08 真夜中の行列
真夏の夜の思い出です
おはようございます 田中きらりです
おはようございますと言いましたが現在朝の4時を回ったところです
今日は暑く寝苦しかったので目が覚めてしまいました
7月半ばの今はこんな時間でも空が薄っすら明るいですね
こう暑くて寝苦しい日はどうしても思い出してしまいます
あの日も今日と同じ様な暑い夜でした
その夜に見たあの光景をーー
数年前、川沿いのマンションに住んでいました
川幅が少しある流れは緩やかな川です
川の両側は綺麗に整備されていて春は桜が満開になり、その下の遊歩道は歩くととても気持ちが良かったです
季節は夏、ちょうどお盆の頃だったと思います
時間は午前３時前
何かじっとりと身体にまとわりつく様な暑さの中で目が覚めました
体のためと思って冷房をタイマーにしていたのが切れたばかりのようでした
全身に薄っすらと汗をかいていました
熱帯夜で暑かったので再度エアコンを設定し眠りにつこうと横になりました
その時、微かな違和感に気付いてしまいました
ざりっ ざりっ ざりっ ざりっ
定期的に何かが擦れる音が外から聞こえています
何の音だろう？ 直ぐ側では無い？ １つじゃない？ 色んなところから聞こえる？
暗闇の中で聞こえるその音が気になって眠れません
さらに耳を澄ませてみます
ざりっ ざりっ コソコソ ざりっ ざりっ ヒソヒソ
定期的な音の中に人の話し声がしている？ もしかして人の歩く音？ こんな夜中にたくさんの人？
聞き慣れてきたその音はさらに明確に聞き取れる様になりました
かれこれ10分は聞こえているこの音は大勢の人間がぞろぞろと川沿いの遊歩道を歩く音のようです
音がする外の状況が気になってしまいます
見ても良いものかと思い悩みながらもカーテンの隙間から外を覗きました
すると目に入ってきたのは川沿いを歩く大勢の人影
皆同じ様な服装で同じ方向にむかって歩く人達
薄暗い中を黙々と川下の方へ歩いていく様子はさながら軍隊の行進のようです
はぁー！見てはいけないものを見てしまった
そう思い心臓が早鐘のように打つのを感じます
思考が止まりどうしようかと考える事も無くしばらくながめてしまいました
ですが、ふと冷静になり団体をみてみます
皆さん同じ様な服装ですが全く同じではありません
野球帽の様なつばのある帽子、簡素な半袖のTシャツ、体にフィットしているズボン、歩きやすそうなスニーカーとけっこう現代的です
たまに旗をリュックにさして先導している方もいらっしゃいます
暗くて完全には見えませんが、なんとか旅行とか書いてある気がします
分かってしまえば怖くありません
これはハイキングとかウォーキング企画の列です
皆さんおそらく海から見える日の出を見に向かっているようです
朝日をみて、朝漁で揚がった新鮮なお魚を食べに行くやつです
カーテンを閉めて再度ベッドに横になります
恐怖から解放されてよく眠れそうだと思い目を閉じます
「… ヒソ …が合えば…連れて…たのにな」
美味しいお魚が食べたくなり、朝の地引き網に参加しました
