ラフ! 1
時は少し過ぎて、Vtuberデビューが決まったあの日から、もう2週間が過ぎようとしていた。
あれから、涼太はデザイン制作に集中しているからなのかほとんど顔を合わせることがなかった。
かくいう俺も単位に必要な最低限の講義にだけ出席して、後は歌とゲームの練習に充てていた。
なんでゲームの練習かって?俺がやりたい配信の1つにゲーム実況もあるからだ。
とはいえ、スマホやPCゲームはあまりやってこなかった俺には、FPS系は結構難しかった。
なんとか操作には慣れてきたけれど、逆に言えば操作にしか慣れてない俺はすぐに撃たれて負けてしまう。
そんな戦っては負け、戦っては瞬殺を繰り返していると、さすがにやる気がなくなってきてしまう。
気分転換に俺は歌うことにした。俺の部屋は、一応防音性があるので部屋で歌ってもあまり問題がない。都内にこんな家を作ってくれた両親には感謝しかない。まぁ、両親は最近の俺の行動を心配してるみたいだけど。
そんなタイミングだった。いつも突然にかかってくる涼太からの電話が鳴った。
「もしもし?涼太、無理してないか?」
「ん?無理?なんで?」
「いや、最近全然会わなかったからさ。むぁ、俺も最低限しか大学行ってないから会わなくても仕方ないかもしれんけど」
「あ、そゆこと?まぁ蓮は察してると思うけどさ?蓮のVの姿のデザインを考えてたわけよ」
「おう、だと思った。そんな無理すんなよ?体が第一なんだから」
「無理はしてないけどな?そもそも俺にとってイラストって息するようなもんだしさ!」
ほんとか?って心配したくなるけど、電話先の涼太の声はいつも通り、いやいつも以上に明るい。涼太にとってはこれが普通なんだろうな。
「それで、電話してきたってことはなんか進展した?」
「おう!!ラフまではとりあえず完成したぞ!!それでさ、ラフのイメージが何種類かあるから、最終決定は蓮にしてもらいたいなって思ってさ」
「そんなに種類あんの!?」
「いや、まぁ具体的には4種類あるからさ?ってことで、いきなりで悪いんだけど今から俺の家来れる?」
「いける!すぐ行くわ!!」
「おっけ、住所送っとくから着いたらインターホン鳴らして?」
「わかった!!」
涼太が描いたイラストにワクワクしながら電話を切って送られてきた住所を確認する。
「え?マジでここに住んでんの?」
そこに書かれてる住所は都内でも高級なタワマンが乱立している地域で、ちょっと気になってしまって調べてみたら家賃月80万とか出てきたんだけど?
ワクワクよりもドキドキの方が増してきた。
実は涼太の家にお邪魔するのは初めてのことで、いつも涼太に家の話をするとはぐらかされてた。
確かに一般人だった俺が、イラストレーターしてる涼太の家に行ってどんな情報を手に入れかねないからだったんだろうなってのを今になっては思う。
そして、俺の家から電車で20分ほどのところにある涼太の家のエントランスに着いた。
エントランスにコンシェルジュさんがいるマンションなんて中々見かけないぞ?え、本当にここに住んでんの?
恐る恐るインターホンを鳴らすと、すぐに返事が返ってきた。
「おっ!早かったじゃん!!今開ける!!」
本当に涼太の家だった。ドアが開き俺は中に入る。明らかに場違いな俺の存在に浮き足立ちながら涼太の住む部屋の階までエレベーターで上がる。
そして、到着すると涼太が玄関先で待ってくれていた。
「よっ!蓮!!」
「本当に涼太だ」
「え?なんの話?」
「いや、こっちの話」
「とにかく中に入れよ!」
「お、おう」
さぁ、俺の心臓はイラストを見るまで保つんだろうか?
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