初配信前のあれこれ 1
都内某所・スターライトプロダクションスタジオ
緊張感あふれるスタジオ内のスタッフさん達に囲まれながら、俺は初配信の準備をしていた。
「あ、あ、マイクテストマイクテスト……聞こえ具合どうですか?」
「いい感じだよ!」
「ありがとうございます!!」
「トラッキングの感じとかはどうかな?とりあえず見てる側は問題なさそうだけど、演者側から見て違和感とかない?」
「大丈夫そうです!」
「よし、それじゃあとりあえずの確認事項は大丈夫だから本番の30分前にまたここに戻ってきてね」
スタッフさんにそう言われて、俺はそのまま一旦スタジオを後にする。
今の時間は午後4時。配信は午後8時からスタートするので、今はまだ待機画面を作ってある段階。
1人でいるのもソワソワしてしまうので、俺はこの場所を知っている涼太に連絡をした。
「もしもーし、蓮?今日ってあれの日じゃないの?」
「おう!初配信の日なんだけどさ、配信まで暇になっちゃって、涼太はスタジオの場所知ってる側の人間だし、会っても問題ないかなって思ってさ?」
「あー、なるほどね?会えはするんだけどさ、今俺、梨華といるんだけど一緒でも問題ない?もちろん場所はちょっと変えるしさ?」
確かに。俺と涼太とは違い梨華に関しては部外者だからと少し悩むけど、一応梨華も俺がVtuberになろうとしてること自体は知ってるからそこまでは問題じゃないなと判断して、了承する。
「おけ、問題ないよ。近くのファミレス集合でいいかな?」
「おう!」
正直、1人だとメンタル的にキツいなと思っていたので直前まで友達といられるのがすごくありがたい。
俺は指定したファミレスに移動する。
その道中で確認した俺の初配信の待機画面は、まだ4時間弱前にも関わらず1000人近い待機者がいて、チャット欄も盛り上がっていた。
これがスターライトプロダクションの力なんだろうな、と改めて気を引き締める。
「お疲れ、蓮!」
「おう、涼太。急にごめんな!それに梨華も、付き合わせちゃって申し訳ないな」
「大丈夫だよ!私も暇だったし……むしろ蓮くんに会えてラッキーみたいな?」
「ん?」
「なんでもなーい!」
梨華が何か言ってた気がしたけど、はぐらかされたのであんまり深くは突っ込まないことにして、3人でファミレスに入る……わけじゃなく、その近くのカラオケに入った。
「やっぱ緊張飛ばすなら歌うっしょ!!」
テンションの高い涼太と裏腹に俺は少しだけ顔を顰めるんだけど、なぜか梨華も複雑そうな顔をしていた。
だけどせっかく来たのに楽しまないわけにもいかない。
「トップバッターは誰から行く?」
「俺から行こっかな。せっかく時間作ってくれたわけだし」
「おおっ!蓮の生歌って何気に初めて聞くんだよなぁ!楽しみだ、な?梨華」
「う、うん……」
相変わらずよくわからない梨華の反応が気にはなるけど、俺は無難に最近流行りのボカロ曲を選択する。
「あー、あー……よし」
〜〜〜〜〜♪
一度歌に集中し始めると俺も気持ち良くなってきて、しかも録音の時と違って上手く歌わないとって気を張る必要もないからのびのびと歌う。
「ふぅ……あっ」
「上手すぎね?って思ったけどそうだった。蓮のことこの前聞いたのに忘れてたわ」
「…………」
気持ちよく歌いすぎて、自分がどういう存在だったかを完全に忘れていた俺と、俺がこの前話したことを忘れていたらしい涼太。そして、無言のままの梨華。
明らかに気まずい空気が流れていた。こうなってしまうと、むしろ黙っとく方がめんどくさいかもしれないので、俺は梨華にも伝えることにする。
「なぁ、梨華」
「ん、あっ、なに?」
「あのさ、梨華は聞いたことあるかどうかわかんないんだけどさ、俺……実は歌い手のRainとして活動してるんだ」
「うん、知ってる」
「そう、だからこの事は内緒にしてほしい……って、ん?知ってる?知ってるっていうのはRainの事だよな?」
「ん?私が知ってるのは蓮くんがRainとして活動してたことだよ?ずっと聞いてるしね、投稿」
「え、マジで!?」
「うん!!」
えーっと、初配信前なんだけど俺のこと梨華に知られてたんですけど、え?え?
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