電車と死神
僕は普通の高校生。
僕は今、駅の線路に飛び降りた。
「理由は異世界転生するためだ!」
漫画の読み過ぎだって思われるかもしれないけどこの現実とは違う世界に行ける可能性があるなら僕は何でもやる人だ。
「すげー本当に動きがゆっくりに見える。もうすぐ電車とぶつかるな。この現実より楽な世界がいいな。」
バン!
「あれ、目の前が真っ暗だ。もしかして成功した!?」
遠くから徐々に光が大きくなっていくのが分かる
「さあどんな世界が待っているんだ!!」
光が止み、目を開けるとさっきまでいたホームの景色が目に映り込んだ
「なんでまだホームにいるんだ?もしかして飛び降りたのは夢?」
そう考えているとある違和感に気づいた。
「あれ、僕以外誰も動いていない…」
しばらくの間混乱していると、
「僕が時を止めたのさ!」
と、そこには手のひらサイズくらいのかわいい生き物がいた。
「えっと〜誰ですか?」
と聞くと
「僕は死神!人間が死に直面した時に現れるものだ!」
この見た目で死神は無理があるだろ…と思いつい聞いてしまった。
「死神って鎌を持っててドクロがあの禍々しいオーラまとってる感じじゃないの?」
すると
「はあ、人間は見たことないものをすぐ誇張する…俺は正真正銘の死神だ!さっき時を止めて君を死から救っただろ?」
疑問が頭の中をぐるぐる回っている。
「ちょちょっとまって。え、死神って人を死に誘ったら葬ったりするんじゃないの?」
質問すると食い気味に死神は言った。
「その逆だよ。俺の能力で自殺しようとしてた人を一時的に救っているんだよ。そういえば何で君は自殺しようとしたの?」
現状をあまり把握できていないがとりあえず死神の質問に答えることにした。
「異世界に行きたいんだ!」
そう言うと死神は一瞬なんだこいつみたいな顔をしたがすぐに
「なるほど!それなら僕が手伝ってあげよう!」
と言った。
「本当に!?ありがとう死神!」
状況をほとんど読み込めていないまま死神との異世界転生への道が始まった。
「まず、異世界転生をしたほとんどが他殺か事故死なんだ。さっき君がしていたのは自殺だから僕が時を止めていなかったら恐らく君は異世界へは行けなかったね。」
死神が異世界転生について喋り出し、本当にできるんだ…!と感動しつつある疑問が浮かんだ。
「でも電車に轢かれるのは事故死じゃないの?」
そう言うと死神が
「さっきの君は自分の意思で線路に飛び降りたのはだろう?それは自殺扱いになるんだよ。」
「えーじゃあどうすればいいんだよ。」
と言うと
「俺が君の背中を押すんだよ!そうしたら他殺扱いになって異世界に行ける可能性がうんと上がる!
なるほどなと感心していると
「それじゃあ始めるね!」
「えっまってまって!」
遠くから光が徐々に大きくなっていき周りを見渡すといつもの騒がしい駅のホームに僕は立っていた。
「さっきのは夢?いやにしてもリアルだったし…でも死神みたいなやついたから夢か?…」
そんなことを考えていると電車が近づいてきた。
「本当に夢だったのかな。いや、まてよ夢じゃなかったらもうすぐで背中を押され―」
バン!
目を開けるとまたホームに立っていて周りの人は止まっていた。
「いやー失敗だったねー。」
死神がのんきな口調で現れた。
「どうして!他殺なら異世界に行けるんじゃないの?!」
そう言ったら
「今色々と調べてたらなんか条件?があるみたいでさ。・背中を押される・異世界について考えない・死を意識しない・まっすぐ前を見る・サングラスをかける・音楽を聴いている・白シャツに黒長ズボン・5分前にパンを食べるetc…」
「なんか後半変なのなかったか?しかも条件ありすぎだし本当にこれで異世界行けるの?」
そう聞くと
「君は異世界に行くなら何でもするんだろ?さあ!用は試しだ!やるぞー!」
こうして何度も何度も僕は死にかけた。直接死ぬわけではないし毎回助けてくれるので何も言えず、僕は100回
線路に飛び降りた。
「んー金髪にしてタンクトップを着ながら背中を押されるのもダメか。次は前日に徹夜でラーメン巡りして背中も押されるだから胃のキャパ増やして昨日に戻しとくね。」
「ちょっと待って!」
不思議そうに死神がこちらを見た。
「どうしたの?」
そう言われ僕はついに言った。
「もうこれやめない?」
「え、なんで?異世界に行くんじゃなかったの?」
僕は自分の言葉だけで継続できない性格を強く哀れに感じた。
「ごめんな、なんかもう死が近づいてくるのが耐えられなくて…こんな思いまでして異世界に行くなら現実の方がマシかなって思ったんだ。」
「ふーん。じゃあもう異世界転生しなくていいんだね?」
「うん。いろいろとごめんな。」
「分かったよ。それじゃあ俺はもう姿を消すけど2つだけ伝えたいことがある。」
「なんだ?」
「死神は人を死に誘ったり葬ったりするんじゃなくて、今まで君にしてきたように死への恐怖を体験してもらって『死にたい』よりも『生きたい』って思ってくれるようにすること。もうひとつは異世界なんて無いってこと。」
「えっ、ちょっとまっ…」
その瞬間いつもの騒がしい駅のホームに僕は立っていた。もうすぐ電車が来るらしい。
「さっきまでのは夢だったのか?」
そう思いながら僕は電車に乗った。
初投稿です。駅のホームにいる時に思いついた話です。




