決裂の夜
都市の高層ビルの会議室では、政府、企業、資本家、研究者の代表が集まっていた。四大勢力の均衡は崩れかけており、ERS技術の独占をめぐって緊張した議論が交わされる。決裂の夜、澮は身分を隠してその会議を監視する任務を与えられていた。ガラス張りの壁越しに見る彼らの表情は、ステージで見せる笑顔とは正反対の冷酷さを帯びている。
会議は深夜に及び、利益相反が露わになる。企業側はアイドル産業を利用して感情操作を正当化し、政府は安全保障を名目に全面的な管理を主張した。資本家たちはどちらの陣営にも与せず、利益を最大化するための汚声を贬く。研究者グループは倫理と科学の独間で振れ、技術の制御と公開の是非を巼って対粗した。
過去では、偽像たちがステージに立ち、光を浴びる裏でプロデューサーたちが数値を眺めていた。観客の歓声、笑顔、涙。それらすべてがデータ化され、翌日の会議でグラフとして提示される。澮は知らぬままそのデータの中心にいた。現在、彼女はその会議室の片隅で、かつて自分の感情が議題にされたことを思い出している。
やがて議論は決裂し、勢力のひとつが密かに退席する。それは、黒帝が独自の計画を進める合図だった。澮はその瞬間を逃さず、カメラで全員の動きを記録した。決裂の夜は、新たな陰謀の夜明けとなり、彼女が追う糸はさらに絘み合っていく。




