第一章05 少し豪華な朝食はミネストローネとオムレツサンド
少し長いです。
―夕食どき―
大勢の冒険者のお客さんが宿に帰ってきたようだ。
俺も今日から仕事をしているのでお出迎えをする。
C級冒険者のサイモンさんとシンさんというらしい。
昼間に挨拶されたから覚えている。
「おかえりなさい。」
「おう!アーヴァンただいま。」
「おかえりなんて言われたら田舎の母ちゃん思い出すなよな。」
「とりあえず腹減ったから飯を食わせてくれ。」
「夕飯付きは銀貨2枚別でいただきます。その代わりにエールはついてます。」
「おう先払いだな。銀貨2枚だ。旨い飯頼むぞ。ここの飯は何くっても旨いからな。」
「かしこまりました。」
「アーヴァン肉焼くぞ!」
「はい!」
急いで厨房に向かうと肉を準備する。
まずは二枚ずつでいいかとフライパンを温めて肉を焼く。
白ワインでフランベすると皿に温野菜を並べ、焼きあがった肉を載せて温野菜にドレッシングと肉はそのまま。
千切りにしたキャベツをスープに最後に加えたものをよそい、パンを皿にのせ腸詰を添えた。
出来上がると、最初に帰ってきた冒険者のサイモンさんとシンさんの分を運ぶ。
「お待たせしました。本日は野菜スープと腸詰と温野菜サラダにあばれ牛のステーキとパンです。お替りの際は声をかけてください。」
俺は急いで次の肉を焼くための準備をする。
父さんもフランベを見ていたが慣れてないと怖いらしく俺が肉焼きの担当になった。
父さんと母さんも手伝いに来た。
後は夜だけパートに来るキリさんとニーナさんも加わり、ひたすら俺が肉を焼き父さんが盛り付けた。
―客席―
「これは新作か?」
「腸詰ってのがなんなのかわからないが食ってみるか。」
「うまそうだしな。」
「はく…っうんまえええ!!」
「肉汁がうまいし何よりエールにあう!」
「肉もいつもと違うのか?ガブ…こりゃうまいぞ!いつもより肉がやわらけえ」
「この野菜も旨いし味付けがさっぱりしているな。」
「スープもいつもよりうまいな!いつもより沢山食えるぞ!お替りしないとな。」
「腸詰ってやつがほんとうにうまいな。」
「オーガスト全部お替りくれ!」
「俺も俺も!」
中々繁盛しているらしい。
この世界のお金だが銀貨を先ほど鑑定するとほかの通貨の金額がでた。
銅貨1枚10円、大銅貨1枚100円、銀貨1枚1000円、大銀貨1枚1万、金貨1枚10万、大金貨1枚100万、白金貨1枚1000万、大白金貨1枚1億というのがわかった。
家の宿屋は朝食銀貨3枚、昼食銀貨2枚、夕食銀貨2枚で一泊大銀貨1枚という値段だ。
宿にしては安いほうらしい。
冒険者がどんどん夕飯を食べに来たおかげであっという間に肉も腸詰もパンもスープも売り切れた。
明日の朝の仕込みにとトマトが沢山有ったのでミネストローねとパンの仕込みを手伝う。
朝から卵の確認をしておく。
生野菜のサラダを少しとミネストローネとオムレツサンドにすることにした。
ニンジンとキャベツを千切りにして、トウモロコシから実を祖切りしてコーンにする。
豆を水につけてふやかして置き。ブロッコリーやアスパラ、プチトマトの下準備をする。
ミネストローネに入れるジャガイモ玉ねぎとニンジンとコカトリスの肉を賽の目切りにして、オリーブオイルで炒めると塩コショウで味付けながら白ワインと水を足し、火にかける。
沸騰しぐつぐつ煮込むと灰汁を取り、ハーブで臭みを取りながら戻した豆を加え、トマトをペーストにしたものを加える。
ミネストローネの隠し味に砂糖も加える。
これで明日になれば味がまとまるだろう。
パンをしっかりこねていく。
ドライイーストがないのでハード系のパンになり等だったので、いつものパン生地を薄く延ばして焼くことにした。
パン生地を仕込み貯蔵庫で休ませる。早朝に焼くらしい。
サラダ用の野菜を水分を取り塩もみしておくきゅうりを細切りにして塩もみをしておいておく。
物足りなさそうなので、オークの肉を薄切りにして千切りにしたニンジンとキノコを巻いておく。
塩コショウで味付けして大量に仕込む。
明日はプリンでも作ろうかな…材料はあるし夕飯に限定何個で作ってみるか…。
取り合いにならなきゃいいな…あとはお酒を飲まない人向けにだな。
エールに合うようにまた腸詰を作りザワークラウトでもつくるか。
宿屋の風呂に入り早々に眠ることにした。
子ども部屋と両親の寝室とリビングキッチンのおうちと、部屋数20と大浴場とトイレがある。
宿屋にしてはこじんまりとしているがパートが昼間と夜来てくれるので何とかなってるらしい。
俺も最初は俺たち家族だけじゃ回せないと聞いたら、獣人のキリさんやエルフのニーナさん、人間のラースラさんやフウさんという近所の主婦が朝食と昼食は手伝いに来てくれるらしい。
ルームクリーンは母さんが一人でスキルのおかげでこなせているらしい。
厨房は父さん一人だったが俺が加わるし何とかさばけるだろう。
すっかり考え込みながら眠りについた。
―翌朝―
早朝目を覚ますと着替えて厨房に向かう。
父さんがもうスープを温めていた。
「おはようアーヴァン。ちゃんと起きれたな。窯あっためてあるぞ。」
「ありがとございます。パンを焼いてしまいましょう。」
パンを平たくナンのように伸ばす。
それを沢山量産しひたすら焼いていく。
籠に沢山の卵をいれ貯蔵庫から持ってきて大きなボールにひたすら割っていくと牛乳を塩コショウを加えしっかり混ぜる。
熱したフライパンで大量に仕込んだ肉巻きを焼いていく。
白ワインと醤油にした調味料と砂糖とショウガで味付けて蒸し焼きにする。
塩もみした野菜の水けをきり、サラダ用の野菜を混ぜて昨日と少しかえてレモンではなくオレンジの汁をまぜたドレッシングをまぜたサラダにオレンジの実を混ぜてオレンジサラダにする。
お皿に盛り付けて、皿に肉巻きを盛り付けミネストローネをよそい、オムレツを熱したフライパンにバターを入れフライパンを3つ並べてオムレツお焼いていく。
薄く焼いたパンにオムレツとはさみオムレツサンドにする。
出来上がるころにはちらほらとお客さんが起きてきた。
「さあアーヴァンどんどん作ってくれ。俺たちが運んでくる。」
「今朝は何人前ですか?」
「昨夜の料理がうまかったからかいつもより多いな。宿以外の客もきてる。」
「わかりました。どんどんつくります。」
ラースラさんとフウさんも合流したので忙しいながらどんどん作っていく。
いつにない賑わいを見せているらしい。
こんなに人が来るならもっと手の込んだ飯を夕飯や昼食にはつくらなければならないな。
ただ昼食はそこまで来ないらしいので簡単なご飯を津yくっていこう。
パスタなんか量産しやすいしいいかもしれない。肉団子スープとミートソースとかでいいかもしれないし、平たいパンでピザなんかもおいしいかもしれない。
―食堂―
「今朝の飯も変わってるがうまそうだな。」
「このさらだにスープすげえうめえぞ!」
「サラダにオレンジなんて初めてだが本当にうめえな。」
冒険者が騒いでいると旅の商人のお客様が歩いてくる。
名はシルベスターさんといいシルベスター商会の会長で、いろんな町に行商に行っているようだ。
昨夜の評判を聞いた沢山の冒険者や、シルベスターさんのよう初めましての商人も訪れている。
シルベスターさんの前にも朝食が運ばれてくると銀貨3枚を父さんが受け取る。
「お替りが必要なら早めに言ってくれよ。ごゆっくり。」
「そんなに美味しいのでしたら私もいただきましょう。」
シルベスターさんが初めて見るサラダにフォークを伸ばし口に運ぶと目を見開く。
「うううううまい!!何だこのサラダは!!いままで食べたことないぞ。このパンみたいなものはどうなんだ?これも旨いふわふわとした卵焼きなんて初めてだ!スープもねっとりとした真っ赤なスープだが酸味とほのかな甘みがさわやかでうまい!この肉を焼いたのも野菜が巻いてあってうますぎる。」
シルベスターの向かいの席に貫録の良い優しそうな紳士がやってくる。
この町でご意見番をしているタリーズさんがやってきたのだ。
「おや、シルベスター様もいらしてましたか?」
「ターリンズさんではないですか。いやぁ貴殿に教えていただいて来てみたが本当にうまいですな。」
「此処の食事は前から美味しかったのですが昨夜からさらに旨くなったと人づてに聞いたのです。こちら相席してもよろしいですかな?」
「もちろんかまいませんよ。」
タリーズが腰かけ二人とも食後のお茶を飲み始める。
タリーズは朝食は家でたべてきたようだ。
朝食には紅茶が付いてくるのでたりーずは別途注文したようだ。
「しかしこの斬新な料理は売れそうですぞ!平たいパンに卵焼きを挟むのは食べやすいですし。」
「今朝のご飯は食べていないですが、昨夜の腸詰なるものはすごくおいしかったですよ。」
「それは聞いたことがない料理だ。店主この店はレシピは売ってないのかね?」
だいぶ客足がおちついてきた店内で父さんが呼ばれる。
「そうだな…一応近いうちに商業ギルドにレシピを売るつもだ。」
「それがいいと思うぞ。早速真似をする店舗も増えてくるだろうが商業ギルドがついてればしっかりレシピを買って商売するなら別途金も入るから安心だろう。」
「誰がこの斬新なレシピを考えたんだい?」
「うちの息子の新しいスキルだよ。スキルは秘密だけどな。」
「なんとうらやましい限りだ!」
「レシピの売り出し待ってるぞ。店主邪魔したな。」
二人は紅茶を飲み干すといそいそと帰宅する。
俺は何とかさばききったお客様の洗い物を洗っていく。
洗いながら母さんと父さんや従業員と護衛のご飯を用意する。
みんなしっかり食べてもらって昼飯もしっかり用意しないとな。