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09 入りこむ夢

寝苦しいと嫌な夢を見やすいなんて話を聞きますね


今回はそんなお話

こんばんは 田中きらりです


夏も本番

各地今シーズン最高気温を更新した…なんてテレビのニュースが伝えています


少しでも涼を取りたいと思いまして、ホラー映画を観てみることにしてみました


私、こういうの小さい頃から好きでそこそこ耐性ある方です


早速、観てみましょう


ストーリーは良くある曰く付きのスポットに足を踏み入れてしまい理不尽に襲われるなんてやつです

お話は普通でしたが襲ってくる怨霊が怖かったです


黒い幅広の帽子を目深に被って、長く腰まで垂らした黒髪を乱れさせながら追いかけてくるなんてリアルで居たら悲鳴あげちゃいそうです


面白い映画でした

明日も早いので眠りにつきたいと思います



ハァ、ハァ


ハァ、ハァ ハァ、ハァ


「何なのあの人?凄い力で掴んで来て?どっかに連れ込もうとしてるじゃん!」


走りながら現状をなんとか把握しようと懸命に息を吸う

見ず知らずの女に襲われ必死に逃げている


しばらく走って、追いかけてきていた人影が見えなくなり建物の壁に手をつき息を整える


仕事で履き慣れているとはいえヒールで全力疾走なんてするもんじゃない

つま先辺りが鈍く痛みを発していた


「マジなんだったのあの人?掴まれた腕が赤くなってるじゃん。もう居なくなったかな家に帰りたい。」


そう言って顔を上げた先にはさっきの女がいた


「きゃーーーーー!」



ガバッ!


飛び起きて周りを見回します


私は今、夏の早い朝日に照らされたベッドの上にいます

どうやら夢を見ていたようです


昨夜、ホラー映画を観てしまったのでその世界観をそのまま夢に持ち込んじゃったようです

少し暑くて汗ばむ不快感もあって見せた夢でしょうか


寝覚めは悪いですが仕事の準備をして家を出ます

通勤のため電車に乗り込みました


車両の中央付近でつり革を持ち出発を待ちます

ドアが閉まり外の流れるホームの景色を見ています


ホームの終端まで来たところでギョッとしました


夢に見た黒い帽子の長髪の女がそこに立っています

すれ違いざま帽子の影から覗く女の目と私の視線が混じり合った気がしました


「まさか、現実にいる訳無いよね?変な夢見ちゃったし意識しすぎかな。」


なんて自分に言い聞かせる様に小さく呟きました


その後、普段通り1日を終え帰宅しました

朝の事はもう忘れ普通に就寝しました


ハァ、ハァ、ハァ、ハァ


あれ?また私走ってる?

またあの女に襲われてる?


逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ


ガシッ!


腕を掴まれ引きずられた!


ガバッ!


本気で走った後のように汗をかき息を乱れた状態で目が覚めました


今朝も悪夢をみたようです


「なんだまたか。怖かった」

意識がはっきりとしてきて安堵します


ズキ!「痛い!」

あまりの痛みに左腕を確認します


先程の夢で女に掴まれた腕です

痛みの箇所が赤くなっていました


「まさかね」


夢とリンクしてしまった痛みに驚きと戸惑いを感じながらも出勤の準備をします


流石に連日嫌な夢をみてしまい心の疲れからか体もダルいです


会社に着くなり先輩に寝不足なんじゃないかと言われてしまいました


「怖い夢を続けて見てしまって、そのせいでちゃんと寝れてないのかもしれません」

「そっかそっか。怖い夢の原因になるような事あった?」

「先日観たホラー映画でしょうか?けっこう楽しんで観てたはずなんですけどね」


なるほどっと言って少し考える先輩


「じゃあこう言うのはどう?きらりさんはスーパーヒロイン!実はめっちゃ強くてその怨霊を返り討ちにしちゃうんだよ」

「なんですか、それ?」

「何でも良いんだよ。その怨霊よりも強い自分をイメージしてから寝てみてね」


先輩に言われ今夜は強い私をイメージして寝ます


「私はヒロイン!強くて可愛いスーパーヒロイン!」


そう唱えてから寝ました


仁王立ちして何かを待ち構える私

そこに勢いよく走って髪を振り乱しながら突っ込んでくる女


「私は強い!最強なの!」


掴み来る女をいなして逆にその勢いのまま、見えなくなるほどに投げ飛ばす


「これに懲りたらもう私を襲わないで!」


そう言ってキメポーズをとったところで目が覚めました


こんなに効き目があるなんて、我ながらあまりにも単純すぎて笑ってしまいました


今朝はすごく気分良く出勤準備できました

いつもの電車に乗って出勤です


いつものように混み合う車内

背後にもピッタリと人がいます


視界の片隅に見える後ろの人は女性でしょうか

満員電車に揺られて女性の顔が私の耳の横まで迫って来ました


「今夜は私を投げ飛ばさないでね」


声を聞いてハッとして目が覚めました


私はまたも夏の暑い朝日を浴びるベッドの上です


全部、夢だったのでしょうか?

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