再会
[第6話] 再会
今日は夏休み明けの仕事で、5年ぶり(?)となる彼の会社へ取材することになっている。
彼は宇宙開発事業に携わる社長なのである。
飛鳥と社長は名刺交換を済ませ、取材を進めていく。
業務としては宇宙開発と宇宙旅行に力を入れいて、タイムスリップもすでに行なっているという内容だった。
社長自身も業務的にタイムスリップを体験して飛行機の性能を確認しているようだ。
取材終わりに、社長から食事に誘われた。
社長は、「幼少期の約束覚えてる?」と口にした。
社長は名前と面影から飛鳥だと認識していたのだ。
前に同じ事言われた気がするんだけど...。
過去に私が聞いたフレーズだ...。
しかも、取材内容も過去に取り上げたものと同じだし...。
デジャブ...?
いや、これは現実だよね...。
飛鳥は少し混乱しているようだ。
実は今まで飛鳥が目にしてきた全ては彼女自身の妄想であり、夢の中の出来事だったのだ...。
お互いタイムスリップして未来に行って放射線を浴びて、病に打ち勝って、結婚に向けて動き出す...。
実は社会人になってから、ある時、押し入れの整理をしていると幼少期の写真が出てきた。
懐かしさのあまり見返していたら幼少期に彼との約束を思い出し、その思い出に浸っていた。
全ては思い出の写真がキッカケだった。
学生時代は彼氏はいたが長続きしなくて結局今はフリー。
長続きしない理由は、頭のどこかで幼少期の約束を気にしていたからなのかもしれない。
だが、約束は大人なるにつれ頭の隅に置いやられていた。
そして、写真を見返していたら、だんだんと淡い気持ちが蘇ってきて彼の事が気になり出していた。
気付いたら、飛鳥は妄想の中で彼と結婚するまでの道のりを勝手に描いていた。
それは夢の中にも登場するまでになっていた。
哲学的に、思考は現実になるというが、強い一念で未来を思い描くと、現実になるらしい。
知ってから知らずか、飛鳥の思考は現実味を帯びていくことになる。
よって、現実世界では何も2人の間には関係がスタートしていなかったのである。
しかし、現実は飛鳥の妄想通りに動き始めるのである...。