ナナの欠落した記憶とは(6)
原西の父親は、ナナの想いを胸に刻み、必ず息子を警察に引き渡すと誓い。これ以上犠牲者を出す訳にはいかない。一刻も早く東京第一動物病院に戻り、ことの真相を明らかにすると言いった。
ナナは、この逮捕にうってつけの人が入ると言い、福山警部を紹介した。ナナのことは伏せている。
原西の父親は、急ぎ東京第一動物病院に戻ると、福山警部と数名の刑事と合流し。原西の父親は、以前ナナが着けていた首輪を手に事務室に行き、事務長の目の前に立ち。
「事務長、これに見覚えはありませんか? ご存じですよね?」
「理事長、どうしてそれを……? 私は、徹さんに言われて……」
すると、事務長は椅子から立ち上がり、申し訳ありませんでしたと言いながら土下座をした。
事務長は、警察に連行され。原西の次男の別荘にいた、伊藤も警察に連行され。あとは、地下研究室にいる原西の次男と2名の研究者たち。
原西の父親は、理事長が持っていた地下研究室のカードキーを手に、地下研究室のドアの前に立ち、カードキーを通し、暗証番号を入力し、ドアを開けると。目に飛び込んできたのは、ケージ入れられた、数匹の猫たち。
すると、原西の次男が父親に気づき、突然の訪問者に呆然と立ち尽くし。
「……親父、どうしてここに!? どうやってここに入った!?」
「徹、お前は何をやっている!? 猫をなんだと思っている!? いくら兄と比べられようが、お前はお前じゃないのか? 違うのか!? この研究は終わりだ。罪を償って、自分のやったことに反省しろ!」
「……親父に俺の何がわかるが!?」
原西の次男は、父親を睨みつけ。原西の父親は、手に持っていたナナの首輪を掲げた。
「お前はナナに何をした!?」
「ナナだと!? その首輪、どうして、親父が持っている?」
「半年前、玄関先で見たこともない猫が雨に打たれ倒れていた。私は急いで手当をし、CTを撮り、驚いた。これは、人間がつくりだした猫だと確信した」
「ナナは、生きているのか?」
「お前はナナに何をした!? 悲しい顔をしていた。お前たち裏切られ、どんな想いで死んでいったか、ストレスが原因だろう、耐えられなかった。お前にナナの気持ちがわかるか!? もう終わりにしてくれ、頼む……」
原西の父親は、深々と頭を下げ。隣にいた福山警部は、原西の次男に歩み寄り。
「警察だ、お前の罪は非常に重い、覚悟するんだな」
原西の次男は、抵抗することなく、福山警部に手錠をかけられ。他2名の研究者たちも警察に連行されて行った。これで、ナナの存在を原西の次男に知られることはない。伊藤たちにも知られることはない。




