鈴とナナ、墓参りに行く(2)
鈴は昼食を食べるため自宅に帰ると。早川副院長と鈴の両親はダイニングテーブルに着き、昼食を摂らずに鈴の帰りを待っていた。
すると、いきなり早川副院長が立ち上がり。
「鈴、ごめんなさい。ナナのこと話しちゃった。私、てっきりおかあさんにナナこと話しているものだと思って」
「別に、謝らなくても、どの道わかることだし」
「でも、このことは鈴が話さないと」
「そうなの? 私、気にしてないけど、でもありがとう。瞳、ちょっと相談があるんだけど?」
「相談!?」
「そうね。3時頃でいいかな!? そのことで、お父さんとお母さんにも聞いてもらいたい話なの。それともう1人、ナナにも参加してもらうからね」
ナナも参加する、とはどういうことなのか。鈴の真剣な表情に、午後3時にリビングにみんな集まることになり。その前に、鈴と早川副院長もテーブルに着き、昼食を摂ことに。
食事中、家族が1匹、ではなく1人増えることに、鈴の両親はワクワクしていた。まさか、またこんな日が来るとは思ってもいなかった、この2人。既に、早川副院長からいろいろとナナことは聞いていた。しかし、改めて鈴にナナのことを聞いていた。
一方、鈴が入院室を出て行ったあと。ナナはその場に座り、これからのことを考えていた。
初めての家族ができる、ワクワクしている。ちょっと不安もあるけど、鈴がいてくれれば不思議と安心する、暖かい感じもする、あの人は信用できる。友達の瞳さんも信用できる。なぜ、信用という言葉が浮かぶのか、わからないけど。
一緒に暮らすということは、家族になるということ。ということは、私の立ち位置はどこなのか。友達なのか、それとも妹なのか。もしかして、鈴の娘とか。私は、鈴をご主人様とは思いたくないのよね。決めた、私は鈴の妹にしてもらう。これから「鈴」じゃなくて、「お姉ちゃん」って呼ぼう。うん、それがいい、鈴に相談しないと。
となると、鈴の両親は、私のお父さんとお母さんになるのか、なんかドキドキするね。家族か、なんかいいよね。私はもう1人じゃないんだ。ナナは、これからの暮らしを想像していた。