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絶賛青春中  作者: 東城 涼
一年生編
5/9

球技大会

今回は球技大会の話になります。

「これから開会式を始めます。」

 朝礼台に体育委員長が立ち挨拶をした。

入学してから時が経ち新しい生活にも慣れてきた4月の終わり頃、初めての学校行事として俺たちは球技大会をする事になった。

 球技大会。

この京浜高校で行われる学校行事の一つで学年ごとのクラス対抗戦。入学したての新入生はもちろんのこと、2,3年生もクラス替えをしているためクラス内の親睦を深めるためにと考案された。種目は、男子はサッカー、バスケ、野球、女子はサッカー、バスケ、ソフトボールとなっている。

 ちなみに、俺はサッカーとバスケ、智哉はバスケと野球、美桜はバスケとソフトボール、椎名は全種目、篠崎はサッカーに参加することになっている。

 二十分ぐらいで開会式と準備運動が終わり、いつものメンバーで集まる。

『第一競技って何だっけ?』

「私たち一年生は午前中は体育館でバスケよ。」

『じゃあ、私以外のみんなだね。二階から応援するね。』

「楓が応援してくれるなら、優勝しないとね。」

「そうだな。」

「まずは一回戦目ね。」

『最初は誰から?』

「うちの女子2チームから。」

『頑張ってね。』

「うん、ありがとね。」

喋りながら体育館に移動して少し時間が経ち、美桜たちのチームの試合が始まった。

相手はD組の1チームで、女子の中でも背が高い人達が集まったチームだった。

相手が背の高さを有利に攻めてくるのに対して、こちらは美桜が中心となって声掛けを行い、チームワークで攻めている。戦力差は互角で一進一退の攻防を繰り広げる。

試合終了のブザーが鳴る瞬間、美桜が放ったシュートがゴールに入った。そして、1点差で試合に勝った。

試合が終わり美桜が俺たちのところに戻ってきた。

「お疲れ様。最後のシュートすごかったよ。」

「いやいや、決まって良かったよ。」

『いや、スゲーよ。あのシュートめっちゃ綺麗だった。』

「そこまで言う?でも、ありがと。」

 美桜たちの試合が終わってから2試合が終わり、俺と智哉のチームの番となった。

 相手はH組の2チームで、チーム全員の仲が良さそうだった。予想だが、俺たちの様ないつも一緒にいるメンバーで構成されたチームじゃないかと思う。

 それに対して、俺たちのチームはメンバーが元運動部で構成されている。

試合はバスケ経験者の智哉を中心としたプレイをして、危なげなく勝った。

その後も椎名がいる女子のチームも試合に勝ち、俺たちは全員準決勝に進み美桜たちのチームの試合になった。ちなみにもう一つの男子のチームは二回戦で敗退した。

相手はG組の1チームで現バスケ部と元バスケ部のメンバーだけで構成されていた。

試合は前半のうちにかなり点差をつけられてしまったが、それでも最後まであきらめずに粘って点差をなんとか縮めていったが、それでも逆転は出来なく、負けてしまった。

 試合が終わり、美桜が戻ってきた。

「ごめん、負けちゃった。」

『ううん、凄かったよ。』

「そーそー、相手は全員バスケ経験者だよ。寧ろ、最後あそこまで点差を縮めたことがすごいって。」

「ありがと。じゃあ、葵あとは頑張ってね。ここから応援してるから。」

「ええ、次の試合に勝ってリベンジするわ。」

その後、俺たちのチームと椎名のチームは無事に決勝戦まで進み、美桜のチームは三位決定戦でC組の1チームに勝った。

そして男子の三位決定戦も終了し、ついに椎名たちの女子の決定戦が始まった。

前半、先制点を取られてしまったがすぐに取り返し、試合開始から両チームとも一進一退の譲らぬ攻防となった。同点のまま前半を終え、後半を迎えた。

後半開始直後、椎名たちは全員がポジションを変更するという奇策に出た。いきなりポジションが変わったことで、相手は戸惑うことになりシュートを決めることができた。

本来、バスケなどの球技にはポジションが決まっており、いきなりポジションを変えるとなると選手本人が対応できなかったりチームが機能できなくなることが多い。だが、椎名たちのチームにはバスケ経験者はいなく、クラス内で特に運動能力が高い女子だけで構成されていて、ポジションに関係なく全員が攻め守るというプレイになっているためこの作戦が通用した。

そのまま勢いに乗って点差をつけようとするもなかなか広がらず、残り時間3分のときに同点に追いつかれてしまった。試合が進み残り1分というところでチームメイトの一人が相手選手と接触してフリースローを与えてしまい、逆転された。それでもなんとか勝とうと最後にシュートまで持っていったが、リングに当たり外れてしまいブザーが鳴った。

試合が終わり、椎名が戻ってきた。

「ごめん、優勝できなかった。」

「いやいや、凄かったよ。うちらなんか結構点差をつけられたのに、ほんとに僅差だったじゃん。」

「それに相手は全員現役を含む経験者だったんだろ。最後までどっちが勝つ分からない程、良い試合だった。」

「ありがとう。じゃあ、あとは男子に任せてもいいのかしら?」

『もちろん、期待して待っててくれ。行こうぜ、薫。』

「ああ、行ってくる。」

 そう言って試合に向かった。

 相手はE組の1チームでバスケ部が1人いた。前の試合を観たところでは、そのバスケ部の人を軸にしたチームで、得点も1人だけ多かった。そして、その人は今回4番のゼッケンを着けていた。

 ブザーが鳴り、試合が始まった。先にボールを取ったのはこちらでそのままパスを繋ぎ、シュートを決めた。相手はすぐに再開して4番にパスをした。4番にボールが渡り、そのままドリブルで切り込んできた。すぐにディフェンスに行くが簡単に抜かれてしまう。そして、もう2人ドリブルで抜きシュートを決めた。

 前の試合を観ていたから知っていたが、実際に対峙してこの中で技術が頭一つ飛び出ていることを実感する。

 シュートを決めても、4番に決め返され同点のまま後半が開始した。

 後半は智哉を4番につけ、それ以外の4人でパスを出させないようにするといった方針に決まった。その作戦はうまくいき相手は攻めあぐねていた。が、こちらもそれは同じだった。相手は4番に頼っていたとはいえメンバーは全員運動能力が高い男子で、実力は拮抗し互いに決定力に欠けていた。

 そんな中で4番にパスが通ってしまい逆転された。そのまま時間が過ぎ、残り30秒といったところでパスカットに成功し逆転のチャンスが来た。すぐに味方にパスをし、リング下に走り相手を背にパスを貰う。そして智哉とすれ違うように入れ替わる。相手を引きつれつつ、バレない様に智哉にボールを渡す。俺が相手を引きつけたことによって生まれた空間に智哉がドリブルをし、レイアップシュートを放つ。ボールがリングを転がりネットに吸い込まれた。その瞬間、試合終了のブザーが鳴った。

 智哉が決めたことで同点になり、試合はサドンデスのフリースロー対決になった。

 互いに1人目2人目と順調に決めていき、相手が3人目のときに外してチャンスが来た。

 シューターは智哉で体育館が静まり返る。智哉が位置につきシュートを放つ。お手本のような姿勢からボールが放物線を描いてゴールに吸い込まれていく。

「入った…。」

 自分か、それともシュートを放った智哉本人か、はたまたチームメイトや相手、観戦している生徒の誰かが呟いた。まだ決まってはいないが、それほど綺麗なシュートだった。

 すぐにシュートが決まり、俺たちの勝ちが決って歓声が響いた。

 試合終了後、挨拶をして美桜たちのところに戻る。

「優勝だね。おめでとー。」

「おめでとう。凄くいい試合だったわ。」

『本当です。とても凄い試合でした。優勝おめでとうございます。』

と三人から祝いの言葉をかけられた。

「ありがとう。応援のおかげだよ。」

『そうだな。おかげで最後まで頑張ることができた。』

『いえいえ、そんな。』

「そういえばさ、智哉のフリースローめっちゃ綺麗だった。」

「確かに。途中で絶対入るって感じた。」

『あれは正直、自分でも出来過ぎだったと思ってる。』

「シュートと言えば、試合の最後に二人が入れ替わってたけど事前に打ち合わせでもしたの?」

「いや、してないよ。智哉が近づいて来たときに目で訴えているようだったから。」

「じゃあ、本番ぶっつけってこと?」

『ああ、薫なら絶対渡してくれるって信じてたから。』

「それにしても、よくそんなことができるわね。」

「まあ確かに。付き合いは短いけど、入学してからずっと一緒にいるからかな。」

『たまに何となくだけど考えがわかるときだってあるし。』

とそんな話をしながら教室に向かう。

 教室で昼食をとり少し早めに次の場所へ移動する。今回は西グラウンドでサッカーをすることになっている。

 サッカーは前後半15分ハーフで決着がつかなかった場合はサドンデスのPKで決めることになっている。各クラス男女1チームずつが出場することになっており、グラウンド広いため男女同時に進行される。

 そして時間になり試合が始まった。

 男子は小中でサッカーをやったことがある人が多く、白熱した試合になった。女子は体育の授業でしかやったことがないという人ばかりの中、椎名が一人ドリブルをしてシュートを打つといった無双をしていた。

 試合は順調に進み男子は2位、女子は1位といった結果になった。

 サッカーが終わり最後の野球となった。

 野球も同じで各クラス男女1チームずつ出場することになっていて、5回までの試合となり延長は一回ずつ増えていくようになってる。また、男子が西グラウンド女子が東グラウンドで別々で試合をすることになっている。

 そういうことで男女に分かれ、俺は智哉を応援した。

 野球もサッカーと同じで遊びなどでやったことがある人が多く白熱した試合になった。そんな中、特に野球部のメンバーが目立ち基本的にヒットを放ち、その度に試合が動くといったことが多かった。

 そして男子は現役の野球部がいないながらも健闘し、4位といった戦績になった。

 試合が終わったあと女子の方がまだ試合をやっているので、智哉と合流し応援に向かった。

 応援に行くと他のクラス同士の準決勝第一試合をやっていた。

 あたりを見渡すと日陰で美桜たちが休んでいるところを発見し、そこへ向かう。

「お疲れ。」

「お疲れー。男子はどうだった?」

『健闘したけど4位だった。』

「いや、入賞してるし凄いよ。」

「女子は?」

『美桜さんと椎名さんのおかげで順調に勝ち進んでいます。』

「そういえばさ、薫は何で野球やらなかったの?運動能力は智哉と同じくらいで、クラス内でも上位なのに。」

『俺も気になる。』

「あー、それ。その野球とかテニスのような自分の体以外の物を使ってボールを扱う球技って苦手なんだよな。」

「ヘー、意外。薫は球技系統だったら何でも出来ると思ってた。」

 話をしているうちに美桜たちの出番が来た。

「じゃあ、行ってくるね。」

 ポジションは美桜がピッチャー、椎名がキャッチャー、篠崎がショートを守っていた。美桜は元ソフト部の実力を発揮し何人ものバッターを打ち取っていた。また、たまに打たれることがあるが篠崎が落ち着いて的確に処理しアウトを重ねていった。

 攻撃では三人ともヒットを連発していた。さらに、サッカーと同じで経験者が少なく打つとエラーがすることが多く得点を重ね得ていった。

 かなりの得点差で勝ち三人が戻ってきた。

「お疲れ、みんな凄いな。」

『美桜は結構いい球を投げるけど、中学のときピッチャーでもやってたか?』

「うん。でも中学のときと比べると結構衰えちゃってた。」

「いやいや、あれ以上の球を投げられたら私が捕れなくなる。」

「でも、椎名も上手いよな。普通に美桜の球を捕ってるし。素人なんだろ。」

「確かに。っていうか葵は何でもスポーツできるよね。」

「別にそこまでよ。弟がいるから小さい頃付き合わされることがあって、他の女子と比べて球技に慣れる機会が多かっただけ。」

『それを言うなら篠崎も上手かったよな。確か篠崎も初めてなんだろ。』

『私は中学のときはテニス部だったから、小さいボールやバットとか物を使う球技が少し得意なんです。』

『へー、じゃあ薫と正反対ってことか。』

「そろそろ時間だし、行ってくるね。」

「おう、頑張れ。」

『目指せ優勝。』

「当然でしょ。」

『頑張ってきます。』

 そう言って三人は決勝戦に向かった。

 決勝戦では相手も強くなり、何度かヒットを打たれエラーが起きることがあった。それでも落ち着いてプレイをし、点差を広げ勝った。

 これでA組はバスケで男子が1位、女子が2位と3位、サッカーでは男子が2位、女子が1位、野球では男子が4位、女子が1位といった結果になった。

 そして西グラウンドで閉会式が行われ、1年生の中でA組が1位になった。体育委員会に所属している生徒が代表となり、賞状とトロフィーを受け取った。

 閉会式が終わり、記念にクラス全員で写真を撮った。その後、トロフィーと二枚の賞状を借り五人だけで残った。

 近くにいたクラスメイトに写真の撮影を頼む。

 1枚目はみんなで肩を組んで、2枚目はピースサインで撮った。3枚目は俺と智哉がバスケの賞状を持ち、美桜と篠崎がソフトボールの賞状を持ち、椎名がトロフィーを持っている写真を撮った。

 椎名は「何で私が。」と言っていたが全試合に出て活躍していたし、クラスメイトからもMVPだと思われていたから当然だと思う。

 写真を撮り終わり教室に向かう。帰りのホームルームで工藤先生から祝いの言葉を受け取り解散する。

 いつものように五人で駐輪場まで行き、校門前で別れる。

 家に着くと美桜がRINEのグループに写真を載っけていた。そこには、最後に撮った写真だけでなく、みんなの試合の写真も載っていた。

 それを見て笑みがこぼれる。

次の出来事に胸を高まらせた。


現在アルバムの写真は22枚

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

前回と比べると文字数が多くなってしまいました。

突然ですがフォローしていただいたハムスターさん、4話更新のつぶやきにいいねをしてくださった隣人@小説家になろうさんありがとうございました。

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