ナナの欠落した記憶とは(1)
2日後、午前6時を過ぎ。ナナはいつものように朝起きると、鈴の父親と一緒にソファーに座り、ニュースを見ていた。
すると、こんな朝早く鈴の父親のスマホにメールが届き、内容を確認すると。幼馴染の原西貴志からゴルフの誘いだった。
原西は、東京第一動物病院の院長で、かなりの資産家でもある。獣医師の腕は鈴の父親と互角と言われ、歴史ある動物病院でかなり有名だった。そんな原西は、去年は仕事が忙しく、趣味のゴルフどころではなかった。しかし、最近、長男に院長の座を譲ったことで、やっとひと段落し。ひさしぶりのゴルフだと早朝にも関わらずメールを送った。
「こんな朝早く、メール誰から?」
「古い友人からのゴルフのお誘い」
「こんな朝早く!? お父さんって、ゴルフできるの?」
「ダメだね」
「そうだと思った、だって、趣味は絵を描くことだから」
「確かに……なんか、それって悲しくないか?」
「でも、お父さんの絵は、才能アリだよ」
「ナナ、お前だけだよ、そう言ってくれるのは……お土産買ってくるからな」
「ヤッタね」
なんかいいようにうまくナナに乗せられた感じの鈴の父親だが、ひとつ困ったことが。その時、鈴が2階から降りて来た。
「おはよう、相変わらず2人、仲良いいね!?」
「鈴、おはよう、久しぶりに貴志が来るって!?」
「えっ!? そうなの? これで、第一動物病院も安泰ね」
その時、ナナの記憶に異変が起こり。
「第一動物病院……!? 第一動物病院、第一動物病院、どこかで聞いたような……あれ、何? 今の記憶……そうか、そういうことか!? 思い出した、なんで私がここに来たのか、そんなことより、お姉ちゃん、記憶戻ったよ、早くあいつらを捕まえて!」
東京第一動物病院と聞き。突然、欠落していたナナの記憶が蘇った。なぜここにナナが来たのか、あいつらとは誰なのか、捕まえてとは。ナナは思い出したくない過去と、思い出さなければならない過去のはざまに立っていた。




