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『叫ぶ人:服の色』
『叫ぶ人:服の色』
「あたしぃ、赤と黒が好きなの。全身コーデ、その色にしているのよ。」
「似合うよ。ほら、この間のあの子、ダサい恰好してたよねー。あの色が似合うと思ってるのかなぁ。」
「あーねぇ。黒のストールに埃とか、ありえないよねぇ。」
私はとりあえず、彼女たちの前に立っている。そして家の湯船で叫ぶ。
「電車で人が乗ってきてるのに、席三人ぶんを太めの足を広げて、二人で占拠してつめない女どもに他人を批判する権利はないんじゃあ!」
上に上がると、結構息が上がっている。空気を吸い込んで再び潜る。
「こだわるんだったら、爪先のマニュキアの剥げにこだわれよ!ついでに顔も塗っちまえ!」
私は湯船から顔を上げるとため息をついた。
「服は似合ってたけど。」




