いざ装備、またしてもチートそして修羅場⁉︎
冒険者になれると聞いた僕はまず装備を整えるために記憶の中にあった馴染みの鍛冶屋に行く。
ここには幼馴染で同い年のドワーフの女の子、ミュウがいるところだった。
ドワーフとは鍛治に特化している種族であり、少し尖った耳以外人間と外見はほとんど変わらないが寿命は200〜300年と長めだ。
人間と同じように成人まで成長し、人間でいう20代の期間が寿命の9割以上を占めるほど長い。
鍛冶屋シディルゴの店主兼鍛治人はミュウの父でスミスという。
「スミスさ〜ん、来たよ〜」
と行って店に入ると
「ノアくんいらっしゃい」
と言って出迎えてくれる濃い茶色の髪を持つ可愛い子がいる、この子がミュウだ。
うん、記憶の中でも可愛かったけど実際に会うとさらに可愛い。
さらに記憶の中ではラブラブなカップルみたいな関係だ。膝枕やら「ノアくん大好き〜」「僕もミュウのこと大好きだよ」と言い合いながらハグしたりほっぺにキスしたりなど、である。
この日も「ノアくん大好き〜」とハグしたり、屋敷から持ってきた弁当をあ〜んしあったりなどである。
午後になってミュウと一通り遊んだ僕はスミスさんに
「冒険者になれる年齢になったので装備を整えたいんです、あと鍛治術も教えて欲しいです」
と頼むと
「ノアくんの頼み事ならもちろんいいよ」
と快諾してくれた。
スミスさんに教えてもらいながら鉄で短剣を作る。
鉄を鍛えて、
焼き入れのタイミングをはかり、
最後に研いで柄や鞘をつけて完成。
その短剣を見たスミスさんが
「な、なんだその短剣は」
と驚いた顔をしていたので神眼で鑑定すると
~【鉄之神短剣】~
【名前】まだ無し
【筋力】毎秒+10%(元が100だとすると1秒経つと110、2秒経つと121……と増えていく)ただし鞘から抜いている時のみ。鞘に戻すと効果は消える
【敏捷】毎秒+20%(元が100だとすると1秒経つと120、2秒経つと144……と増えていく)ただし鞘から抜いている時のみ。鞘に戻すと効果は消える
スキル付与枠
【不壊】何が起きても絶対に壊れない
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
【…….】空き
うん、やっちゃった。
《鍛炎之神》の効果だ。
火の加減とか鍛治に必要なことを全て分子レベルで理解しちゃって本気で鍛えたものは全て《神》級になるっていう…
まあいいか、
机の上に突っ伏しながら「なぜ、初めてでなぜ、なんであんなものが作れるんだ、俺の努力は今まで…」と嘆いてるスミスをほったらかし2階に行き、
「ミュウ〜、疲れた〜膝枕して、」
と言ってミュウの部屋に入る。
「いいよ、ノアくんおいで」
と言って正座するミュウの膝の上に頭を置く、いい寝心地だ。
「あのね、ノアくん、ミュウは本当にノアくんのこと大好きだよ」
と言われた。
何やらガチャっという音が聞こえたがスミスだろう。
スミス公認の関係なのでスミスの前でイチャイチャしていても大丈夫なのだ。
「僕も本当にミュウのこと大好きだよ」
と返す。
これは転生以前と今を合わせた本心だ。
そうするとミュウがいきなり顔を近づけてきたと思ったら口にキスをされた。
転生以前の記憶には口にキスをされた記憶はない、初めてだろう。
顔を赤くしている。
「ミュウは本当に可愛いなあ」
といつの間にか声が出ていた。
ミュウが
「そ、そんなことないよ」と言い終えたか言い終えてないかで急に別の声が入る
「ノア、その子は誰ですか?」
とても冷え切った声だ。
そして転生以前の記憶で聞き覚えがある。
なぜ今、よりにもよってこの娘がいるんだ。
ものすごい寒気を感じながら声のした方を見ると
ミュウに向けて「初めまして。私はプロシオス王国第3王女、オリビア=フォン=プロシオスという者です。10歳です。そこのノア=フォン=ロバストの婚約者です。以後お見知り置きを」と挨拶をする。
今明らかに婚約者を強調したな、
ミュウは「お、お、王女様⁉︎」と驚いていたが急に冷静になると
膝の上の僕に向かって聞いたことのない冷え切った声で
「ノアくん、聞いていないんだけどどういうことかな?そもそも貴族の子なんて知らなかったんだけど」
と言ってきた。
「ス、スミスさんには教えたんだけどな〜」
と返す。
やばい、これがいわゆる修羅場というやつだろうか
というか僕の姿勢がダメだ。
一刻も早く立って帰りたいのだが立とうと動くとミュウからものすごい無言の圧力がかかるので膝枕のままだ。
もちろん、もう少し膝枕を堪能したいという欲もあるのだが、
「仕方がないです、ミュウさんとミュウさんのお父様のスミスさん、それにノアをここまできた馬車に乗せていったんロバスト邸に帰りましょう、拒否権はもちろんないですよ」
オリビアが怖い。
そしてそのまま僕とスミスさんは連行され、ミュウとオリビアさんは馬車の中で終始睨み合っていた。
読んでいただきありがとうございました。次も読んでいただけると嬉しいです。