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絶望老人が異世界転生をしたら、もう既に最強無双になっている?  作者: 賭博士郎C賢厳
B.バイオメドリグスの国編
98/122

91、金縛り……だと!?

  ●【No.091】●



 ここは "バイオメドリグス" の国の "女尊男卑の町" にて。



 あの日の満月の夜のこと。


 勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』が勇者ポグルスの手引きにより、見事に "女尊男卑の町" に潜入して、例の教会で、一晩過ごした。 その後で色々あったけど、なんとか無事に翌朝を迎えた彼女(マイカ)たち。




 早朝、起床した彼女(マイカ)たち。 早速(さっそく)、今後の事について話し合う。


「………」

「あら、どうしましたか?」

「いいえ、何でもないわ」

「あら、そうですか?」

「………」


 何かがおかしいわね。

 さすがはマイカ。 何かに気づいたか? 


 昨夜、一体何が起きたのか、よく理解できていない彼女たち。 ()()()違和感があったと思われるけど、()()()なんなのか、全く解らない。 それに礼拝堂に争われた形跡がない。 実際、誰もまだ争っていないのだから―――



 それよりも―――


「これからどうされます?」

「このまま街へ繰り出しますか?」

「ええ、そうね。

 聖女カロテラとカラスクイーンアテナについて情報収集するわよ。 今日一日で、どのぐらいできるのか? ()()かしらね?」

「聖女カロテラについては、ある程度の情報は入手できたのでは?」

「聖女と言っておきながら実は魔族だったとはね~」

「ええ、そうね。

 確かに聖女が上位魔族だったのは意外だけど、私が知りたいのは聖女としての彼女なのよ。」

「なるほど、聖女としての彼女ですか?」

「そうか、街の人達は聖女が魔族だとは知らない?」

「ええ、そうね。

 それにカラスクイーンアテナについては、まだまだ知らないことばかりだからね。 少しでも()()()()()情報が入手できればいいな、ってな感じでね?」

「聖女と女王…街の住人たちが知ってる情報…ですか…」

「なるほど、知りたいのは街の住人のあの二人に対する印象……ですか?」

「ええ、そうね。 ()()()()()()()

「「「「?」」」」

「………」

「いずれにしても今日は手分けして情報収集作業よ。 マトオは教会に残って待っててね」

「はい、判りました。 マイカさん」

「「「「はい!」」」」


 こうして男のマトオだけを教会に残して、あとのマイカたち女性七人が街に出て、手分けして住人たちに聖女カロテラとカラスクイーンアテナのことについて、何か情報があるか聞き出すことにした。




 私たちが街に出て、住人たちから色んな話が聞けた。


 もっとも、そのほとんどが聖女カロテラとカラスクイーンアテナの称賛と敬意の言葉だった。 でも中には興味深い話も聞けた。 実はカラスクイーンアテナが一体何者なのか、ほとんどの住人は知らなかった。 自分たちの主たる彼女の事をほとんどの人が何も知らされていない形となる。 次に聖女カロテラの名前は聞いたことはあるけれど、実際に姿を見た者はほとんどいないらしい。 それと夜はほとんど外出しないらしく、あの聖女カロテラと上位魔族トウが深夜交戦していることも、ほとんどの住人は知らなかったらしい。 結構、凄い音…出してるけどね。 それからこんな話も聞けた。 実はカラスクイーンアテナは "人間ではない?" と。 これはかなり貴重でツッコんだ発言だったわ。 あの人…無事だといいけど…。 いずれにしても私が知りたい情報が入手できたわね。




 夕方頃になると、私たちはまた教会へ戻った。

 教会ではマトオが静かに待っていた。

 そこでみんなが集めた話を総合すると、

 ほとんどの住人が何も知らない聖女カロテラとカラスクイーンアテナを称賛・尊敬していた。 しかし、彼女たちがこの国で一体何をしたのか、どれほどの功績・貢献度かよく解っていない。 結構、いい加減な住人たちね。 それとももしかして…()()()()―――


「―――ってなワケよ…」

「なるほど、そうでしたか…」

「彼女は一体なんなのか、現時点では解らなかったわね。」

「残念だけど、もう少し聞いた方がいいと思うのよ。」

「なるほど、確かにそうですね」


 それに今日一日だけでは、この街の住人全員に聞き出すことはできないわね。 街の半分ってところかしら? これはもう一泊教会に宿泊して、明日もう一日…もう半分に聞き込みした方がいいかしらね?


 そこでみんなに聞いてみる。


「今日は街の東側を聞いてみたけど、明日は街の西側を手分けして、聞き込みしてみたいんだけど、いいかしら?」

「はい、そうですね」

「これではまだまだ情報が足りませんからね。」

「私ももう一日、聞き込みが必要だと感じます。」

「俺もそれでいいと思います。」

「それじゃあ、決まりね。

 この教会にもう一泊、お世話になろうかしらね?」

「はい、判りました。 マイカさん」

「「「「はい!」」」」


 こうして私たちは明日もう一日、聖女カロテラとカラスクイーンアテナのことについて、この街で聞き込みするため、この教会にもう一泊宿泊することになった。 不自然に誰もいない―――神父もシスターも教会に訪れる者もいない……この異様な教会に―――






 その日の深夜のこと。


 私たちは礼拝堂にある椅子をベッド代わりにして、それぞれ就寝した。 今日は聞き込みで、街のあちこちを歩き回ったので、すぐに深い眠りに落ちた。 私たちは疲れが溜まった分、すぐ熟睡する。 おそらく明日の朝まで、そう簡単には起きないだろう。 一人だけ除いては…。


 ―――眠れん!


 勇者マトオだけは、今日一日ずっと教会で待機していたので、たいして疲れていない。 他の七人よりも眠りに落ちるのが、少しだけ遅い。 その為、この教会の異変にすぐさま気づく。


 なんだ?

 この教会……夜になると、異様な感じになるぞ!

 これは一体……っ!?


 すると、そこで―――


「なるほど、ここか?」


 ―――声?

 しかも、人間の声ではないぞ?


 深夜の教会→礼拝堂の祭壇がある所に、あろうことか、イキナリ…モンスターが出現した。 あのモンスターは―――


「確かに、女がたくさんいるな。

 これなら何も問題ない。 男も一人交じっているようだが……まぁ…問題なかろうて」


 何っ!?

 何を言っている!?


 マトオが声のする祭壇の方へ首を向けようとするけど、何故か首が動かない?


 なんだと、か……金縛り……だと!?


 眠りが浅かったからなのか、それとも心霊現象でよくある()()なのか、それはよく解らないけど、マトオの身体が動かないぞ。 あと他の七人の女性もよく熟睡していて、この異常事態に気づいていない?


「男は要らん!

 必要なのは、女のみ!

 この七人の女は…ワシが貰っていくぞ!」

「!!?」


 なんだと、必要なのは……女だけっ!?

 まさか…マイカさんたちを何処(どこ)かに連れていくつもりなのかっ!?


 昨夜に続いて、今夜も大ピンチ!

 マイカたちは熟睡していて、起きない。

 唯一起きていたマトオも金縛りで動けない。

 そのモンスターがマイカたちを何処(どこ)かへ連れ去ろうとしている。 今回も人知れず、最強無双のマイカ、大ピンチである。


 しかし、やっぱりピンチのあとにチャンスあり。 今夜もまた()が駆けつけてくれたぞ!


「久しぶりだな。

 魔悪死ホワイト使いよ」

「何ィィィッ!!?」


 そのモンスターが極限まで驚愕して、その声がした方を見てみると、()()()()()のは、()()勇者ポグルスだった。


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