06 いつもの通勤電車
通勤や通学をいつも決まった時間のルーチンにしている方が多いのではないでしょうか
同じ行動を21日続けると習慣となるそうです
あなたの習慣は何ですか?
おはようございます 田中きらりです
私は通勤の時、電車を使います
就業時間に合わせて同じ時間、同じ車両のだいたい同じ席に乗ります
そうすると同じ様に通勤や通学をしている方と乗り合わせます
その方たちも毎日だいたい同じ様子で乗っています
私はいつも見かけるその人達を勝手に通勤車両のレギュラーメンバーと位置づけて毎回のちょっとした楽しみにしています
とは言っても、話したことのない方たちなので『今日もメンバー揃ったな』とかそんな程度の事です
そのレギュラーメンバーの中に高校生と思われる学生が1人います
その学生はいつも私より先にホームについていて、私が乗る乗車口より後方の乗車口で先頭に並んで待っています
ちょうど混み合い始める時間なので電車がホームに着く頃にはその学生は見えなくなります
列の一番前に並ぶ姿がどこか印象的です
今日も通勤のため電車の到着を待っています
陽射しに暑さを感じる天気です
なんだか今日はホームに人が少ない気がします
レギュラーメンバーもちらほら見当たりません
「今日は人が少ないな。あの子はいつも通りいるのか。」
人の少ないホームで先頭に並ぶあの子を見つけます
「人は認知出来てなくても見たくないものは無意識に避けるみたいですよ」
急に後ろに並んだ中年の男性に声をかけられた
「それはどういう意味でしょうか?」
「あなた、あの子が見えているのでしょう?多くの人があの子のこと見えてないと思いますよ」
「えっ?それってつまり?」
「それに今日はあの子にとって特別な日でして。それを見たくないと無意識に避けるから毎年の今日はホームに人が少ないんです」
全然、男性の言ってる意味が理解できず固まっていると男性が続ける
「ほら電車来ましたよ」
そう言って視線を向けた先にこのホームを通過する快速列車が見えた
それと同時にいつも先頭で並んでいるあの子が線路内に飛び込む姿がそこにあった
「きゃぁ!」
風切音を出し高速で通過する電車に高校生がぶつかる!
… … と思ったら高校生はそのまますぅーっと消えてしまった
電車は何事も無くホームを通過していく
「何年も前に線路内に飛び込んだ学生がいましてね。思うところがあるのかその学生、通学を繰り返しているみたいなんです。それで毎年同じ日、同じ時間にまた飛び込むんです。」
「それがさっきのですか?」
「そうです。霊感が無いと今の状況を視る事は出来ないみたいですよ。でも視えなくても目の前でああ言う事が起きるのを人は嫌うようで毎年今日は空いてます」
「実は私教師だったんですけど、あの子の事気づいてあげられなくて… あの子の事を知ってる私としてはそれが悔しくて… あの子の事視えているあなたに急に話しかけてしまってすみませんでした」
そう言うと男性も目の前で霧のように消えてしまった
翌日、つい習慣で同じ時間に来てしまいレギュラーメンバーを探してしまう
今は普段のように電車待ちの人で混み合っている
中には昨日いた人達もいる
ふと思ったが昨日いた人達はあの現場を体験しても同じ時間を続けている人?
本当に人なのかな…?