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叫ぶ人 3
『叫ぶ人:服のこだわり』
「今年の流行色はこれなのよー。」
「今年のはやりの素材はこれでね、形はこれなの。」
「いかがですかー?今年人気のものですぐに売り切れてしまうんですよー。」
私は無表情で店から去っていく。そして湯船で叫ぶ。
「うっせぇ!流行っていようがいまいが、好きな色は変わらねぇし、形も決まってんだよ!今年しか着れねぇような服を大量に作りやがって!」
上に上がると、結構息が上がっている。
空気を吸い込んで再び潜る。
「流行と趣味が一致した年に恥ずかしくて、好きな服が着れないじゃないか!馬鹿野郎!」
私は湯船から顔を上げるとため息をついた。
「でも、好きな色の服が大量に出回ると買うのは楽だな。」