか!ってティアちゃん眠そうだな。」


「...大丈夫。疲れただけ。」


「おいおい、そんなに動いてないだろ。」


「まぁまぁ、ティアさんはもともとあまり筋肉ついてなかったんですからしょうがないですよ。契約、また次の休憩の時にしますか?」


「大丈夫...直ぐに終わらせる。」


「だそうで。ロベルトさん、お願いします。」


「おぅ、任せとけ!そんじゃお二人さん、向かい合うように立ってくれ。」


レンヤは腕からティアを降ろすと自分の前に立たせるが、まだ足元が不安定だったので手で支えるようにする。


「あぁ、そのままでいい。じゃぁレンヤ、次はティアちゃんの首輪に軽く触れてくれ。」


左手で支えながら右手で軽く首輪に触れる。


「次に俺の言う言葉を繰り返してくれ。“我求むるは忠誠、汝の全てを捧げよ”」


「“我求むるは忠誠、汝の全てを捧げよ”」


すると首輪から蛇のような光が出て来てレンヤの左手首に巻き付く。


「じゃぁティアちゃん、レンヤの右手首の光に血を垂らしてくれ。」


レンヤはこの状態のティアに刃物で傷つけるのは気が引けたので他の手段を聞く。


「ロベルトさん、血じゃないといけませんか?ティアさんだいぶ弱ってますし...」


「まぁ、血が一般的なんだがな。忠誠をたてるって意味だから他にキスとかもあるが...」


「ティアさん、ちょっとチクッとしますけど我慢してくださいね。」


ロベルトの返事を聞くと直ぐにレンヤはカバンから門番に貰った短刀を取り出す。


「直ぐに終わりますからね。」


レンヤは支えていた左手でティアの左手を取ると右手に持った短刀でティアはの人差し指に軽く傷を入れようとする。しかしティアは左手を引っ込めると、引っ張った反動でティアの方へと倒れるように近づいてくるレンヤの右手首に顔を近づけてキスをしようとする。


「あっ、ティアさん危ない!」


レンヤはティアの顔が近づいてくる段階で何が起こるかだいたい理解していたが、このままでは短刀でティアの顔に傷がつくためとっさに手を離して短刀を地面に落とす。


地面に短刀が落ちるのとティアの唇がレンヤの右手首に触れるのは同時だった。


状況を見届けてからロベルトが口を開く。


「まぁいいか。ティアはちゃん、次は俺の言う言葉を繰り返してくれ。“我、汝に忠誠を誓い汝を守るものとならん”」


「...我...汝に忠誠を誓い...汝を守る...ものとならん」


ティアが言い終えるとレンヤの手首に巻き付いていた光の輪が消え、手首には幾何学模様の黒い刺青のような痕が残る。


「ティアさん、何か言うことはないですか?」


レンヤが両手を腰に当てて聞く。


「...悔いはない。」


「ティアさん!危なかったでしょ!刃のも持ってるんですから急に近づいてきたらダメじゃないですか!」


「...ティアは近づいてない.._引っ張ったらレンヤが近づいてきた。」


「いやまぁそうかもしれませんが...はぁ、今回は怪我しなかったので良しとします。ティアさん、無事に契約終わったみたいですが何か違和感ないですか?」


「...大丈夫。今のところは。」


「ロベルトさん、契約した後に気を付けないといけないことって何かありますか?」


ティアのことを含めて聞いてみる。


「奴隷になったからって体調不良になんかならなんぞ。んーそうだな、時々奴隷目当てで主人襲ってくる輩がいるくらいか?」


「物騒ですね。まぁ大丈夫だとは思いますが。あ、そういえばティアさんのお腹にある獣人国の契約の儀式の模様って消さなくていいんですか?」


「ん?それは大丈夫だろ。その模様があればこの後もスキルを上達させたりできるからな。残しておいたからって何もないぞ。それに俺たちにもあるじゃないか。無いと困るだろ。」


「え?」


「いやいや、お前さんもスキル持ちなら国で契約の儀式してるだろ。じゃないとスキルは覚えられないし上達もしない。各国もすることを義務化している。腹じゃなくてもどこかに国の模様が、レンヤなら王国の紋章が刻まれているはずだぞ。」


「あ、あぁ、あれですか。ありますよ。(いやいや、聞いたことないんですけど。)」


「ちなみに俺なら腕にある。」


「...ティアはお腹。」


ロベルトは袖をまくって紋章を見せようとするがそこでブレイアから声が聞こえる。


「みなさん、そろそろ出発にしましょう。」


「出発か、また今度見せてやるよ。」


「そうですね。移動しながらは無理ですから。ティアはさんはどうしますか?」


ティアは相変わらず無言で両手を腰にレンヤに向けて挙げる。


「さすがにまだ厳しいでしょうからね。」


レンヤは再びティアに背を向けてしゃがみ、おぶれるようにする。しかしティアがなかなか乗ってこずどうしたのかと後ろを向くと、何かを考えていたように固まっていたティアが動きだしレンヤの上に乗る。今回は先ほどまでのおんぶとは違い、そのままよじ登りレンヤの肩に座る。


「...ふぅ。」


登りきった達成感に浸っていたティアだが次に現実を思いしる。


「...暑い。」


先ほどまではローブの中にいたため暑さは感じてなかったが今はローブを来てないため太陽の熱が直にあたる。


「ローブの恩恵が無いですからね。」


ティアはフードだけでもと自分の頭に被せるが隠せたのは頭だけで再び呟く。


「...暑い。」


レンヤは肩からティアを降ろすとカバンから予備のローブを取り出してティアに着せる。サイズは大きいのでレンヤから見ても分かるほどにブカブカであり袖や裾が余りまくっている。

レンヤはティアにフードを被せると再び肩にのせて立ち上がる。


「これで大丈夫ですか?」


「...ブカブカ、前見えない。」


「これくらいは我慢してください。」


レンヤは小さく笑うと歩き始めた護衛の列の最後尾について歩き始めた。


今週も無事投稿できました。

来週はすんません、多分できません。

いや、フリじゃなくてホントに(´д`|||)


ってことで次は未定となっています...


あ、そういえばブックマーク75いきました( ´∀`)

地道に増えていくようすは嬉しいですね!

皆さんありがとうございます(*´∀`)


誤字等ありましたら感想欄にて...


ではでは( *・ω・)ノ


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