斎藤利三
「ランマルよ、この数多おる、こ奴らは、我の敵なのか?」
魔王は門の前にいる明智軍の兵を槍で示しながら質問した。
「はっ、こ奴らはすべて裏切りものの明智の兵でございます」
蘭丸は怒りを込めて応えた。
「何、裏切っただと!!!!」
魔王は怒りで表情が変わった。
「信長だ! 信長が出てきたぞ!」
明智軍は突然の織田信長本人の出現に騒然とした。
「皆の者、こ奴は信長だ! 討ち果たせ!」
指示を出したのは明智軍の重心、斎藤利三であった。
信長に向けて一斉に明智軍が群がった。
「はああああーっ」
信長は、槍を明智軍に対して薙ぎ払った。明智軍は信長の1槍で数十人が吹き飛ばされた。
信長は止まらない。一瞬のうちに明智軍、数百が命を落とした。
「えっ、こっ、これは・・・・」
斎藤利三は慌てた、目の前の光景が信じられなかったのだ。斎藤はこれまでも最強と唄われた戦国武将を何人も見てきた。しかし、どの戦国武将と照らし合わせても、目の前の信長は別次元であった。もはや人間業とも思えない・・・・
「お前が、大将か?」
呆然としている斉藤利三に信長が声をかけてきた。
「お、お前は本当に信長か?」
利三は馬鹿な質問をしてしまった。
「信長? われは魔王なり!」
信長は槍を構えて応えた。
「魔王?」
利三は、困惑した。
「やろうか!」
信長は利三に嬉しそうに勝負を申し込んだ。
「えっ!」
利三は震えていた。
「あああああーっ!」
利三は無我夢中で信長に突っこんでいった。
「おおっ、来たな!」
信長は槍を上段から振り降ろした。
「ザバシュッ」
斎藤利三は体事体を真っ二つにされた。
「上様っ」
信長を後ろで見ていた森蘭丸は、目の前で繰り広げられる光景に震えていた。
「ありえない、上様は本当の魔王になってしまわれたのか!」
そのころ明智光秀のもとに、斎藤利三が討たれた報告が入った。
「何! 利三が!」
光秀は精鋭を引き連れ、信長出現の報を受けた場所を目指した。
そのころ、信長はすでに1000を超す兵を討ち果たしていた。
もはや、明智軍で信長に向かっていこうという兵はいなかった。
「何をやっておる。お前たち!」
明智軍は逃走する兵が続出していた。
「こ、これは・・・・!」
光秀が信長のいる場所に到達したとき、1000を超える兵の屍の上に信長は腰かけていた。