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プロローグ

僕は音楽が好きだった。

好きで好きで仕方がなかった。だけどもう奏でることは出来ない。

なんでこうなったんだろう。

もっと上手かったら、もっと綺麗な音を出せていたら、少しは違ったのかな。

そんな事を考えても無駄だとわかっているのに、今日もしてしまう。


いつもの天井、破れたポスター、ずっと机に置かれているオーボエ、朝が来たんだと理解するのに少し時間がかかった。支度をして家を出ると、いつもどうり明るい髪色をした男がいた。こいつは 野崎彰人。中学校からの友達だ。そして少しムカつく笑顔をしながら手を振って来る。

「おーい!涼太!」

「朝から元気ですね」

暑苦しいやつめ。一体どこからそんな元気が湧いてくるのやら。まぁこいつがちょっとした変化なんかに気づくわけないからいいけど。

「あれ今日はオーボエ持ってないのか?」

なんでこう言う時に限って勘がいいのか。本当に……なんで……。

「あっ数学のワークやるの忘れてた」

あ……あ……

「おーい」

いや……だ、やめ……て

「大丈夫か?」

おね……がい……

「涼太〜」

やめ……

「涼太!」

「っ!」

あんなことがあったせいで、今では音楽を聞くだけで吐き気がする。

あの日の事が無ければ、こんな事にはならなかったのに。


◆◇◆


「なぁ本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ」

うんもう大丈夫なはず。にしてももう昼休みだぞ。いつまでそんなことを言ってるのやら。

「...なぁバンドとか興味ないか?」

なんだ急に。いや突然にも程があるだろ。

「なんでそんな急に」

「いやちょっとさ今バンドのメンバー探しててさ」

はたまたなぜバンドなんか。ちょっと前まで音楽なんて興味ない!俺はバレーさえあればいい!って感じだったのに。

「なんでバンドなんかやるの?」

「いや〜バンドドリームってアニメにハマっててさ俺もやってみようかなーって」

「じゃあ軽音部入ればいいじゃん」

本当になぜ軽音部という選択肢が出てこないのか。

「そこだよそこ!俺も軽音部入ろうかなって思ったんだけどさバレー部は続けたいのよ。」

そっか部の掛け持ちはできないからな、そりゃしょうがないとはならないけど。理由を聴くくらいはしていいかな。

「そう、でなんで僕に?」

「そりゃ、勘だよ!」

はぁ?

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