84、マイカ.VS.カロテラ
●【No.084】●
ここは "バイオメドリグス" の国の "SMエロスの町" にて。
その街中に勇者マイカたち『ブラックファントム』がいて、勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』がいて、巨大昆虫カマキリモンスター【デスキラー・シャ】がいて、上位魔族トウがいて、『聖女』カロテラがいる状態。
遂に私と『聖女』カロテラが対面・対峙する。 私はカロテラのことを捜しており、カロテラも私のことを迎え撃つ準備をしていた。 つまり、この二人は出会うことが必然である。 相変わらずカロテラが私を睨み付ける。 一方の私もカロテラを見て不敵な笑みを浮かべる。 双方向き合いながら話す。
「お前が勇者マイカか…」
「ええ、そうよ。 あなたが聖女カロテラね。」
「ああ、そうだ。 そしてここでお前は終わる。」
「それはつまり、ここで私を倒すと言うわけね。」
「ああ、そうだ。 お前は悪魔神復活に邪魔な存在だからだ。」
「あなたは判っているの? 悪魔神なんて復活させたら、この世は終わりよ? 世界も生命体も文明も歴史も何もかも全て消滅させられるのよ? それでいいの?」
「それがどうした?」
「……」
「まさしく悪魔神が導くべきは『無』。 女神共が築き上げた世界も生命体も文明も歴史も何もかも『無』に染める。 それができるのは…悪魔神のみ。 そして悪魔神を復活できるのは…カラスクイーンアテナのみ。 だから私はあのお方に味方するのだ。」
「あなたも相当イカれているわね。」
「イカれてる?」
「ええ、そうよ。 私はね、悪魔神の復活を阻止するために、この世界に来たんだからしっかりと悪魔神を封印・討伐しないといけないの。 悪いけど、あなたたちの思い通りにはならないわ。 覚悟しなさい!」
「ふん、いいだろう。 やっぱり力がモノを言う時代。
力なき者は力ある者に蹂躙されて滅亡するだけ。 今こそ、力で問いかける。 どちらが正しいのかを!」
「……」
「今こそ、この私の力を見せてやるぞ!
覚悟しろ!」
そう言ってカロテラが槍を持って構える。
カロテラは戦闘準備OKみたいね。
ちなみにカロテラの強さは、先程の上位魔族トウと同レベルの強さなので、果たしてこの程度の実力で私に勝てるかしら?
どうやらここから勇者マイカと『聖女』カロテラの戦闘が開始される。 勇者と『聖女』…女同士の戦いとなる。
カロテラが瞬時に間合いを詰めて、私に槍で突いてくる。 やっぱり彼女は『聖女』ではなく『戦士』だわ。 接近戦に特化した武器を使用して敵に攻撃を仕掛けるなんて、戦士以外にあり得ないわ。 私の急所を狙ってくるけど、その槍を巧みに素早く避ける。
「あ…当たらない…?」
「……」
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
「クソッ!」
確かに、彼女の槍捌きは素早く正確無比。 狙った所へ正確に素早く突いてくる。 見事よ…普通の一般勇者なら、もしかしたらカロテラが勝っていたかも? でも…残念ながら地力の差が露呈したわね。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
「おのれぇーーっ!」
私が巧みに素早く避けるものだから、彼女も突きの速度を上げてきた。 あまり無理しない方がいいけど…。
「くっ、これならどうだ!」
「……」
遂に槍を右手に持って、剣を左手に持った変則二刀流となる。 これだと槍の柄の部分を短く持たないといけなくなり、槍の本来の力が出し切れない。 また利き腕ではない方の手で剣を握っているため、剣の本来の力を出し切れていない。 これは本末転倒である。
シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
明らかに動揺してる?
「何故、当たらない…?」
「……」
先程までは槍の素早く正確無比な鋭い突きだったけど、業を煮やして剣を織り交ぜた攻撃となったところから、槍の鋭さ、素早さ、正確さが欠けてしまい、もう私に当たらなくなる。 また槍の長さが邪魔して、剣の攻撃も当たらずに剣を取り出した意味がなくなる。 私は避けてしゃがむ際に、右肘の鋭い打撃を油断したカロテラのドテッ腹に打ち込む。
サッ、ドゴォッ!
「ぐがぁっ!?」
グラァ、ドサッ!
マトモに喰らったカロテラがお腹を両手で押さえながら、口から液体を出して前のめりに倒れ込む。 全く攻撃に専念していたため、防御が疎かとなった。 その隙をついた形となる。 私は彼女の間合いの外に出る。
「痛そう…」
思わず上位魔族トウが口にする。
実際に喰らったら、かなりキツいかもね。
『……』
それと【デスキラー・シャ】が若干引いている。
あの巨大昆虫モンスターが私の攻撃の凄さをただ黙って見ているのも、なかなか珍しいものよね。
ここまで実力の差を見せつけられ、まだ向かってくるというなら、相当な頑固で負けず嫌いか、ただのバカである。
私は彼女が立ち上がるまで、腕組みしながら黙って待ってる。
しばらくすると、カロテラがお腹を押さえながら、なんとか辛うじて立ち上がった。 私との実力の差を見せつけられ、まだ立ち上がるなんて、どうやら負けず嫌いの方ね。
「くっ…!」
「判ったかしら? 私の実力は?」
「……」
「言っておくけど、まだまだ本気じゃないわよ?」
「……」
「こんなことだって、出来るのよ?」
「…?」
よほど痛かったのか、無口になるカロテラが私に鋭く睨み付けるけど、次の瞬間、私の姿が消えて、一瞬にして、彼女の背後へ瞬間移動する。
【ストリンガー・デスロック】
再び姿を現したと同時に、今度は私が振り向き様に、左肘の打撃を油断したカロテラの背中に鋭く突き刺す様に打ち込む。
フッ、ズゴォッ!
「あがぁっ!?」
ドカァッ、ドサッ!
マトモに喰らって身体が吹き飛び、私たちのいる場所から反対側の民家の壁に激突。 そのまま口から液体を出して仰向けに倒れて気絶する。 今のは完全に油断した。 イキナリ姿が消えて、イキナリ自分の背後に現れるなんて、本当はあってはならないこと。 隙もクソもない。 今度は彼女から私たちの間合いの外に出てくれた。
「マジか…素手でも十分強いじゃないか…」
思わず上位魔族トウが口にする。
あの上位魔族トウも弱音を吐くなんて、やっぱりキツいのね。 私の攻撃…。
『なんでトドメを刺さん?』
それと【デスキラー・シャ】が若干引き気味で私に質問する。
「アイツが出てくるのを待ってるからよ」
『アイツ…?』
「そう…アイツよ…」
『…?』
そう言って私はアイツの出現と彼女が立ち上がるまで、腕組みしながら目を閉じて静かに待ってた。




