鈴たち、犯人を捕まえる(2)
翌朝、鈴はテレビのニュースを見ていると。長谷川家の近くで、昨日の夕方ボヤ騒ぎがあり。最近、この近辺で10件ボヤ騒ぎあった。ただ、1件だけは全焼している。
犯行日に規則性はなく。ただ、犯行時間は全て午後の時間帯。いずれも玄関先に燃える物が置かれ、昼間の犯行にも関わらず目撃者はなし。不審な人物は目撃されていない、犯人らしき人物は防犯カメラにも映っていない。この近辺に土地勘がある者の犯行と警察は見ていた。
公園前のコンビニの場所は、長谷川の家から、約100メートル離れた場所にあり。コンビニの前には道路を挟んで、タマが襲われた公園がある。タマが捨てられた場所でもあり。長谷川の家は、動物病院から車で東へ15分。
鈴は、地図アブリを使い、公園前のコンビニを中心に半径2キロ圏内に、あの10件の放火が入っていた。
公園前のコンビニの店員が犯人なのか。スマホで写真を撮るには、店舗の外で待ち伏せするしかない。出勤時間と退勤時間の時。お昼休憩の時。店舗周りと駐車場の掃除の時。あとは、コンビニの宅配。
もしかしたら、コンビニの宅配を利用しての犯行かもしれない。もしそうなら、あまりにも大胆不敵な犯行。
確かに、あの服装なら玄関先にいても誰も怪しまない。被害に合った被害者宅は全件留守、人的被害はない。偶然なのか下調べをしているのか。誰も宅配なら怪しまない。もしかしたら午前中に下調べをして、午後から犯行に及ぶ、計画的犯罪なのかも。鈴はそう考えていた。
午前8時、仕事は早川副院長にまかせ、家族からは写真を撮ったらすぐに帰るように言われ。鈴の車に乗り込み、安全運転で目的地のコンビニに向かった。
鈴は車を走らせ、18分が経ち。目的地のコンビニに着き、駐車場には8台の車がまばらに駐車していた。
鈴の車は、コンビニの正面から向かって左側の駐車場に、前向きで車を停め。正面には真っ白な壁があり。ちょうどここで壁が終わり、奥へと壁が続き。奥には、コンビニの宅配車が1台駐車している。
右側はコンビニの白い壁が見え、約5メートル離れ、この空間は駐車できないスペース。赤いカラーコーンが2つ置いてあり、壁際には中型バイクが1台駐車してあった。
バックミラーを見ると、道路を挟んで公園が見え、鈴は助手席に置いていたマスクを着け、金髪の男が現れるのをここで待つことにした。
鈴の車がここに駐車して2分経ち。突然、鈴の車の前方から何かが叩きつけられる音がし、音がした方を見ると、水色のポリバケツが転がり。コンビニの裏手からコンビニの制服を着ている金髪の男が現れ。鈴は、助手席に置いていたスマホ取り、金髪の男に気づかれないように写真を数枚撮り、すぐに頭を伏せた。
金髪の男の顔には、傷テープが張られている。
「くっそー、腹立つなー、あの店長。毎回、毎回、文句ばかり言いやがって……こんなバイト辞めてやる!」
金髪の男は、かなりイラつき、転がっていたポリバケツを駐車場の壁に蹴りつけ。壁際の中型バイクの前に立ち。ズボンのポケットから何かを取り出すと。ライターに火を点け、不敵な笑みを浮かべ。
「見てろよ、店長。思い知らせてやる」
金髪の男はヘルメットをかぶり、中型のバイクに乗り、その場を立ち去った。
鈴はすぐにスマホの写真を確認し、車のドライブレコーダーも確認すると。鈴のためなら飛んでくる連中、福山警部を呼びだし。スマホの写真とドライブレコーダーの映像を見せ、タマを動物型人相学で判断したところ、動物虐待の件、放火の件、犯人はこの男に間違いないと言った。
福山警部は、鈴の言うことを信じ、コンビニの店長に自宅が放火される可能性があると言い、現行犯逮捕の協力を求めた。
すると、快く協力に応じ、自宅にいる奥さんを友達家に退避させ、福山警部と相棒の刑事と2人で、コンビニの店長の自宅の張り込みを開始した。
午後3時、コンビニの店長の自宅に、コンビニ制服を着たあの金髪の男が現れ、手にはコンビニの袋を持っている。金髪の男は玄関チャイムを鳴らし、留守を確認すると、家の裏手に行き。その一部始終を真向いの部屋から、福山警部と相棒と2人で見ていた。住居侵入罪で現行犯逮捕、2人は急ぎコンビニの店長の自宅の裏手に行き。
「警察だ、その袋の中身みせてもらおうか!?」
警察と聞き、予定外の状況に困惑し、かなり動揺している犯人だが。
「……どうして、ここに警察が……」
「おまえ、昨日、猫を痛めつけただろう!? その頬の傷が何よりの証拠、猫をなめんじゃねぇぞ、わかったか!? 放火の罪も重いからな覚悟しな」
犯人の後ろには、相棒が逃げ道を塞ぎ逃げられない。
「なんだよ、ゲームオーバーかよ、つまんねーの、俺の負けか……!?」
犯人は、逃げ切れないと悟り、なんの抵抗もせず、あっさりと福山警部に逮捕され。犯人の手に持っていたコンビニの袋の中には、小型のタイマー式の発火装置でガソリンに引火する物だった。そしして、この犯人は、放火はゲームだと言っていた。留守を確認し、燃える物を探し、火が点けば俺の勝ち、このスリルがいいねと言い。家に火が点けば、ボーナスポイント。末恐ろしい犯人、余罪が多すぎて重罪は免れない。
このことは、福山警部によって鈴に知らされ。鈴はナナと一緒に、タマに犯人逮捕を告げ、タマは喜び、これでタマの怪我も報われる。しかし、無茶はしないでと長谷川は言っていた。そして、鈴が調子に乗り、無茶をしなくてよかったと、鈴の家族は思っていた。




