面接と新事実 2
天羽社長は、どうやら俺のことをとても好意的に見てくれているみたいだ。
まぁ、こんな豪勢な応接室なんてところで面接してくれてる時点で理解はできるけど、今まで把握してなかった俺が歌ってみたでバズってたっていう事実を飲み込む方が今の俺には大変だった。
「で、そうだ。君がうちに所属してくれるのはこちらとしても嬉しいことではあるんだが、志望動機とかを聞かせてもらってもいいかな?」
「ん、あっ、志望動機ですか?これ言って落ちるとか無いですよね?」
「よっぽど危険な理由とかじゃなければ落とすことはないよ」
「たとえば?」
「たとえばこのスターライトプロダクションを内部から壊したい、とかね?」
「そんな人いないでしょ!?しかももしいたとして面接の志望動機で言わないでしょ絶対!!」
「はははっ!それはそうなんだけど、稀にいるんだ。頭のネジの外れた化け物っていうのはね」
「えぇぇ」
なんだか、Vtuberの闇を垣間見てしまった気がするけど気のせいだろうか?
「まぁ、そんなメンバーは私が手綱を握るだけだがな」
この人の持つオーラの正体を見られた気がする。
「で、君の志望動機は一体なんなんだい?」
「それは……俺の推しのVtuberに認知してもらうためです」
「へぇ?それはまた面白い理由だね?というか普通に歌い手の名前言えば認知してもらえそうだけど?」
「いや、そもそも俺のアカがそんなバズってるの知ったのも今ですし」
「あ、それもそうか」
「それに、推しが配信で付き合う条件として同じ景色を隣で見てくれる人って言ってたんで、だったらまずは同じVtuberという立場で認知してもらうところからかなと」
「なるほど?……面白いね君ってほんと」
どこが面白かったんだろうか?俺はいたってまじめに答えたはずなんだけど、社長はものすごく面白そうな反応をしている。まぁ、ウケてるならよしとしよう。
「よし、それじゃあ吉良蓮くん」
「はい!!」
「君を我がスターライトプロダクションへ歓迎するよ!」
「あ、ありがとうございます!!!」
なんだかんだよくわかってないけど、合格になったみたいだ。今の気持ちは喜びよりも困惑の方が大きいけども。
そんな中、社長から質問が飛ぶ。
「とりあえず、デビューするにあたって君のビジュアルをデザインしてもらわないといけないわけなんだけど、もし君の希望があればできる範囲で沿おうとおもうんだけど?」
「あ、それなら!俺の友達が俺のことデザインしてくれるって言ってて!!」
「ん?友達?それは大丈夫なのか?」
「むしろ、全員にとってメリットの方が大きいと思います!」
「それはどういうことかな?」
「それはですね、描いてくれるって言ってくれた友達が……今人気急上昇中のイラストレーター、『Spica』なんですよね」
「Spica!?なら、断る理由もないな。むしろこちらからお願いしたいくらいだ」
社長の反応を見て、改めて涼太のすごさの方を実感する。
後は、具体的なデビュー日はイラストが出来上がってから、ということで社長の連絡先を教えてもらい、解散となった。
ビルを出た俺は、慌てて涼太に電話する。
今日の夜もまだまだ長くなりそうだ。
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