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第一章04 異世界人もびっくりウィンナーとスープに革命第一段!

今回は少し長めです。

―陽だまり亭―


昼食は朝より人が少なくて思ったより忙しくはなかったが、スープは見事に空っぽになった。

何回か配膳はしたが優しいお客さんが多くてよかった。

見るからにこわそうな見た目の人もいたが冒険者らしく優しそうな人が多かった。

みんな口々に美味しいと言って沢山スープやパンを食べていた。


俺は腸詰の材料を集めていた。

ハーブ類に燻製用の茶葉や、塩コショウやスパイスにミンチにしたオーク肉。

下処理した腸を手に詰める機会がないかもしれないなと気が付いたが似たような器具が調理場にあった為それで代用することにした。


父さんが興味津々ながら自由にやらせてくれるのをいいことに、肉をこねて調味料やハーブスパイスを入れたミンチを、腸に詰めて口を閉じて一回ゆでる。

ポイントは器具や肉をしっかり冷やし、冷たい状態で作ること、なので父さんの水魔法で冷やせたらいいんだけど、応相談だね。

ゆで汁はスープに使うため残しておく。

母さんを呼んできて深めのフライパンに茶葉と砂糖を入れて網を敷き、腸詰を載せて火をつけ蓋をし燻し始めた。

結構煙が出るので母さんに煙をスキルで吸ってもらっている。


「アーヴァンは不思議な料理を作るのね?これもスキルの効果かしら?」


「うちのレシピにはないものを作り出して吃驚したがなかなか旨そうだよな。」


「これは燻すという香りをつける調理法で火も通せるんです。茶葉の香りがついておいしくなりますよ。ほかにもチーズや野菜なんかもおいしくできます。」


「そうなんだな。アーヴァンのスキルはすごいな!見たことのないレシピまで知ってるなんて。」


「いい匂いもするし出来上がりが楽しみだわ。」


「出来たら味見しましょう。美味しかったら夕食に出しましょう。」


「そうだな。スープはどうするんだ?」


「こちらの腸詰を茹でたときの出汁で野菜を煮て作るつもりです。付け合わせに温野菜のサラダなんかも作っていいですか?」


「構わないが何をつけて食べるんだ?」


「そうですね…オリーブオイルにレモン汁と塩コショウを混ぜてかけましょうか?」


「食べたことない組み合わせだから心配だが旨ければありだな。」


「私は長く生きてきたけど斬新な組み合わせばかりで楽しみよ。オリーブオイルなんて肌にするものだと思ってたわ。安い油だし。」


「肌にするなら椿油野がいい気もしますがないんですかね?」


「椿油ってなにかしら?」


「花の油で少量髪や肌にするとつやが出るといわれてます。」


「アーヴァンはどこでそんな知識をえたのかしら?」


「夢で読んだ本の知識ですよ。ささ、燻し終わりましたよ。」


「おお!できたのか?」


「先にスープの野菜を切ってしまうので少し待ってください。父さんもジャガイモやニンジン玉ねぎを賽の目切りにしてください。」


「わかった。」


「母さんはもう少し待ってくださいね。温野菜をつくってしまいます。」


「なら待ってる間帳簿つけちゃうわね。」


父さんにスープの野菜を切ってもらい、俺はレンコンに似た野菜とブロッコリーとカリフラワー、ニンジン、さつまいもやカボチャを一口大に切り父さんが使ってなかった小さな穴の開いた鍋を深い鍋に水を入れ重ね野菜を並べ蓋をして火をつけ蒸し始めた。

量が沢山なのでいつか蒸籠みたいなものも作りたいなとおもう。

夜までお客さんはいないので母さんはキッチンに居ても大丈夫らしく俺たちを見ながら書類仕事をしていた。

俺は牛乳を温めはちみつを入れたものを母さんに差し入れることにした。


「父さんその野菜をこの鍋に入れたら柔らかくなるまで茹でますが汁はすてないでください。」


「ゆで汁を捨てないのか?灰汁はどうするんだ?」


「灰汁だけ救えば大丈夫です。待たせてる母さんにホットミルクを差し入れたいので作っていいですか?」


「構わないが俺にも作ってくれ。ホットミルクってのが何だかわからないが。」


「わかりました。」


父さん鍋を見てもらいながら、護衛の人にもと五人分すこし多めの牛の乳を鍋に入れて沸騰しないように温めてコップに注ぐと、蜂蜜をスプーン一杯たらし混ぜた。


「出来上がりました。熱いので気を付けてくださいね。鍋は見とくので母さんや護衛の方に一息ついてもらってください。」


「ありがとう。牛乳はデザートに冷たいまま飲むもんだと思っていたが…こういう飲み方もあるんだな。」


「アーヴァンにオーガストありがとう。」


「スーラとジノに渡す前に味見しないとな…ふー…ごくっ…うまいなこれは!ほんのり甘くてまろやかでなんだか落ち着く味だな!」


「本当ねこれは疲れが取れそうだわ!スーラとジノには私が差し入れて来るからオーガストはアーヴァンをお願いね。すぐ戻るわ。」


「ああ、わかった。」


「父さんだいぶ野菜が柔らかくなってきたので灰汁をこうやって取ります。」


「なるほどお玉で灰汁だけを丁寧にすくうんだな?」


「そうです。灰汁が取れたらここに肉団子を加えてもおいしいのですが今日は野菜スープなのと腸詰や焼いた肉もつけるつもりなのでキャベツを仕上げに足して出すので先に塩コショウと白ワインで味付けます。ここにハーブを加えると臭みが軽減します。」


「ちょっこまてメモを取らせてくれ…臭みを取るためのハーブだな…。仕上げにキャベツか。」


「最後に入れないと火が通りすぎてしまうので俺はくたっとしたのも好きなんですが少し触感を残したいので千切りにして入れます。」


「なるほどな明日の朝になったらくたっとしたキャベツになって今夜は歯ごたえがあるスープになるつうことだな」


「はい。後は夜に焼く肉の仕込みをします。」


「肉は切って焼くだけだろ?俺にだってできるぞ」


「ただ切って焼くだけでなくて筋切りという工程と塩コショウをしてもみ込んでおいたり硬いお肉はたたいたりくずや際につけておくと柔らかく食べやすくなります。」


「たたく?どうやるんだ?」


「やって見せるので同じようにやっていただけると助かります。」


「おお。ホットミルクがなかなか旨かったから半信半疑だったがうまくなるならいくらでも手伝うぞ。」


「ありがとうございます。」


いつも出ているあばれ牛の肉の塊を厚さ5㎝位に切り分けると筋切りをする。

余った肉や、橋の切り落としは次に使えるのでとっておき、包丁の背で肉を両面叩く。

少し薄くなった肉に塩コショウと臭みけしのハーブを揉みこむ。

これを多めにつくる。

おおよそ100人前は作りアイテムボックスに入れておく。


「こんなに作ってうまくなかったらどうするんだ?」


「そうですね口に合わなかったら俺が責任もって食べます。」


「ただいま。アーヴァン。スーラとジノが喜んでいたわよ!」


「母さん良い所に。おかえりなさい。仕込んだ肉を焼くので味を見てください。本当は少し置いたほうがいいのですが…父さんが半信半疑なので。」


「わかったわ。」


「では一枚だけ焼きます。先に腸詰とスープの味を見てください。父さんもお先にどうぞ。」


肉を焼くためにフライパンを熱しながら、ウィンナーを一本づつ皿にのせ、スープを少しさらによそい机に置くと両親が椅子に腰かけた。


「アーヴァンこれはどうやって食べるの?」


「手づかみでも、切り分けてフォークで食べてもいいですしそのまま齧り付いてもいいんですよ。パンにはさんでもおいしいですし。」


「そうなのね。はしたないけどオーガストしかいないしそのまま食べてみましょうか。」


「ガブ…っ…なんだこれは!うまい!肉汁が凄い量だ!」


「ん…ほんとね!油が美味しくて臭みもなくて…香りが付いたお肉なんて初めてだわ!」


「スープも飲んでみるか…ん…うまい!これだけでもうまい!」


「スープだけでこんなにおいしいのよ…野菜も一緒だともっと美味しいのでしょうね。」


肉を硬くならないようにフランベして素早く焼くと皿に移し、一口大に切って差し出す。


「肉も焼けましたよ。うん…なかなかうまいですね。」


「どれどれ…これが肉なのか?いつもより柔らかい!」


「うまみもあるし何より食べやすいわね!」


「これは今夜は肉を沢山焼かないとならないな…冒険者どもが沢山食うぞ!」


「スーラやジノも沢山食べると思うわ」


「腸詰はおひとり様2本までで30人前しか用意できてないので、肉を沢山食べていただきましょう。温野菜もできてます。」


手早く作ったドレッシングを蒸した野菜にかけて渡す。


「私はカボチャをいただこうかしら…んさっぱりして美味しいわね。とても甘いわ。」


「このレンコンにも合うな…」


「あまり食べすぎないでくださいね。お客様の分がなくなります。」


「いやあ…美味しすぎるぞ…こんな調理法でこんなにうまいものができるなんてな。」


「これはうちだけだとさばききれないわね…そうだわ商人ギルドに近いうちにレシピを売りに行きましょう。」


「それがいいかもしれないな。ホットミルクなら主婦が簡単に作れるし、スープや腸詰は飯屋が真似をしたがるだろ、肉もこれだけ簡単ならみんな真似をしたがるだろ。」


「さて美味しいものも食べだことですし…夜ごはん頑張りましょう。」


食器を片付けると母さんは受付に、父さんはパンの仕込みを始めた。

俺はパンの作り方を見ながら天然酵母をリンゴで作ろうと思う。



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