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金髪ヒロインは正義です!

木漏れ日が温かい森の中。

僕は、一人の女の子とのんびり歩いていた。

ついさっき熊を蹴り殺したとは思えない穏やかさである。


「それにしても、モンスターを一人で倒しちゃうなんて……リョウさんは元の世界でも強かったんですか?」


現代日本であれだけの力があったら災害認定されます。


「いやぁ……あれは多分、こっちに来るときに神様からもらった力なんだよね。だから僕の力じゃないんだ」


「でも、リョウさんは私を助けに来てくれました。私、あのときは本当にもう駄目かと思って……」


「……そういえば、マリーちゃんはなんであんな危ないところにいたの?」


…………あっ。


これは聞かないべきじゃなかったのか?

くそっ、融通がきかないなぁ『主人公補正』!

空気読めない鈍感主人公のカラクリはこれか!!!







「……実は私、逃げてきたんです」


彼女は足を止め、切ない声でそう呟いた。


「私は見ての通り貴族です。いえ、貴族でしたというのが正しいかもしれません」


彼女は遠い昔の思い出のように語りだす。


「貴族と言っても、都市から離れた小さい村を領地とする弱小貴族でした。小さな村でしたが、不自由なく、皆平和に暮らしていたんです」


これは不味い流れだ。頼むから何も起こらないでくれ。

マリーちゃんのこれ以上ないほど悲しい顔に、つい叶わぬ願いが込み上げてくる。


「村が、盗賊団に侵略されたんです。突然の出来事で何もわからないまま、父様や村の皆に促されて、私は一人で逃げ出しました。……森を走っている間、村の方から叫び声が何回も聞こえて………………私は、独りで、、、村の、皆は……、」


悲嘆の言葉が、涙と共に溢れ出す。


残念ながら、泣いている女の子に掛ける言葉は見つかりそうにない。


だが、何もできないのは嫌だ。

泣いている女の子になにかしてあげたいと思う、この気持ちは普通のはず。


僕はその少女を、正面からぎゅっと包み込んだ。


言葉は要らない。

ただ、僕の気持ちが伝わるように。

彼女の気持ちが、僕にもっと伝わるように。


少女の涙が胸を濡らし、青く染めていく。


「うぅっ……父様、母様ぁ……みんなにあいたいよぉ………………!」


溢れた思いは堤防を決壊させ、なお流れ続ける。


今まで落ち着いた印象だったが、どうやら抑えていたようだ。

自分でコントロールしていたことに驚かされるが、ずっと我慢していたらきっといつか壊れてしまうだろう。

やっと年相応の一面が見られたことに、少しほっとする。


「落ち着くまで泣いていいんだよ。そばにいるから」


背中をそっと撫で、優しく語りかける。


「本当、ですか……?」


彼女は顔をゆっくりと上げ、上目遣いで問いかけてくる。


「うん。約束するよ」


「うわぁぁぁぁぁぁん!!!りょうさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」


一人の少女の泣き声が、一人の少年の胸に響く。

よしよし。いい子いい子。

今後この子に降りかかる困難は全て僕がぶっ壊そう。

あと数十分は落ち着く様子のない少女を胸に抱え、僕は密かにそう決心した。

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