第六話:知ってたか?主人公は必ずしも有能とは限らないのだよ
で、今はそのプチ戦争を横目に僕はたしか名前を鳳凰院 マリアとかいった正面に佇む美少女を見上げる(ほんの少し距離とか立ち位置とかオーラとかのせいでほんの少し、若干小さく見えるだけに決まっている。というかそう思いたい)。
「さて、仲嶋 流時。この私がハウスダストの巣窟、いえ生産所に赴いたのは他でもありません。実は…」
話し始めた銀髪美少女の真後ろに生き残りのリーゼントが折り畳み式のナイフを手に取り、襲いかからんとする姿が僕の瞳に映った。
「危ない…!!……………………おぶへぇ!!」
そして害のないはずの僕に火の粉が降りかかってきた。
―― 一応状況説明をさせてもらおうかな。…別に格好悪く見られるのが嫌なわけなんじゃないんだからね!!
咄嗟に声を上げたのに美少女はクエッションマールを頭の上にいくつも積み上げるだけで後ろにリーゼントが迫っていることを知らずのんきに笑顔を絶やさずにいる。
一歩。
間に合わないことは火を見るよりも明らかなのに動かさずにはいられない。
大した言葉も交えていないのに助けたいと思った。
だから手を伸ばした。
なのに、…なのに現実は違った。
締め上げようとしたリーゼントを見ずに身を沈めて肘鉄を腹にねじ込んで、呻いているそれの足を払って学ランの胸襟辺りを掴み、手首を握り流れるような手捌きで投げ飛ばした。
その光景はさながら映画の一場面のように滑らかで、鮮やかで助けようとした僕は食い入るようにただただその光景を見ていた。
そしてそんな風に呆然と立ち尽くしている僕を見て銀髪美少女は煌めく髪をかきあげながら頬をそっと緩めて口を開いて、
「これくらい鳳凰院財閥の令嬢たるものこれくらいできなくてどうします。」
そう口ずさんだ。
「どこの黒○事ですか、あなたは!!」
と、●執事っぽいセリフに突っ込んだ僕は後ろから忍び足で近付いてきたリーゼントに気付くことなく大人しく頭を殴られて気絶してしまったという訳です。
ケッ、どうせ僕はひ弱な帰宅部ですよ。
というわけで僕は大人しく気絶しましたとさ。めでたし、めでたし。
さて二月最初の更新日となりました
なんだかとっておも久し振りの気がするのは自分だけでしょうか。
突然で話は変わりますが、今月の十三日は十三日の金曜日ですよ。
はい、どうでもいいですね。
ではまた来週のこの時間にアップすることを目標にがんばります
ローテンションの作者こと赤村 佐紀でした
PSコメント等待ってます