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猫の動物カウンセラー  作者: K・Sメッセ
鈴とナナ、墓参りに行く
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鈴とナナ、墓参りに行く(9)

 この日、激しく雨戸に叩きつける雨と風、台風が牙をむく。しかし、台風は予定進路を東寄りのコースに変え、ぎりぎり暴風域を外れ、台風は東京から離れて行った。

 ナナは、台風を気にすることなく、ぐっすりと眠り。鈴はパソコンに向かい、何か思いつき、この方法ならいける、あとはナナ次第ね、とブツブツと独り言を言っていた。


 翌朝、10月10日。台風一過とはこのことを言うのか、と言わんばかりにいい天気になり、河川の氾濫もなかった。

 鈴は、午前中病院を休み、ナナと一緒にここから車で15分の所にあるお寺に向かう。

 今日はリンの墓参りとナナの誕生日だが、それはそれで仕方がない。ナナは、キャリーバッグの中に入り、車には乗ったことがないと言うので、念のために酔い止めの薬を用意し、2人は駐車場に行くと。鈴の車、白の軽自動車が停まっている。

 鈴はリアドアを開け、キャリーバッグを後部座席に置き。車に積んでいた猫用の折りたたみのドライブボックスを後部座席に置き、ナナはその中に入り座った。

 ナナの初めてのドライブの行き先はお寺。これが、芝生のある公園とか、ディズニーランドとか。ナナは、いつもパソコンの前で写真を見ているだけで、実際に行ってみたいと思っていた。しかし、今はそんなことが頭に浮かばないほど、ナナは墓参りが大事に思えている、なぜこんな気持ちになるのか。


 鈴は運転席に座り、ナナの様子を確認し、エンジンをかけシートベルトを締め、お寺に向かった。

 ナナの目線からでは景色が見えないが、ナナはそんなことは気にせず前の方を見ている。

 鈴は5分ほど車を走らせ、ナナが車酔いをしているのではと気になり。

「ナナ、気分悪くない? 大丈夫?」

「大丈夫、全然平気。車ってこんな感覚なんだね」

「そこからじゃ、景色が見えないでしょう?」

「大丈夫、別に気にしてないから……。でも、そんなことを聞かれたら、ちょっと見て見たい気分に……」

「なんか、ごめんね」

「なんで謝るの? 仕方ないでしょ、私猫だから」

「確かに。違う違う、ナナでも景色が見える方法を考えないと」

「ありがとう、お姉ちゃん」

「ところで、どこか行きたいところある?」

「……ディズニーランドかな、でも、猫同伴できないし」

「もしかして、ミッキーに会いたいとか?」

「私、あの雰囲気が好きなの、でも、ミニーちゃんには会いたいかな」

「わかった。だったら、私の知り合いに相談してみるから」

「えっ!? そんな知り合いがいるの?」

「いるんだよねー、これが、ところで動物園には興味ない?」

「動物園!? 行ったことはないけど、なんか複雑な気持ちになるのよね、動物園って」

「やっぱりあれが気になるの?」

「あの檻を見ると、あの動物たちは幸せなのか……」

「だったら、聴いてみたら動物たちに?」

「えっ……!? そのことなんだけど、ごめんなさい。私、調子に乗ってました」

「どういうこと?」


 ナナの記憶によると、ナナの周りにはたくさんケージがあり、その中には猫がたくさんいて、他の動物たちはいなかった。

 時が経つにつれ、周りにいた猫たちが亡くなって行き。ナナは別の部屋にいて、その部屋にはナナ以外の動物はいない。どんな人に人間の言葉を教えてもらったのか、記憶がない。ということは、ナナは人間としか会話したことがなく、動物と会話したことがない。

 ナナは、自分の能力を過信していた。私ならどんな動物でも会話できる、だって私は世界一頭のいい猫、世界一の動物だから。

 もし動物と会話できなかったら、私はウソを言ったことになる。それ以前に、お姉ちゃんたちを騙したことになる。私は嫌われ、お姉ちゃんと一緒に暮らせなくなる。

 ナナは、そのことが急に怖くなり、正直に打ち明け、頭を下げ、とにかく謝り。鈴は昔の自分を思い出し。

「私たちって、似た者同士ね。でも、言っときますけど、私はそんなことであなたを絶対に見捨てたりなんかしない。あなたは私の大事な妹なんだからね、わかった!?」

「……わかった、ごめんなさい」

「わかったのならそれでいいの、許します。そうだ、動物病院に戻ったら、あなたの能力を試してみないとね。まだ、わかんないいでしょう? 会話できるかどうか」

「わかった。私、頑張るから」

「ナナ、誕生日プレゼント、何か欲しいものある?」

「いいの? パソコンが欲しいけど、特注のキーボードを用意しないとダメだし、かといって音声入力はちょっと使いづらいかな」

「それなら大丈夫。私の知り合いにそういうのが得意な人いるから、頼んでみるね」

「えっ!? そんな人いるの? すごいね。ありがとう、お姉ちゃん」

「猫がパソコンか!? そういう時代なのね」

「それ、面白くないんですけど。それに、私、調子に乗りませんので」

「学習したな。私、てっきり言うと思ったのに、私が世界一の天才猫だって」

「言いません。私、調子に乗らないって決めたので」

「すごいね、さすが私の妹」

「お寺、まだ着かないの?」

「もうすぐ着くわよ。天才さん」

「何それ? 私、引っかかりませんので」

「……」


 この時、鈴はなんか不思議な気分だった。


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