UNDEAD 1
ふと目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。周りには誰もいない。
「ここは…何処だ?」
誰ともなく質問をするが返事は当然無い。じっとしていてもしょうがないので、とりあえず部屋を出る事にした。………周りを見回すと何処かの飲食店のようだった。そして女が一人で掃除をしている。
「あら、おはよう。」
「あ、えぇ〜っと、おはよう?」
何故か疑問系。
「まぁ、とりあえずご飯でもどう?」
「あ、はい、お願いします。」
そう言うと料理を始めた。
「貴方名前は?」
「え?えっとディンです。」
「私はニーダ。ディンってあまり聞かない名前ね。」
「自分でつけた名前なんで。」
「自分でって…ここからはあまり聞かない方が良いかな。で、あんたは何であんな所で倒れてたの?」
「この町に来る途中で追い剥ぎにあったんです。何とか服とこの剣だけは守ったんですけど。」
「追い剥ぎ…物騒ね。はい、できたわよ。」
「おぉ、美味しそう!!…ほひたあほひゅうええむむはっひぇ。」
早速がっつくディン。
「いや、何言ってるかわかんないし。」
用意していたコップの水を飲み干し、
「フゥ〜…奴らから逃げてたらたら途中で眠くなって寝ちゃったんです。」
「眠くなったって…まぁ、あまり深くは聞かないわ、聞きたくないし。ところで敬語止めてくれない?年上に使われると何か気持ち悪い。」
そう、ディンは見た目二十代後半。それに対し、ニーダはどう見ても二十代前半。
「わかった、これからは普通に話す事にする。そういえばなんでここに運んでくれたんだ?全く他人の俺を。」
「………雰囲気とか顔つきとか、どこか父親の面影があったから。」
「その言い方だと…」
しかし触れたくない話なのだろう、俺の言葉を遮った。
「でも途中で寝るとか追い剥ぎとか、そんなんで旅をする気になるわね。」
「目的がいくつかあってね、その一つが兄貴に会う事。」
「兄さんがいるの?」
「そう、ちっちゃい時に生き別れてさ、それ以来ずっと…。もうたった一人の家族だから、あれから何年になるかなぁ。」
「良いわねぇ、家族がいるって。私なんか………え!?」
(あの時の男…)
ドクン…ドクン…
心臓の鼓動が早くなってくる。(思い出したくないあの男…)
「ひょっとして…誰かに殺されたってお決まりのパターン?」
(似ている…ディンとあの男、まさか?)
「ね、ねぇ…ディン…。」
「何だ?」
「貴方ひょっとして………UNDEAD?」
「!!UNDEADを知ってるのか?」
「答えて、貴方は…UNDEADなの?」
「………そうだよ。」
突然ニーダの表情が怒りと悲しみの混じったものに変わる。
「出ていって!!」
「ひょっとして…何か兄貴について何か知ってるのか!?」
「出ていってって…言ってるでしょうがぁ!!」その言葉と同時に包丁やフォーク、ナイフなどが飛んでくる。
「うわゎわぁ!!」
それらを何とか全て避けて店から出るが、
「も、もう少し話を…」
物陰から頭だけ出して聞く。
「しない!!」
と同時に頭にナイフがジャストミート。
「…わかった。これで失礼する、ありがとう。」
せっかくの情報…残念だが立ち去る以外に無い。
「あの男も…お父さん、お母さん。」
「やはり、この町もか…。」そう、俺はこの身体のせいで人々から忌み嫌われているのだ。
「このままじゃ後味が悪いけど…この町を出るか。」




