07 深夜営業
深夜営業しているレストラン
仕事が遅くなった時に開いてると助かります
今回はそんなレストランのお話
こんばんは 田中きらりです
現在の時間は23時55分
今夜は得意先を回っていたのですが納品トラブルもあり帰宅が深夜になってしまいました
もうすぐ日付が変わりそうです
晩御飯も食べてないしお腹が空いています
田舎ではありますが大きい道路を通って車を走らせているとファミレスの看板が遠くに見えました
24時間営業と書いてあるのも見えます
店内からは煌々と灯りが洩れていて営業しているのが分かります
ヘトヘトに疲れているしお腹もペコペコなので一旦休憩する為に立ち寄ります
店内に入るとお客はおらず店員も見当たりません
レジ横に1枚の案内表示があり「お好きな席にどうぞ」と書かれていました
表示に従って窓辺のソファのあるテーブルに座ります
同じ納品先に行っていた別の車で移動中の先輩にも今いる場所をメッセージしておきます
ふかふかのソファでくつろいでいると疲れからか瞼が落ちてきてしまいます
一瞬、瞼が閉じて目を開けると目の前に店員が1人立っていました
「お客さん、お疲れのようですが何か注文してくださいね。ここで寝られても困ります。」
「あ、すみません。今から注文します。」
無愛想な店員はその場を去っていきました
注文用のタブレットがテーブルの上にあり操作します
タブレットの表示にある時計をみると0時20分
どうやら20分ほど寝てしまっていたようです
「そりゃ店員さんも声かけに来るわ」
注文をして頼んだ料理が運ばれてきました
一通り食べ進めて時計を確認すると1時手前
「先輩遅いな。そろそろ来るかな?」
食べ終わったのに先輩はまだ来ません
「お腹もいっぱいになったし一人でいると眠くなっちゃう」
お腹が満たされ先程の眠気が再度襲ってきます
瞼がくっついたと思った瞬間
「お客さん、お疲れのようですが何か注文してくださいね。ここで寝られても困ります。」
店員の声でハッと目を開けます
「あ、すみません。」
どうやら寝てると勘違いされたようです
目を開け追加注文でもしようとタブレットに手を伸ばします
「あれ?さっき食べたお皿が無い」
目の前にあったはずのお皿がありません
すでに片付けられたと思い辺りを見渡します
目の前にあるタブレットに表示されている時間は0時20分
「いやいや、おかしい。夢でも見たにしてはあんまりにもリアル過ぎるでしょ?」
混乱からブツブツと独り言を言っていると遠くから店員が早く注文しろと言わんばかりに睨んでいます
そのプレッシャーに負けて先程と同じように注文してしまいました
注文されたものは同じように盛り付けられて配膳されます
食べた記憶も鮮明で味もしっかり覚えてる料理が並びます
ですが体は空腹の為グーグーと鳴っています
空腹を満たす誘惑に負けてつい食べてしまいました
食べたら案の定また眠気が戻ってきます
寝たらダメなんだと分かっていても瞼が落ちます
「お客さん、お疲れのようですが何か注文してくださいね。ここで寝られても困ります。」
店員が声をかけてきました
これで3度目です
タブレットの時計は0時20分を表示しています
「これは!間違いなくループしているのでは?」
確信を得た私の取った行動は1つでした
ループする毎に別メニューを頼み全メニューを制覇する!
「やってみたかったんだ!メニューの端から端まで食べ尽くすの!」
そう思った私は、メニューの端から注文しては食べ、目を閉じては0時20分まで戻るを複数回繰り返していました
繰り返しも10回を超えて、頼んでいないメニューもあと1回分を残すのみです
「次で最後か。全部美味しかったなぁ。」
残りの料理が配膳されてきました
綺麗に盛り付けられたそれらをしっかりといただきました
「これも美味しかった。このお店の料理全部美味しい♪」
全メニューを制覇しある種の達成感を得た私はまた眠気に襲われていました
「再度ループするのかな?今度はメニューの組み合わせ考えてみようかな」なんて思いながら目を閉じます
「お客さん。お疲れのようですね。お連れ様がお外でお待ちですよ。」
「お連れ様?」外をみると先輩の車が停まっているのが見えました
「すみません。すぐに出ます。あの、お会計は…?」
「何も提供していませんのでお代は頂戴いたしません。このままご退店くださいませ。」
「そうですか。お手間かけました。」
レジ前を通り店を出る瞬間、店員の声がしまいました
「料理、美味しいって言ってくれてありがとう」
店を出ると先輩が店内をうかがうように覗き見ていました
「先輩!遅かったですね」
「きらりさん!言われたお店に着いたけどやってる感じもしないし心配したよ」
振り返ると先程まで煌々とついていた照明は消え荒れた店内が見えた
「味は最高なんですけど今はやってなかったみたいです。すみません。別のお店ご存知ですか?」
そう言って別のお店まで車を走らせた
先輩のオススメのお店で舌鼓♪
お値段見てびっくりでした
深夜料金怖い…