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9.私立英館学園編

英館の食堂は敷地内事に小学部から高等部と大学部のそれぞれにある。どちらも学生食堂というよりホテルの中にある豪華なレストランを思わせる。また奥の方にはステージ場になっておりさっきまでチラシを配っていた吹奏楽部が演奏をしていた。真由美は案内されたテーブルに着くと早速メニュー表を見ながら、

「さて思いきっり食べるぞ。何たって全部無料だからな。」

 と意気込んだ。

「今日は色々と大変ですね。」

 ケイコは食堂を案内してくれた男子生徒に話しかけた。

「そんな事ないですよ。僕たちより文化部の奴らが大変です。文化部の連中は色んな催し物に参加しないといけないし、今演奏している連中なんて終わったら次は校庭と体育館で演奏があるからそれに比べたら運動部に所属してる僕らは楽ですよ。」

「文化部以外の人たちはどうしてるんですか。」

「ここの学校は学年が3クラスずつしかなくて、学年事に仕事の内容が分かれてるんですよ。文化部に所属していない運動部または帰宅部の連中は外来から来ているお客の持てなしか文化部の準備の手伝いをしています。僕の学年は食堂のウエイトレス係りか屋台係りの担当になります。」

「ちなみにあなたは何の運動部に入ってるの?」

「僕ですか。一応サッカー部に所属していますね。」

「サッカー部なんて格好いいですね。それに容姿端麗な上に頭脳明晰だから女の子からもてるでしょう?」

 ケイコは一人ではしゃいでいた。

「嫌そんなにモテ無いですよ。」

 と言ったが嬉しそうにしていた。それを聞いていた花香が冷ややかに、

「人間は中身よ。いくら頭や顔が良くても中身が大事なのよ。あなたを見ていると人間として価値が無いよに。イタッ。」

 花香は思わずしかめっ面をした。テーブルの下で足をケイコから蹴られたのだ。何にも知らないセイカは苦痛な表情をしている花香に気付き、

「どこか痛いの。大丈夫?」

 と心配そうに聞いた。その時突然

「よっしゃ決まった。私はこのメニューの中で一番高いステーキにするぞ。」

 と真由美が叫び声を上げた。

「もううるさいわね。演奏を聴いている人たちに迷惑でしょう。本当にすみません。」

 ケイコがそう言うと、

「大丈夫ですよ。なかなか面白い人達ですね。外の人達はご注文が決まりましたか。」

 英館の生徒は少しはにかみながら言った。外の3人もケイコはパスタを注文し、花香はラーメンで、セイカは牛丼をそれぞれ頼んだ。

「分かりました。しばらくお待ち下さいね。」

 と英館の生徒は注文が終わるとその場を離れた。ケイコは一人見送りながら、

「なんて素敵な人なの。千載一遇のチャンスだわ。」

 と呟いた。しかし英館の生徒は、その男子生徒清田は厨房の方に行かないで食堂の外に出ると紙に書いた注文を破りゴミ箱に捨てた。

「ああいい気味だ。しかし渡瀬の奴俺のことに気付かなかったな。まあそれは俺がすでに良い男に成長してるから気付かなくて当然か。しかし一緒にいる奴らも渡瀬に似て馬鹿そうな奴らだったし、あいつらこれからどうなるか見物だぜ。」

 と笑って呼び込みの仕事に出かけた。


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