85、遂に黒幕登場
●【No.085】●
ここは "バイオメドリグス" の国の "SMエロスの町" にて。
その街中に勇者マイカたち『ブラックファントム』がいて、勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』がいて、巨大昆虫カマキリモンスター【デスキラー・シャ】がいて、上位魔族トウがいて、『聖女』カロテラがいる状態。
先程までは勇者マイカと『聖女』カロテラが対決していた。 ただカロテラはマイカに強烈な二撃を喰らってしまい、たまらずノックアウト・気絶している。 カロテラがまた立ち上がるまで待ってるけど、それとは別に他の「何か」を待ってるみたいね。 もしかすると「奴」が現れるかもしれないからね。 そう…彼女は「そいつ」が来るのを待っている。
しばらくすると、カロテラがまた立ち上がる。 若干ヨロヨロのボロボロだけど、なんとか立ち上がる。 だけど…まだやる気みたいね。 目が死んでないし、私のことを思いきり睨みつけてる。
「あら、まだやる気?」
「あ…当たり前だ…!
お…お前なんぞにやられるか!」
「あら、そう…」
「行くぞ!」
タッ!
カロテラが地面を蹴って、もの凄いスピードで私の目の前に近づき、槍で私のことを刺し貫こうとする。 もの凄い勢いの連続攻撃だけど、私は軽くいなして避ける。 私の回避率が尋常じゃないため、彼女の連撃を上回る。 それでも彼女が槍の突きに集中して、高速で突きの連続攻撃をして、なんとか私のことを刺し貫こうとする。 結構頑張るわね。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
「クソッ、何故当たらない?」
「遅い! 遅いわよ!」
「な、何ぃっ!?」
「あんたのことじゃないわ!」
サッ、ズドォン!
思わず私が前蹴りをして、カロテラの鳩尾に素早く命中させる。 彼女がお腹を押さえて、前のめりに倒れそうになるけど―――
「うがぁっ!?」
「くっ!」
倒れる隙すら与えず、私が彼女の背後に素早く回り込んで、そのまま私の鋭い右膝を彼女の背中に叩き込む。 今度は彼女の身体がのけ反る。
ササッ、ズガァッ!
「ぐあぁっ!?」
「遅い! 遅すぎる!」
もろに喰らったカロテラがこのまま前のめりに倒れ込む。 勿論、まだ死んでいないけど、かなり痛いと思う。 その場で倒れ込む彼女を見て、いよいよ私も我慢の限界を超えた。 そして、遂に怒鳴る。
「いい加減に姿を見せなさい!
一体いつまで待たせるつもりですか!
カラスクイィーーンアテナァァァーーーッ!!」
「…………」
スゥーーッ!
私の大声に応えたのか、遂にあのカラスクイーンアテナが、その姿を現す。 女王は私たちのいる場所とは反対側の少し離れた場所に静かに佇む。 ようやく現れたわね、一体いつまで待たせるつもりよ! このヤロウめが!
今度は私とカラスクイーンアテナが睨み合う。 ここで勇者マイカとカラスクイーンアテナの対面・対峙が成功する。
「ようやく現れたわね!」
「………」
カラスクイーンアテナが私の足下に倒れているカロテラの方を見る。 それを見た私がカロテラをカラスクイーンアテナの方に蹴り飛ばす。 丁度カラスクイーンアテナの足下にカロテラがうつ伏せで倒れる。
バキッ、ドサッ!
「………」
「返すわ。
あなたさえ現れたら、そんな奴…興味ないからね…」
「何故……?」
「え……?」
「何故…返す?
人質にでもすれば、お前の有利になるはず…」
「あら、私って…そんなに極悪非道なのかしら?
私はね、あなたに会いに来たの。
あなたがもたもたしてるから、彼女が痛い思いをしたわけ。
あなたが出てきたなら、もういらないわ」
「自業自得だ…」
「あら、つれないわね…」
「私は再三忠告した。
お前の今の実力では、勇者マイカに勝てない…と。
勇者マイカが現れた途端、私の忠告を無視して飛び出していき、挙げ句はこのザマ。 自業自得としか言いようがない…」
「それは…彼女が "たかが人間ごときに負けないはず" と思ってるからでしょう? あなたの洗脳で…」
「………」
「そうそう、あなたに聞きたいことがあるの」
「………」
「どうして悪魔神を復活させようとしてるの?」
「………」
「あら、言いたくないかしら?」
「……私は悪魔神ヴォグゲロルス様の部下で幹部だからだ…」
「あら、そうなのね」
「そう…悪魔神ヴォグゲロルス様復活は私の大業にして待望……。 そのためだけに生きてきた。 だから、お前たちのいう正義だとか平和だとか世界だとか命だとかこの世だとかあの世だとか、そういう事には一切関係ない。 私は万が一でも、ヴォグゲロルス様が封印された時のために生み出されたヴォグゲロルス様の命と力の一部にすぎない……。 だから、いかなる方法・手段を用いても…必ず悪魔神を復活させる!」
「なるほど、そういうことね。
よくわかったわ。 つまり、あなたを倒せば…とりあえず悪魔神の復活は阻止できるワケね…」
「……私を倒すというのか……?」
「必要とあれば……ね!」
「残念ながら、そうはさせない!」*
「それは…あなたが逆に私を倒すということなのかしら?」
「否、違う……」*
「……?」
「うっ……くっ……」
ここでようやくカロテラがフラフラになりながら起き上がり立ち上がる。 そして、すぐ目の前にカラスクイーンアテナがいることに気づく。
「カラスクイーンアテナ様!」
「納得したか…?」
「え……?」
「言ったはずだ!
今のお前では何度やって、勇者マイカには勝てない!」
「ちょっと待ってくださいよ!
私はまだ負けていません!」
「悪いけど、もうお前の戯言など聞かん!」
「何ぃっ!?」
「……!」
ここで私が「ある事」に気づく。
「今回はお前を回収しに来ただけ。
あの女とは、もう関わるな!」
「なんだとっ!?」
「……!」
ここでも私は「ある事」に気づく。
「では…さらばだ!
もう会うこともない!」
「ちょっと待てぇ!
私はまだ負けてない!
私はまだ―――」
「……」
シュッ!
カロテラが必死に抵抗するけど、カラスクイーンアテナの能力なのか、抵抗虚しくカラスクイーンアテナと共にカロテラの姿も消えた。 それを黙って見逃す私。
だけど…アレだけは見逃さなかったわ。 この私と戦えず、無様に負けたまま立ち去ることに不満があるようね。 まさか…洗脳されてもプライドだけは残ってたの? アレは明らかにカラスクイーンアテナに対して反抗的な態度だった。
いよいよ洗脳が解け始めてきたかしら……『聖女』よ?
*[別に勇者マイカと戦う必要はないです。 要はずっと逃げ回ればいいだけのことです。 わざわざ私の分身を行かせて良かったですわ]
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┃今回のは作戦ではない!
さ…作戦よ…作戦…!
これは作戦なのよ!
・・・・・・
なんとか言ったらどうなの!
・・・アドリブ・・・
┃くっ!
┗━
※《金秋大作戦》とは、一体何なのか?
勇者マイカとカラスクイーンアテナのそれぞれの作戦と思惑が交差・交錯する。




