第一章09 夕飯はザワークラウトとスパニッシュオムレツサンドで乾杯!
―厨房―
「父さんただいま。」
「おうおかえり。スープと腸詰と簡単なサラダは作ったし。パンも平たく焼いたぞ。」
「ありがとうございます。」
父さんが作ってくれた品々は見た目もよくできていた。
伊達にずっと料理を一人でやってきたわけではないなと解る程に調理が早くて覚えると正確だった。
素早くキャベツを大量に千切りする。
大きなボールにキャベツを入れて塩と砂糖で揉みこむみ少し置くと鍋に酢と砂糖で隠し味に白ワインを入れて煮るとなんちゃってザワークラウトだ。
後はジャガイモを千切りにしてプライパンで大量に炒める。
それを冷ましたら卵を割ってスパニッシュオムレツにしよう。
時間があるので蒸しパンでも追加で作ろうかな…。
薄力粉と卵と砂糖と牛乳とオリーブオイルを入れる。
すべて混ぜて沢山ある小鉢に生地を流し込み蒸かす。
最初はプレーンでいいかもしれない。
「今日も色々作るんだな。これはなんだ?」
「蒸しパンは一応甘いパンですデザートのようなものですね。」
「甘いパンなんてあるんだな?この卵焼きもうまそうだな。」
「スパニッシュオムレツといいます。ジャガイモの細切りを炒めてオムレツという卵焼きにします。」
「このキャベツはなんだ?」
「ソーセージにそえるキャベツです。すっぱくて美味しいんですよ。味見してみます?」
「ああ…これはすっぱいがさっぱりしていて旨いな!」
「甘みも少しあっていいですよね。」
「これなら夕飯も大盛況だろうな。この卵焼きはパンに挟むのか?」
「挟んでもおいしいと思いますよ。」
「今夜もなかなか豪勢だな。」
腸詰の出来を確認してはいい出来だったので時間もあるしもう一種類ぐらい作るか…。
リンゴで天然酵母を仕込むのもいいかもしれない。
天然酵母を仕込むために大きな瓶にリンゴと水を入れて瓶の蓋を占めて日当たりのいい場所に置く。
あとは何回かひっくり返して混ぜるだけだ。
よし腸詰のハーブを沢山効かせたやつも作ろう。
いつもの作り方にハーブを多めにいれて作るとゆでる。
ゆで汁は残しておく。ハーブを乾燥させて砂糖をのせて燻す。
いい香りになってきた。
これもいい出来になりそうだな。
今夜はハーブの腸詰とプレーン腸詰とザワークラウト、野菜スープにサラダとスパニッシュオムレツサンドと蒸しパンの夕飯になるだろう。
夕飯を作り終えるとキリさんとニーナさん二人のご飯を先に出すことになった。
「いいにおいだわん!」
「本当ね…とてもいい香り…今夜も楽しみね。」
「お待たせしましたこちらザワークラウトとオムレツサンドにサラダと野菜スープです。デザートに数量限定の蒸しパンどうぞ。」
二人の目の前に盛り付けたお皿を置く。
「これはどうやってたべるんだわん?」
「ザワークラウトは腸詰をきってこのキャベツとたべてみてください。サンドイッチは手づかみで食べます。後はスプーンやフォークで。蒸しパンは食後ですよ?」
「わかったわ…んーおいしいわね。この腸詰とすっぱいキャベツが腸詰をさっぱりたべられるわ。それに昨日の腸詰と少しちがうわね。」
「こっちは香りが強いハーブを多めに混ぜてみたんです。」
「このサンドイッチもおいしいワン!卵焼きの中にないか張ってる?」
「ジャガイモを軽く炒めて火を通したものがはいってますよ。」
「ジャガイモなんだワン?美味しいワン!」
「スープもおいしいわ。サラダも食べやすいわね。」
「これが最後のやつワン!ん…すごく甘くておいしいワン!!これご褒美かワン?」
「ご褒美ですかね…あまり沢山作れないので。たまに出しますよ。」
「楽しみにしてるわ。」
二人が食べ終わり食器を運び終わると夕飯目当てのお客様がやってきた。
「レシピかったぞオーガスト!昨日の今日で画期的だったぞ。」
「シルベスターさん。いらっしゃいませ。夕飯ですか?」
「おーアーヴァン君よろしく頼むよ。二人だ。タリーズと来たんでな。」
「どうも。よろしく。」
盛り付けは父に任せて俺が今日は夕飯を運ぶ。
「お待たせしました。本日のメニューはこちらです。腸詰は切ったりそのまま食べたりお好きにキャベツと食べてください。パンは手づかみでどうぞ。」
「ほう…ありがとう。これはレシピのやつかね?」
「そうですが今日のオムレツはジャガイモがはいってます。」
「ほう…これはどうつくるんだね?」
「ジャガイモを炒めて冷ましてから卵に混ぜて焼くだけですよ。好きな具材を入れて焼いてみてください。」
「素晴らしいな。頂くとしよう。う…うまい!!サンドイッチも美味いいが、この腸詰も美味いのう!!」
「本当ですねシルベスター様。私はこんな美味しいもの食べたことないです。」
「うちの店でもこのサンドイッチとやら売ってみるのおありだな。」
「それはまたいい考えですねシルベスター様の商会ならすぐ沢山の方が買いに来ますよ。」
「オーガストうちの店で出してもかまわないか?」
「あのレシピを考えたのはアーヴァンなんだ。」
「確かにレシピ考案者はアーヴァンだったが子供のお使いでアーヴァンだったのではないのか?」
「ちがうわ。アーヴァンが一から考えたからアーヴァンがいいなら大丈夫だ。」
「いろいろなお店が切磋琢磨して美味しいサンドイッチを作っていただきたいので構いませんよ。家でも具材を変えて出しますし。よろしければお弁当として売り出すのはいかがですか?」
「お弁当とはなんだね?」
「携帯食ではなく容器にいれたり紙に包んだりしてサンドイッチを売るんです。勿論ごみは持ち帰ってきて一か所に捨ててもらう形となりますが。サンドイッチは具材の工夫次第で化けるんですよ。」
「ほかには何を挟むとうまいのかね?」
「サラダでもいいですし…なんでもいいんですよ。」
「シルベスター様いいアイディアじゃありませんか?」
「そうだな。よしそのお弁当とやらやってみよう!」
「頑張ってください。」
夕飯を平らげると蒸しパンのおいしさにレシピを聞かれたので、後日ギルドに売りに行くと話しておいた。
個人的に売ってくれないかと言われたが断っておいた。
蒸しパンもいろんな種類があるし、プレーンからいろいろ作ってほしいからな。
沢山のお客様に蒸しパンを配ったが全員にはわたらず女性のお客様間の戦争になりかけた。
蒸しパンやデザートは数量限定で売ることにした。
別に料金を取ればと納得してもらい。
売り上げは俺の懐に入ることになった。