UNDEAD 3
ヴォルドの服とレイナを埋葬し、黙ったまま座っているディン。大男はいつの間にかいなくなっていた。
「あの…ディン?」
「………。」
「ディン?」
もう一度呼んでみるがやはり返事は無い。
「zzZ…zzZ…」
「寝てんのかよ!!」
「ぐふぉっ!?」
ツッコミと同時に首にチョップを入れる。
「ゲホッゲホッ死ぬだろうが!!」
「どうせ死なないでしょうが。」
やれやれといった手つきをするニーダ。「それで、あんたはこれからどうするの?」
「とりあえず当初の目的の通り兄貴探しと研究の破壊。後、あるとは思えないが人間に戻る方法だな。」
「あてはあるの?」
「まぁ行きあたりばったりで何とかなるだろ。」
「あんた何言ってんのよ、そんな事言ってたらいつまで経っても終わるわけないじゃない!!あんたと違ってこっちは不死身じゃないんだからね!!」
「は?」
「………わ、私もついて行くって言ってんの。」
「だってUNDEADの事。」
「今日の出来事を見てあんたみたいな奴もいるってわかったから。それに、私の両親を喰ったのは多分…多分あんたの兄貴。」
「確かなのか?」
「もう十年ぐらい前だけど、雰囲気とか目つきとか似てたと思う。」
「そうか…ごめん。」
「いいよ、あんたなんかに謝られても嬉しくないから。」
「なんだ、それ。」
「家壊すしUNDEADだし、あんたの事嫌いだから。あんたについて行くのも、一番の理由は家がなくなったからよ」
「ひどいなそれ、なんでもかんでも俺のせいにして。差別だ差別だぁ。」
「ふん、悔しかったら人間になりなさい。」
「イィ〜だ。」
「プッ、ハハハハ…ッ」
「な、なんだよ。笑うなよ。」
「だ、だって…ククッ今、すごいププッ、変な顔だったんだもん。」
「クク、ハハハ…。」
「アハハハ…。」
心地良い、人と触れ合う事がこんなに心地良いものだったなんて。
そのまましばらく二人は笑い合った。
「それでこれから何処に向かうの?」
「うぅ〜ん、とりあえず寝るかな。」
「動け!!」
「ぐぁっ!?」
寝転がるディンを踏む。
―夜―
「…ツカレタ。」
疲れているせいで片言で喋るニーダ。
「しょうがない、ここで野宿だな。」
「えぇ〜、野宿ぅ?」「文句言うな、なけなしのたった一個の寝袋は貸してやるから。」
金の問題で一つしか買えなかったのだ。
「ねぇ。」
「ん?」
焚火をいじりながら返事をするディン。
「あの二人も兄妹だったね。」
「あぁ…UNDEADは双子が絶対条件らしい。」
「双子?っていうことはディンが探してるって言う兄も?」
「そう、双子だ。全く今何処で何をしてるんだか。」
焚火の光で映し出されるディンはどこか悲しげに見える。
「だが双子という条件をもってしても、できたのは不完全だった。」
「それがUNDEAD。」
「そう、肉を喰らい生気をすすることで生き永らえる異形の生物。」
「でも、ディンはUNDEADからしか生気を取らないんでしょ?」
「UNDEAEも元は人間だ、それに俺も結局は他人の犠牲の上に立っている。変わりはないさ。」
重い、空気が重い。何とか話題を変えないと。
「そういえば目的を果たしたらどうするの?」「…とりあえず寝るかな。」
(そう、深く深く…永遠に)
「ハハッディンらしいね。さて私もそろそろ寝ようかな。ディンは寝ないの?」
「あぁ、俺は火守りをしてる。その気になれば歩きながらでも寝れるからな。」
「クスクスッおやすみ。」
「おやすみ。」
(そして明日はおはようか、もう俺は独りじゃないんだな)
夜は嫌いだった
光が無いから
余計孤独を感じるから
でももう独りじゃない
だから怖くない
苦難も越えられる
運命も抗える
どんな事も耐えられる