ラフ! 3
まず、机に並べられた4枚のデザインラフがまとめられて、1枚目が机に置かれる。
1枚目は、濃い青の少し長めの髪に、同じく濃い青の眼。顔はシュッとしていてカッコよくまとめられている。
このイラストの特徴としては、格好と持ち物だろうか?
格好は一言で表すならロックバンドのボーカル?みたいな感じだ。それを象徴するかのように手にはマイクが握られている。
「これは、蓮の今後の活動の中でも歌の活動を前面に出したタイプのイラストデザインにしたんだ!!その中でも、かなり俺の中にあるRain像を重ね合わせてるから、髪の色は濃い青にして雨を、服装は蓮がRainとしてよく投稿してた曲がロック調だったからその方向性に合わせた衣装にしてみた!!だから手にマイクも持たせたんだよな!!……本当はギターもつけようかと思ったんだけどさ?それするとさすがに方向性が狭められすぎると思ってやめた!」
1枚目からよく考えられていた。これは、いわば俺の、歌い手Rainとしての完成形と言うべきイラストだった。
まぁ、それは俺がRain本人だからこそ感じ取れることであって、普通の視聴者がこのイラストを見てRainと繋げる人はなかなかいないと思うけどな!
そして、2枚目に移る。2枚目はさっきとは打って変わって、水色の髪に少し緑がかった青い眼。その髪はボブカットになっていて、頭にはヘッドセットをつけている。顔は丸っぽくてどこか幼さを感じさせる。
そして、服装は普通の部屋着って感じのラフすぎないジャージ姿で、手にはパソコンのマウスを持っていた。
「次は、蓮がこの前話してたやりたいことの中から、ゲームをメインにしたデザインだ!見た目を幼めに見えるようにしたのは、単純に俺の趣味っていうのが1つと、視聴者が見た目から受け取る情報ってでかいと思うから、まだ操作に慣れてない蓮がポカしても大人の見た目よりも責められにくいという配慮も込めてだ!」
なるほど?納得できるようで若干俺のことをディスられてる気もしたけど、一旦置いておこう。
確かに、この見た目のキャラがポカる場面はどちらかというと同情されそうではあるしな。
そんなことを考えていると、3枚目に切り替わる。
3枚目は、前の2枚とはまた趣きが異なる。髪は紺色の長髪をポニーテールにしていて、目は少し明るい水色。性別が分かりにくい中性的な顔をしていて、服装は執事が着ているような燕尾服を着ていた。
このデザインに関しては何モチーフなのか、俺もテーマを掴みかねていた。
「3枚目はさ、雑談メインをテーマにしてるんだ。話を聞く人といえば、いつも主人の話を聞かされる執事が俺の中のイメージとしてあって、そこに男女どちらからも話しやすいようにという想いを込めて見た目をどちらかわからないようにしてるんだ!実際蓮の声ってなんでもいけるだろ?」
「まぁ、いけるけど?」
「だよな!!」
Spica先生としての涼太の物事の着眼点はとても面白いなっていうことをこの3枚目で再確認した気がした。いい意味で涼太の感性は人とズレてる。普通の人が思い得ないような視点からデザインのアイデアを引き出してくる。
そんな涼太に感心していると、最後の1枚になる。
最後のイラストは、ド王道の見た目だった。真っ青な髪は綺麗に揃えられ、眼は透き通るようなサファイアのよう。顔は優しげな笑みを浮かべている。
何よりも衣装だ。来ているのは純白のスーツだった。装飾はシンプルだけど、むしろそのシンプルさが個性として独立している気がした。
「最後のこれが1番俺が悩んだんだけどさ?俺がこれまで蓮と過ごしてきた日々を思い出しながら、その事をVtuberの、カッコよさの王道に落とし込んだ姿がこれだったんだ。何事にも純粋に取り組む姿、いつも笑ってる笑顔。リアルの吉良蓮としての姿を俺なりに2次元に表してみたんだ!!」
そう力強く言ってくれる涼太。俺は、改めて4枚目のイラストを見てみる。そのキャラクターがしているこちらに手を伸ばしているポーズ。
それは、まるで俺の手を取って共に生きようとしているみたいで、実際に動いているような錯覚をしてしまって。
「蓮の中でどれにするかは……決まってるみたいだな?」
「そうだな。全部めっちゃいいし、悩んだ……って言いたいんだけど、俺は最後のデザイン1択だな」
「そう言うと思った!!俺も描いててさ?候補案として前3つも作ったけど、正直最後のイラストに勝てる気がしてなかったからさ!」
お互いの意見が一致した瞬間だった。
俺のデザインが決まったことで、一気にデビューが近づいてきた気がする。
そんな中、涼太は俺にそのラフのデータを送ってくれた。
「ほら、デザインが決まったならデビューに向けてキャラクターの設定作りが必要じゃん?それはさすがにスタプロの社長とかスタッフさんと相談することになるんだろうからこのデータを元に進めてくれよな!!」
「おう!!ありがと!!早速連絡してみる!」
俺は、急いで天羽社長へと連絡を入れた。
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