再会
てゆーか、死んだのに意識ってあんの?何これ怖い。
もうかれこれ自分語り30分はしてるのに一向に無になる気配ないんだけど…
えぇ…死んでも無になるとかじゃなくて意識あり続けんのかよ…
手足の感覚もバッチリあるし、なんならなんかちょっと美味しそうな匂いさえしてる気が…
「おーぃ…おーぃ…」
誰かの声がする?なんだかとても昔に聞いたような懐かしい声。
声や匂いの方向を夢中でさぐるとパっと電気がついたかのようにどこまで続いてるのかさえわからない白い空間が表れた。
え?え?え?なにここどこ?天国?
でも俺は天国に行けるような人間じゃないしそもそも天国やら地獄やらは信じてない。
そんな混乱状態の俺を察してかまたどこからか呼ぶ声聞こえてくる…
「こっちだよこっちー!」
先程とは違う声?
右も左もわからない空間だが遥か彼方にポツンと点に見えなく無い距離に何かあるのに気づいた
その点に気づくと辺りの空間がぐにゃりと歪む。
目の前に急にまるで汚部屋…いや、片付けられない新入社員の机かの様に散らかった机が現れる
「やぁ!はじめましてだね(笑)
急に色々ありすぎて混乱してるみたいだが大丈夫かい?」
机の上に乱雑に積み上げられた本達の向こうから可愛らしい女の子の声が聞こえる
しかし全く姿が見えない。小さな子なのか全く見えないのだ。
「あぁ…大丈夫…なのかな?色々よくわからないけど自分が死んだこと位は理解できてるよ」
少し警戒しつつもそんな他愛のない言葉を返す
「それはよかった!なんせ君を20年も待っていたからね!」
20年?何を言っているんだこの子は?未だ顔さえ確認できていない女の子を不審に感じ、何とか態度に出さないよう努力したが雰囲気に出てしまったようだ。
焦った声で女の子は
「あ!忘れてた君を待っていたのは僕だけじゃないんだよ!
後ろをみてごらん?」
うしろ?そう呟きながら振り向くと
そこにはやっと紹介してくれるのかと半分イライラ半分ドキドキしてるかのような顔で立っている
かつて自分が12歳の頃に病気で死んでしまった優しい優しい祖父の姿があった。