2.問題児四人組登場
彼女の名前は渡瀬真由美。この物語の主人公である。年齢は14歳。真由美は近くにある公立の中学校に通っている。
次の日の朝、目覚まし時計のけたまましい音で目が覚めた。
「うるさい うるさい。お前うるさいよ。」
とベッドに置いてある目覚まし時計に少々腹を立てながら起きた。
「今日からテストが始まるんだよな。」
昨日の晩何一つ勉強に手をつけなかったにもかかわらず、焦りはなかった。姉の琴美がひょういと顔を出し
「おはよう。昨日は夜遅くまで電気がついていたから相当頑張ったのね。」
と感心したように言った。
「うんまあね。」
と曖昧に答えた。
「制服に着替えたら下に降りてらっしゃい。お母さんが真由美の好きな料理を作って待っているわよ。」
とウインクした。
「マジで。ヤッター。昨日一生懸命に勉強していたから、お腹が空いていたんだよな。」
そう言うとベットから急いで下りて制服に着替えた。台所に行くと姉の琴美が言ったとおり朝から真由美の大好物のハンバーグやデザートがテーブルの上に並べられていた。
「真由美。テスト期間中はあなたが頑張れるように、お母さんが腕を振るって作るからね。今度こそはクラスの平均点ぐらいとれたらいいわね。」
と母の鈴が期待を込めて言った。
「おう、ありがとう。腹が空いたら戦には勝てぬっていうからな。まあ期待しててよ。」
自信満々に答えた。そしてご飯を残らず平らげた。
「美味しかった。じゃあ行ってきます。」
とそのまま鞄を持って家を出た。玄関を開けると、
「あはよう。真由美。」
隣のフエンス越しから庭の手入れをしていた祖父の兼蔵が顔を出した。祖父の家と真由美の家は隣同士に建っている。
「オッス。爺ちゃん。」
「琴美から聞いたが、今日から試験が始まるんだって。学生の時にしか勉強出来ないのだから頑張りなさいよ。」
「分かってるって。今回は大丈夫だから。」
「そうかい。今回は結果が楽しみだな。」
と嬉しそうな顔で言った。
「それじゃ行ってきます。」
元気な声で家の外に出た。
「おお、気をつけていきなさいよ。」
兼蔵は真由美の姿が見えなくなるまで見送った。2階の窓から姉の琴美も顔を出し、
「真由美ファイト。」
と激励した。
「おう。頑張ってくるぜ。」
と手を挙げてガッツポーズをしてから、学校に向かった。