役員決め
今回はクラス内での役員決めなどの話をします。
朝、桜が散る通学路を自転車で通り、学校へ向う。
学校に着き、駐輪場に自転車を止めて昇降口に向かっていると、
『おーっす、薫。』
と智哉が後ろから声をかけてきた。
「おはよう。智哉も自転車通学?」
『ああ、っていうかこの学校の生徒だったら、ほとんどが自転車通学じゃないか?』
「そうでもないよ、雨や雪の日を考えて電車やバスで通学する人もいるって聞いたよ。」
『ヘー。まあ、俺の場合は雨の日でもバスを待っているより、合羽を着て自転車で来た方が早いけどな。薫は雨の日とかどうすんの?』
「俺も同じかな。」
といったやり取りをしながら教室に向かう。
教室に入ると、椎名がもう座っていた。
「おはよう、椎名。」
『おーっす。』
「おはよう、二人とも。」
『なんか眠そうだな。』
確かによく見ると眠そうな表情をしていた。
「昨日あのあと、美桜が女子だけのグループを作って遅くまでRINEをすることになって。」
「あー、なるほど。」
「多分、美桜はギリギリで来るんじゃない。」
と話をしていたら篠崎が来た。
『おはようございます。皆さん。』
「『「おはよう。(おーっす。)」』」
『椎名さんすみません、途中で落ちてしまって。』
「いいわよ、美桜が悪いんだし。」
「一体何時までやってたんだ?」
『私は3時くらいです。』
「私は6時前くらい。」
『もうそれ、朝じゃん!』
智哉が驚くのも当然だ。
昨日慣れない生活になったばかりで、疲れているはずだ。さらに言えば、椎名は学年首席として式で挨拶をしていた。
「疲れてないのか?」
「疲れてるっていうよりも少し眠いだけ。今日は授業はないし午前中で終わるから平気よ。」
といったところで、五分前のチャイムが鳴り工藤先生が入ってきた。
美桜と言えば、椎名の言った通り遅刻ギリギリにやってきた。
そして全員揃ったところで工藤先生がホームルームを始めた。
「おはよう、みんな。それじゃあ、今日の予定を話すぞ。まずは委員会の役員決め、次に授業の時間割や今後の予定の話をしようと思う。ちなみに委員会は学年会、風紀委員、保健委員会、体育委員会、文化委員会、報道委員会、図書委員会があるから始めるまでに考えておくように。」
といったところでホームルームは終わった。
終わってすぐに、ずっ友の面子で集まり話し始めた。
「みんな、気になる委員会とかあった?」
『俺は特にないな。』
「俺も。まず、どんな仕事をすのかわからない委員会もあるしな。」
「私も。でもやるとしたら、学校行事に関わる委員会がやりたいと思う。」
『私は、やるとしたら図書委員会がいいです。』
「うちは、めんどくさいし、こういうの苦手だからやりたくないな。」
「ぶっちゃけるなよ。まあ、その気持ちはわからなくもないけど。」
「でも、美桜はグループとかすぐに作ってたし、こういうの得意なんじゃない?」
「いやー、なんか全学年が集まって重苦しい雰囲気で会議するのが耐えられないんだよね。そういえば、葵眠そうだよね。」
「あなたのせいでしょ。」
『聞くけど、美桜は眠くないのか?』
「うん、少し眠いけどギリギリまで家で寝てたから。」
「椎名、なんか言ってやれば。」
「そうね、あなたのせいで二日連続で寝不足になったのだけど。」
「ごめーん、っていうかなんで二日?」
「ほら、昨日私首席として挨拶したでしょ。その挨拶のせいで一昨日は緊張して眠れなかったのよ。」
確かにそうだろう。
実際にやったことがあるわけではないが、全校生徒や保護者、ましてや来賓の人までいる重大な式で挨拶をするのだ。
想像してだけでも、身震いしそうだ。
「それはもう、お疲れさまとしか。」
「いやー、ほんとにごめん。」
「いいわよ、別に。ちゃんと今日寝れれば。」
「それは、約束する。」
といったところで、時間になった。
「じゃあ、始めるぞ。まずは学級委員からだ。委員長と副委員長を決める。仕事は式などの点呼と学年会の参加、あとはクラスの話し合いでのまとめ役だ。誰か、立候補する奴はいないか?」
シーンとした空気になる。
自分もそうだが、妙にこだわりを持っている人や成績表の評価を考えている人以外はやりたくないと思う。
このまま時間が過ぎていく。
時間の流れがとても遅く感じていく。
気まずい雰囲気になっていったその時、
「誰もいないなら自分が委員長をやります。」
と眼鏡をかけた男子が立候補した。
パチパチと全員が拍手をした。
工藤先生が
「ほかにやりたい奴がいなさそうだから、委員長は鈴木にするぞ。じゃあ、鈴木何か一言。」
と鈴木と呼ばれた男子が教壇に上がる。
「えー、この度委員長になりました、鈴木健斗です。今まで委員長をやったことがないので失敗することもあると思うので支えてくださるとうれしいです。頼りない自分がいうのは何ですが、自信が無くても興味のある方がいれば、ぜひ副委員長に立候補してください。以上です。これから一年間よろしくお願いします。」
緊張しているようだったが、彼の言いたいことは伝わった。
さらに、この一言のおかげで副委員長もすぐ決まり、十数分程度で役員決めが終わった。
ちなみに副委員長は女子の橋本美羽っていう人になった。
「じゃあ、この後は今後予定について話していくぞ。」
と工藤先生が教壇に立った。
「まずは、時間割と授業についてだ。時間割は今から配布するプリントに載っているから確認するように。」
とプリントを配布し始めた。
全員の手元行き渡ったタイミングで
「時間割はそこに書いてある通りになる。今後の予定としては、今日はこの後、体育館に集まりオリエンテーションとして、学年主任や各クラスの担任の先生たちからの挨拶や校則などの話を聞き終了になる。明日は、教材の受け取りと集合写真の撮影、健康診断があるので体操服を忘れないように。授業の開始は明後日からだが、一回目は授業の方針について話すだけだから、本格的な授業は各教科二回目からになる。」
と工藤先生が話した。
その後は、4月と5月にある球技大会と中間試験の説明を受け、時間になり体育館に向かう。
オリエンテーション中は智哉が少し寝ていたがそれ以外は特に何ともなく終わった。
その後、教室で解散すると美桜が
「葵には悪いと思っているんだけど、みんなこのあと十分ぐらい時間ちょうだい。」
「別に十分くらいなら私はいいわよ。」
「椎名がいいなら俺も。」
『私も。』
『俺もいいけど、何するんだ?』
「それは私も気になる。」
「今のうちに写真を撮ろうかなって。」
そう言って、美桜は工藤先生を呼び止め俺たちを屋上まで連れて行った。
「何で屋上なんだ?」
「今は桜が咲いていて綺麗だし、今日は空がよく晴れていたから。」
「別にそこまでしなくても。」
「いいの。こういうのはこだわるべきなの。さあさあ、みんなここに並んで。」
と言われるようにその場所に並んだ。
全員が揃ったところで美桜が工藤先生にスマホを渡し撮影を頼み、先生の掛け声とともにシャッターが切られた。
一枚目はポーズを無しに、二枚目はピースサインを、三枚目は各自好きなポーズをとった。
写真が撮り終わり工藤先生にお礼を言い、美桜がRINEのグループに写真をアップした。
「この調子でドンドン撮ってこー。」
「この調子だと、本当に千枚なんてあっという間に過ぎそうわね。」
「別にいいんじゃないか。それほど仲が良いってことになるし。」
そんな会話をしながら駐輪場まで向かい校門で別れる。
こうしてRINEのアルバムには合計四枚の写真が保存され、二日目は終わった。
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