運命
[第5話] 運命
もう現在に戻れない事実を知った飛鳥は、未来での生活を強いられることになった。
本来、夜は帰りの時間だったが、不測の事態にツアー会社から説明がなされた。
「添乗員を含めた私達は放射線による地球壊滅により現在に戻れなくなってしまいました...」
「奇跡的に戻れたとしても、即おだぶつです」
「しかし、現在ではなく過去に戻ることはできます」
「もし戻れても滞在できる年数は現在までです」
「このまま未来に残るのも選択肢の一つかと思います」
飛鳥は悩んだ...。
過去に戻っても現在で壊滅するのを知った上で暮らすのは、あまり気が進まない。
未来で生活するなら、私は彼と結婚を成立させなきゃならない。
だって私の存在は確かに今ここにしかないのだから...。
現在の時系列は消滅してしまったから、今この場に存在する未来しか暮らしていく選択肢はないのだから...。
やっと答えが纏まった...。
飛鳥は彼に現在に帰れない状況を話した後、もう迷う必要はないと伝えた。
彼は、「これも運命。もう迷わないよ。時系列ばかり気にしていた俺がバカだったよ」
と、飛鳥の気持ちを受け止めた。
こうして2人は結婚に向けて同居を始めることになった。彼は特効薬で健康になったし、私自身も同じように特効薬を打てば宇宙旅行による放射線の心配もない。
もう何も心配事を抱えなくても暮らしていけると確信していた。
だか、飛鳥には腑に落ちない事がある...。
現在の時も同居を始めたが、この未来でも同居を始めるのって、おかしくない?
時系列では5年間は同居しているはず。
しかし、また同居を始めるってことは、どこかのタイミングで別れたのかな?
飛鳥にとっては空白の5年間になってしまった。
現在に戻れない状況に確認しようがない。
それについては、後で彼に聞いてみることにした。
あと気になる仕事だが、私の職場も変わらず存在していて私は夏休み明けに出勤することになっているらしい。
私自身は存在しているが、頭の中だけは5年間の空白があるため、仕事が引き継げるか不安だが何とかなるような気がした。
休み明けの仕事は、彼の会社へ取材に行くこと。
現在の時も取材したっけな...。
そんな思いを抱きつつ、明日は休暇明けの仕事になる。
迎えた当日、飛鳥は驚愕の出来事に遭遇することとなる...。