ナナの休日(1)
それから1週間が経ち、この数週間はいろんなことがあったナナと田中先生。
鈴は、福山警部から例の件の協力依頼の回答をしていた。
ナナとしては、動物のためなら協力はおしまない。田中先生としては、事件の内容にもよるが、動物たち悲痛な叫びを聞くことになり、辛い状況を知ることにもなる。ナナがそれに耐えられるのか。私は、断った方がいい。
この結果を踏まえて、臨機応変に対応することで、一応、協力はすることになった。断る場合もあるということ。
早速、福山警部から、1件の依頼メールが鈴に届いた。
依頼内容は、1人暮らしのお年寄りが住む家に強盗が入り、貯めていた老後の資金を全部もっていかれた。白昼の出来事で、留守を狙っての犯行。
その一部始終を飼い猫のクロが見ている可能性がある。クロも元気をなくしている。飼い主の辛さを見ているからなのか、被害者は、これからどうやって暮らしていくのか、銀行に預けていればとよかったと泣いていた。
ナナは、クロの話を聞くと。あんな主人の姿は見たくない、あまりにも辛すぎる。あんな姿を見てご飯が食べられるか。俺は犯人を見た、あと宅配の男だ、あの匂いは忘れない。
福山警部は、急いで被害者の自宅に行き。最近、宅配業者から荷物が届いていないか確認すると、2日前に荷物が届いていた。しかも、その男とたまに世間話をしていたと言う。その時に、留守にすることを話していた可能性があると。もしかしたら、つい知らず知らずにお金の話をしていたかもしれないと。
福山警部は、その男に任意で話を聞き。思わず、クロが見ているんだよ、と言うと。その男は口を滑らし、犯行を認めた。単独犯で余罪もあり、盗んだお金はまだ使っていなかった。
3日後、強盗にあった老夫婦のもとに盗まれたお金が戻り、クロも一安心していた。
今日は、ナナと田中先生は休日の日。2人の休日は一緒だが、たまに鈴と同じになる日がある。
2人とも同じ職場だが、なかなか2人きりで話をすることがない。鈴がナナに話しをしようとリビングに行くと。ナナは、日の当たる窓のそばで寝ている。起こす訳にもいかず、そっとしている。
仕事のことは、楽しくやっている、楽しいとはちょっと違うか、悩みを聞いている訳だから。やりがいのある仕事だとは言ってたけど、ナナの記憶は戻るのか。いったいなんでここに来たのか、気になるのは気になるのよね、考えても仕方ないんだけど。鈴はソファーに座り、もの思いに耽っていると、隣にナナの視線を感じ。
「お姉ちゃん、もうお昼ご飯のことを考えているの? まだ10時だよ?」
「それは、あんたでしょ」
「確かに、違う違う、失礼な……でも、あの角野教授って、とんだ食わせもんだよね!?そのおかげであの猫缶が食べられるけど、お姉ちゃんも尊敬しているの?」
「尊敬はしているけど、何を考えているか、わからないところがあるよね」
「確かに、そんなところあるよね」
2人は、ソファーに座り、まったりとしていると。そこへ、長谷川とタマが遊びに来た。あの事件のあと、タマは1ヶ月間入院をし、怪我も完治し退院してから初めて鈴の家に遊びに来たことになる。タマは、ナナがここに住んでいることを知らない。
「おまえ家、ここだったのか……?」
「タマ、久しぶりね、って、勝手にソファーに座らないでよね!?」
「そう堅いこと言うな!? 親戚だろう? 一応だけど」
「そうなるの? 違う違う、まあいっか、それで、怪我は大丈夫なの?」
「大丈夫に決まってるだろう? なんたって主人の師匠だからな」
「確かに、そうだね、私のお姉ちゃんだし」
「お姉ちゃん!? 主人ではないのか? おまえは人間なのか?」
「私は、れっきとした猫です!? ただ、世界一の猫と言うだけのこと」
「それ、自分で言うか?」
「私はいいの」
「おまえはいいよな、人間と喋れるから……」
この時、長谷川は鈴の母親が相手をし。ナナの隣に座る鈴は、何も言えないナナを知ってか。
「2人、仲が良いのね? もしかして結婚の相談?」
「はぁ!? どっからそういう発想が生まれの?」
「私は、お似合いだと思うけど」
「まさみちゃん、この人なんとかしてよ!?」
ナナは、長谷川に助けを求めたが、長谷川は2人をジッと見て、そうかもねと言う。ナナは、あきれて何も言えず。タマは、ナナの隣でいつの間にか寝ていた。




