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第12話 朝の目覚め

 剣士は差し込む朝日が顔を直撃し、それによって目を覚ました。



「あ”ぁ”~、やっべ、飲み過ぎたわ」



 何度も頭を揺さぶられた感覚に陥り、朝日に無理やり起こされた剣士は、寝起きだと言うのにすでに満身創痍といいったところだ。


 昨夜ははっきり言えば、痛飲しすぎてしまった。


 領主やその夫人と一緒に晩餐を囲んだのだが、その際に旅の話をせがまれて、出された料理を平らげながら、勧められるままに酒を飲み、気分が良くなって更に喋る。


 それの繰り返しだ。


 そして、酒にはそれほど強くなかった剣士は、きっちりと二日酔いになってしまい、朝日が完全に登り切るまで目覚めることは無かった。


 どうにかあてがわれた客間にまで辿り着いたところまでは覚えているが、そこから先の記憶はない。


 今も頭がグワングワン呻き声を上げており、身体が思うように動かなかった。



「う~。朝日が二つに見えるぞ、こりゃ。こんな時に神官がいれば、二日酔いを治してくれるのに」



 優れた治癒術を使える旅仲間の神官なら、どれほど飲んでも翌日にはすっきり治してくれた。


 おまけにお祈りだと言って朝も早く、自分を含めただらしないパーティーの他三名を起こすのもいつもの事だ。


 だが、そんな世話焼きの神官もいないし、自分でしっかり起きねばと、剣士は必死で体を起こした。



「あ~、頭イタイ~。でも、起きないと~。うぇ~い、今日はどうするかな~?」



 まだ鈍っている頭を必死で働かせながら、今日の予定を組み立て始めた。



「まずはやっぱり、昨日の爺さんにもう一回会いたいな~。なにしろ、彼の大英雄、『剛腕の勇者』だもんな。是非手合わせ願いたいもんだ」



 全盛期なら到底勝ち目はないだろうが、今の老体ならば勝てそうな気がするのだ。


 経験の差や油断から昨日はとんだ醜態を見せたが、正面切って戦えば絶対に負けない自信があった。


 なお、二日酔いで頭がガンガンなのは考慮に入れないものとする。



「でも、爺さんに言われたように、まずは『奇麗すぎる村』の方から攻略するかな~。情報収集するならあそこだって、爺さんも言っていたし」



 だが、そのためには押し寄せる色香の波に耐えねばならない。


 村人全員美男美女。笑顔を浮かべて、キラッキラしている空間だ。


 腕にはなおも、布越しの押し当てられた“たわわな果実”の感触が残っており、誘惑に耐えねばならない気持ちを萎えさせてくる。


 暴力的なことは無いだろうが、老人との鍛練とは真逆の方向で苦労しそうであった。


 ひとまずは起きて、領主に朝の挨拶でもしようと部屋を出て、食堂に向かった。



            ~ 第13話に続く ~

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