追放された無能貴族、実は全属性魔法と鑑定EX持ちでした 〜婚約破棄された翌日、王国が崩壊しましたが俺は関係ありません〜
「レオン・アルヴァレス。貴様との婚約を、ここに破棄する!」
王立魔法学園の大広間。
卒業式を兼ねた舞踏会の最中、俺は壇上でそう宣告された。
告げたのは、王女セシリア・ルミナス。
金色の髪を揺らし、蔑むような視線をこちらに向けている。
「理由は明白ですわ。あなたは三年間、魔法適性なし。貴族として、王家の婚約者として――無能すぎます」
会場がざわめく。
嘲笑、同情、侮蔑。すべてが俺に突き刺さった。
「代わりに、わたくしは真に優秀な方を選びます。――炎属性上級、剣術Aランク。英雄候補、ガイル・フォルテス様ですわ!」
赤髪の青年が一歩前に出て、得意げに胸を張る。
……ああ、そうか。
(これが、“イベント”か)
その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
⸻
◆
――前世の記憶が、完全に戻った。
俺は日本で社畜をしていた男。
トラック事故で死亡し、気づけばこの世界の無能貴族・レオンとして生まれ変わっていた。
そして今。
(条件達成。隠蔽制限、解除)
視界に、半透明のウィンドウが展開される。
【ステータス】
名前:レオン・アルヴァレス
職業:賢者(EX)
魔法適性:全属性(EX)
固有スキル:
・鑑定(EX)
・魔力無限
・スキル創造
・世界干渉(制限解除)
(……やれやれ)
どうやら俺は、気づかないフリをしていただけらしい。
この世界、詰んでるな。
⸻
「……何か言い残すことは?」
セシリアが勝ち誇ったように言う。
俺は一歩前に出て、微笑んだ。
「婚約破棄、受け入れるよ。――その代わり」
パチン、と指を鳴らす。
次の瞬間。
会場中央に、巨大な魔法陣が展開された。
「なっ――!?」
「全属性同時展開。真・鑑定」
光が走り、会場全員の情報が暴かれる。
【ガイル・フォルテス】
・剣術A → 偽装(薬物強化)
・炎魔法 → 魔力供給:外部依存
・称号:なし
「そ、それは違う!」
「さらに」
【セシリア・ルミナス】
・王族権限:乱用
・横領:有
・闇属性契約:魔族と密約済み
――静寂。
「……え?」
王女の顔から血の気が引いた。
「王国法第七十二条。魔族との密約は――死罪だ」
俺の声は、なぜか会場中に響いた。
その瞬間、近衛騎士たちが一斉に剣を抜く。
「な、なぜ私が……!」
「安心しろ」
俺は優しく笑った。
「全部、記録してある」
⸻
◆
その日。
王女セシリアは拘束され、
ガイルは不正が暴かれ、爵位剥奪。
アルヴァレス家への「無能貴族」迫害は、王命により謝罪付きで撤回された。
そして俺は――
「冒険者登録、ですね?」
「ああ。ついでにSランクで」
ギルド職員が白目を剥いた。
⸻
数日後。
王都の片隅で、俺は奴隷商から一人の少女を買った。
「……助けて、くれるの?」
「ああ」
鑑定済みだ。
【リリア】
・種族:ハイエルフ
・才能:時空魔法(EX)
・状態:呪い拘束
「これからは、自由だ」
呪いを解除すると、彼女は泣きながら笑った。
「ご主人様……!」
「いや、仲間だ」
こうして俺は、仲間と共に王都を出た。
⸻
――半年後。
魔族の侵攻により、王国は崩壊寸前。
「レオン様! どうかお力を!」
元国王が土下座してきたが、俺は肩をすくめる。
「婚約破棄した“無能”に、何か用か?」
俺は振り返り、仲間たちに告げた。
「――別の国、作るか」
空には、俺が創った浮遊都市が浮かんでいた。
これは、
追放された無能が、世界のルールをひっくり返す物語。
ざまぁは、これからだ。




