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猫の動物カウンセラー  作者: K・Sメッセ
鈴とナナ、墓参りに行く
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鈴とナナ、墓参りに行く(5)

 鈴から追い出されたリンは、鳴き声をあげながら、部屋の中に入れてよと言っているようなしぐさで、ドアをガリガリとさせ。その音にいらだった鈴は、うるさいと大きな声を上げ、ベッド上からクッションをドアに投げつけ。しばらくこのやりとりが続き、根負けしたのは鈴の方で、そのことがわかったのか、リンもガリガリをやめた。


 鈴は、部屋から一歩も出てこない。それに対して、リンは、鈴の部屋の前から一歩も動こうとはしない。まるで我慢比べのように見える。

 鈴は部屋から一歩も出てこないといっても、さすがにトイレを我慢するにも限度がある。

 鈴は両親が仕事に出かけたことを2階から確認し、ドアを開けトイレに行こうとした。

 その時、足元にはリンが座り、ジッと鈴を見上げ見ている。この時、ドアが開いているにも関わらず、リンはこのチャンスに微動にしない。部屋に入ってもまた追い出されると思っているのか。

 鈴は、1階のトイレから戻ると。リンは鈴の部屋の前で、鈴を見ているその目はどこ寂しそうで。いや、違う、なんか睨んでいるようにも見える。

 鈴は無言のまま、リンに背を向け、ドアを開け、部屋の中に入って行った。


 鈴はお昼になっても部屋から出でてこない。母親は鈴の部屋の前に行き、一言声かけ、皿にのせたおにぎりを床に置き、リンにも大好物の猫缶を皿にのせ床に置いた。

 夕方になり、今度は父親が鈴の様子を見に行くと。

 相変わらず、リンは鈴の部屋の前にいる。しかし、大好物の猫缶は食べていない。鈴もおにぎりを食べていない。

 父親はリンに一言声をかけ、皿にのせた猫缶を床に置き、鈴にも皿にのせたおにぎりを床に置いた。


 午後11時。鈴の両親の寝室は2階にあり。両親は寝室へ2階に上がると、リンは鈴の部屋の前にいて、ドアをジッと凝視している。猫缶は食べていない、鈴もおにぎりを食べていない。両親は2人におやすみなさいと声をかけ、寝室に行った。


 翌朝。結局、2人は一口もご飯を口にしていない。鈴はこの時、リンがご飯を食べてないことを知っていた。

 母親は、ご飯はちゃんと食べなさいと2人に言い。また、猫缶とおにぎりを床に置いた。

 両親は仕事に行き、しばらくすると鈴が部屋から出で来た。リンは黙ったまま鈴をジッと見上げ、鈴はおにぎりをのせた皿を手に取り、部屋に戻り。この時、部屋のドアは少し開き、開けっ放し状態。それでも、リンは部屋に入ろうとしない。

 鈴がおにぎりを食べると、リンも猫缶を食べ。鈴は食べ終わった皿を部屋のドアの前に置き、リンを見ながら、「部屋に入りたくないなら勝手にすれば!?」、部屋のドアを閉めた。

 鈴が食事を摂ると、リンも食事を摂る。鈴が食事を摂らないと、リンも食事を摂らない。リンの不思議な現象が始まった。


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