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絶望老人が異世界転生をしたら、もう既に最強無双になっている?  作者: 賭博士郎C賢厳
B.バイオメドリグスの国編
91/122

84、マイカ.VS.カロテラ

  ●【No.084】●



 ここは "バイオメドリグス" の国の "SMエロスの町" にて。



 その街中に勇者マイカたち『ブラックファントム』がいて、勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』がいて、巨大昆虫カマキリモンスター【デスキラー・シャ】がいて、上位魔族トウがいて、『聖女』カロテラがいる状態。



 遂に私と『聖女』カロテラが対面・対峙する。 私はカロテラのことを捜しており、カロテラも私のことを迎え撃つ準備をしていた。 つまり、この二人は出会うことが必然である。 相変わらずカロテラが私を(にら)み付ける。 一方の私もカロテラを見て不敵な()みを浮かべる。 双方向き合いながら話す。


「お前が勇者マイカか…」

「ええ、そうよ。 あなたが聖女カロテラね。」

「ああ、そうだ。 そしてここでお前は終わる。」

「それはつまり、ここで私を倒すと言うわけね。」

「ああ、そうだ。 お前は悪魔神復活に邪魔な存在だからだ。」

「あなたは判っているの? 悪魔神なんて復活させたら、この世は終わりよ? 世界も生命体も文明も歴史も何もかも全て消滅させられるのよ? それでいいの?」

「それがどうした?」

「……」

「まさしく悪魔神が導くべきは『無』。 女神共が築き上げた世界も生命体も文明も歴史も何もかも『無』に染める。 それができるのは…悪魔神のみ。 そして悪魔神を復活できるのは…カラスクイーンアテナのみ。 だから私はあのお方に味方するのだ。」

「あなたも相当イカれているわね。」

「イカれてる?」

「ええ、そうよ。 私はね、悪魔神の復活を阻止するために、この世界に来たんだからしっかりと悪魔神を封印・討伐しないといけないの。 悪いけど、あなたたちの思い通りにはならないわ。 覚悟しなさい!」

「ふん、いいだろう。 やっぱり力がモノを言う時代。

 力なき者は力ある者に蹂躙されて滅亡するだけ。 今こそ、力で問いかける。 どちらが正しいのかを!」

「……」

「今こそ、この私の力を見せてやるぞ!

 覚悟しろ!」


 そう言ってカロテラが槍を持って構える。

 カロテラは戦闘準備OKみたいね。

 ちなみにカロテラの強さは、先程の上位魔族トウと同レベルの強さなので、果たしてこの程度の実力で私に勝てるかしら?





 どうやらここから勇者マイカと『聖女』カロテラの戦闘が開始される。 勇者と『聖女』…女同士の戦いとなる。





 カロテラが瞬時に間合いを詰めて、私に槍で突いてくる。 やっぱり彼女は『聖女』ではなく『戦士』だわ。 接近戦に特化した武器を使用して敵に攻撃を仕掛けるなんて、戦士以外にあり得ないわ。 私の急所を狙ってくるけど、その槍を(たく)みに素早く避ける。


「あ…当たらない…?」

「……」


 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!

 ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!


「クソッ!」


 確かに、彼女の槍捌きは素早く正確無比。 狙った所へ正確に素早く突いてくる。 見事よ…普通の一般勇者なら、もしかしたらカロテラが勝っていたかも? でも…残念ながら地力(じりき)の差が露呈したわね。


 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!

 ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!


「おのれぇーーっ!」


 私が(たく)みに素早く避けるものだから、彼女も突きの速度を上げてきた。 あまり無理しない方がいいけど…。


「くっ、これならどうだ!」

「……」


 遂に槍を右手に持って、剣を左手に持った変則二刀流となる。 これだと槍の()の部分を短く持たないといけなくなり、槍の本来の力が()し切れない。 また利き腕ではない方の手で剣を握っているため、剣の本来の力を()し切れていない。 これは本末転倒である。


 シュッ、シュッ、シュッ、シュッ、シュッ!

 ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!


 明らかに動揺してる?


「何故、当たらない…?」

「……」


 先程までは槍の素早く正確無比な鋭い突きだったけど、業を煮やして剣を織り交ぜた攻撃となったところから、槍の鋭さ、素早さ、正確さが欠けてしまい、もう私に当たらなくなる。 また槍の長さが邪魔して、剣の攻撃も当たらずに剣を取り出した意味がなくなる。 私は避けてしゃがむ際に、右肘の鋭い打撃を油断したカロテラのドテッ腹に打ち込む。


 サッ、ドゴォッ!


「ぐがぁっ!?」


 グラァ、ドサッ!


 マトモに喰らったカロテラがお腹を両手で押さえながら、口から液体を()して前のめりに倒れ込む。 全く攻撃に専念していたため、防御が(おろそ)かとなった。 その(スキ)をついた形となる。 私は彼女の間合いの外に出る。


「痛そう…」


 思わず上位魔族トウが口にする。

 実際に喰らったら、かなりキツいかもね。


『……』


 それと【デスキラー・シャ】が若干引いている。

 あの巨大昆虫モンスターが私の攻撃の凄さをただ黙って見ているのも、なかなか珍しいものよね。


 ここまで実力の差を見せつけられ、まだ向かってくるというなら、相当な頑固で負けず嫌いか、ただのバカである。


 私は彼女が立ち上がるまで、腕組みしながら黙って待ってる。






 しばらくすると、カロテラがお腹を押さえながら、なんとか(かろ)うじて立ち上がった。 私との実力の差を見せつけられ、まだ立ち上がるなんて、どうやら負けず嫌いの方ね。


「くっ…!」

「判ったかしら? 私の実力は?」

「……」

「言っておくけど、まだまだ本気じゃないわよ?」

「……」

「こんなことだって、出来るのよ?」

「…?」


 よほど痛かったのか、無口になるカロテラが私に鋭く(にら)み付けるけど、次の瞬間、私の姿が消えて、一瞬にして、彼女の背後へ瞬間移動する。


 【ストリンガー・デスロック】


 再び姿を現したと同時に、今度は私が振り向き(ザマ)に、左肘の打撃を油断したカロテラの背中に鋭く突き刺す(よう)に打ち込む。


 フッ、ズゴォッ!


「あがぁっ!?」


 ドカァッ、ドサッ!


 マトモに喰らって身体が吹き飛び、私たちのいる場所から反対側の民家の壁に激突。 そのまま口から液体を()して仰向(あおむ)けに倒れて気絶する。 今のは完全に油断した。 イキナリ姿が消えて、イキナリ自分の背後に現れるなんて、本当はあってはならないこと。 (スキ)もクソもない。 今度は彼女から私たちの間合いの外に出てくれた。


「マジか…素手でも十分強いじゃないか…」


 思わず上位魔族トウが口にする。

 あの上位魔族トウも弱音を吐くなんて、やっぱりキツいのね。 私の攻撃…。


『なんでトドメを刺さん?』


 それと【デスキラー・シャ】が若干引き気味(ぎみ)で私に質問する。


()()()が出てくるのを待ってるからよ」

()()()…?』

「そう…()()()よ…」

『…?』


 そう言って私は()()()の出現と彼女が立ち上がるまで、腕組みしながら目を閉じて静かに待ってた。


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