初めての出会い
男は、あるものを欲していた。
この世に不可欠なもの。
それさえあれば他には何もいらないとさえ言える。
だが、この荒廃した世界にはもはやそれを生み出す力はない。
「ああ、、。もう少し早く生まれていれば、、、」
男は嘆き、欲す。
古い文献にしか残らないそれを。
「、、あっ、」
足を滑らせ、巨大な窪みに落ちながら男は記憶を思い出す。
最後に何かを口にしてから今日でちょうど一週間経つことを。
ドッ、ドドゴロゴロロロロ、、、。
数時間してから目を覚ました男は、さらに絶望した。
「、、、ああ、こんな感じで死ぬのか?俺は、、」
男は動かない脚を見て嘆いた。
男の脚はよく見ると動かないどころかもはや形をなしていない。初めにうまく着地をしようと脚を無理に下にしたのが良くなかったのだろう。
男は周りを見回す。
しかし、後ろを振り向いた時、男の動きは静止した。
「、、、何だ、これ」
そこには何かがある。
此処ではない何処かから来た何かが。
黒、赤、青、そして白。今までに見たことのない光を見せているそれは、男の面前に沈んでいた。
男は動かない脚を引きずりながら、それに近づく。
男は躊躇いながらも、それに手を伸ばし、触れた。
瞬間、男の身体に変革が起こる。
声とともに。
「、、、やっとだ」
男の脳内に響く声とともに、意識が途絶えた。