79、とにかく今は情報の時代よ
●【No.079】●
勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオ『セックス・ハーレム・ナイトメア』の面々が、あの "バイオメドリグス" の国にいる。 今現在では、薄暗く陰気で小さい街 "SMエロスの町" の中央広場にいた。 兵士たちに連れてこられて、この広場に伏兵を配置されてた。 約300人の兵士がいたけど、全員が悪魔神を復活させたい信仰狂者ではない。 主に隊長や幹部たち10人が残りの290人の兵士に殺害された。
残った290人の兵士が私たちに協力的なのね。 兵士たちが私たちの目の前で跪く。
「それで…あなたたちは私たちに、一体何の協力をしてくれるのかしら?」
「はっ、勇者マイカ様の為なら死も辞さないです。 我々は命を懸ける覚悟です!」
「はっ、我々は勇者マイカ様の為に存分に働いてみせます! 決して後悔させません!」
「それで一体何がお望みでしょうか?」
「ふ~ん、そうねぇ~」
「………」
「さっきも言ったけど、今は情報が欲しいのよ! 情報!」
「じょ…情報…?」
最初に彼らについて、一体何者なのか、それからかしらね?
「そ、あなたたちは何者なの?」
「はっ、我々はカラスクイーンアテナ様の兵士にございます。」
「カラスクイーンアテナ?」
「はっ、カラスクイーンアテナ様とは、この "バイオメドリグス" の国の主にございます。
この国をお造りになられたお方です。」
「ここは王国ってワケではないのね?」
「はっ、カラスクイーンアテナ様は王族ではなく、どちらかというと魔族に近いお方だと認識しております。」
「魔族…?」
「あのカラスナイトクリムゾンとか言う深紅の騎士とかも、そのカラスクイーンアテナってヤツの部下ってことか?」
「はっ、カラスナイトクリムゾン様はカラスクイーンアテナ様の忠実な配下の騎士にございます。」
「………」
「ふ~ん、なるほどねぇ~」
「俺たちを襲った理由はわかるか?」
「はっ、ひとつはカラスクイーンアテナ様の忠実な部下を倒した罪。 もうひとつが『聖女』について色々と聞き回った罪にございます。」
「………」
「なるほど、やっぱりねぇ~」
「何故…そんなに『聖女』について、あれこれ聞き回ることを嫌うのかしら?」
「それは我々にも解りません。」
「やっぱり、知らないか…」
「ちっ、そのカラスクイーンアテナとは、大魔王の一人なのか?」
「いいえ、おそらく違うと思うわ。
彼女は悪魔神復活を掲げる信仰狂者よ。
大魔王は悪魔神復活を阻止したい者たち。 自分の支配欲・自分の存在があっという間に消滅するような危険なヤツを復活させたくないはず。 だから、そのカラスクイーンアテナは大魔王ではないはずよ。」
「はぁ~、なるほどねぇ~」
「だ…確かに…その通り…」
「はっ、その通りでございます。
カラスクイーンアテナ様は大魔王ではありません。」
「そんなカラスクイーンアテナの兵士であるアンタたちが、そのカラスクイーンアテナを裏切っていいの?」
「………」
「おい、何故黙るんだ?」
「………」
「まぁ…その辺りについては、あまり聞かないことにするわ。」
「申し訳ありません。 ありがとうございます。」
やっぱり、まだ主君であるそのカラスクイーンアテナってヤツのことを悪く言うはできない―――
……か。 まぁ…それはいいわ。 彼女のことはどうでもいいわ。 聞きたいのは、そこじゃないしね。
「話を続けるわよ。 私たちが欲しいのは情報よ。 とにかく今は情報の時代よ。
あなたたちには、できるだけ話してもらうわよ。」
「それで…何をお知りに…?」
「もちろん、あの『聖女』についてよ」
「はっ、あの『聖女』の名前は『カロテラ』です。
彼女はとても強く、あのカラスクイーンアテナ様のお気に入りの一人です。 昔から上位魔族トウと対立しており、未だに勝負がついておりません。 つまり、少なくとも上位魔族と互角の勝負ができる程の強さを持っております。 また彼女も悪魔神を復活させたい『聖女』だと思われます。」
「彼女もこの穢れた世界を消滅させたい派なの?」
「自分は『聖女』なので、たとえ悪魔神の力をもってしても、自分だけは消滅させることはできないと思われております。」
「……?」
「ナニソレ?」
「そんなバカな!?」
「あのお方がそう言ってたそうです。」
「ふ~ん、そう…」
「…あり得ない…そんなこと…」
「それで彼女は、今一体何処にいるの?」
「はっ、常にカラスクイーンアテナ様と一緒に居られますので、おそらく今もカラスクイーンアテナ様の所に…」
「なるほど、それで…そのカラスクイーンアテナは、今一体何処にいるの?」
「申し訳ありません。 我々には解らないです。」
「あら、あなたたちの主君の居場所をあなたたちが知らないなんて…?」
「申し訳ありません。 我々は末端の兵士なので…」
「あら、そうなのね。 残念だわ」
「ちっ、そうか…」
「ですが、もしかしたら…上位魔族トウならば、何か知っているかもしれません。」
「その上位魔族トウってヤツについては…?」
「この国を彷徨く大魔王ゼンの部下にございます。 昔から『聖女』カロテラと戦ってきました。 上位なので、かなりの強さを誇っております。 常にカロテラと戦っているので、もしかしたら…そのカロテラの居場所は判っているのでは…?」
「なるほどねぇ~、確かに…その通りかもねぇ~」
「上位魔族トウか…」
「それで…その上位魔族トウは、今一体何処にいるの?」
「申し訳ありません。 我々も解りません。」
「ちっ、やっぱり…か」
「ん~~、そうよねぇ~~」
「でしたらマイカさん。 あの【デスキラー・シャ】に聞いてみてはいかがです。」
「あら、そうね。 それは名案よ。 シャニル」
「では…すぐに【デスキラー・シャ】を呼びましょう。 マイカさん」
「ええ、そうね。 アロトリス」
「……?」
そこで私が空に向かって大声を出した。
「【デスキラー・シャ】!
おいでぇーーっ!」
すると天高くから巨大昆虫カマキリモンスター【デスキラー・シャ】が、もの凄い勢いで広場に降りてくる。
ヒューーッ、ズドォーーン!
『呼んだかマイカ?』
「あなたに聞きたいことがあるの。」
『なんや?』
「「「「ギャァアアアアアアアアアァァァァーーーーーーッ!!?」」」」
「「「きょ…巨大モンスターだぁぁぁーーーーっ!!!」」」
「「殺されるぅぅーーーーっ!!」」
「「誰か助けてぇぇーーーーっ!!」」
突然の巨大昆虫カマキリモンスターの来訪に、さすがの兵士たちも驚愕・動揺して取り乱す。 まぁ…当然の事ながら、こんな凄いモンスター…一般の兵士たちが倒せるはずもない。 また【デスキラー・シャ】も騒ぐ兵士たちを無視して、私に語りかける。 私も騒ぐ兵士たちを無視する。 面倒臭いので…。
『それで何が知りたいんや?』
「あなたは上位魔族トウの居場所を知っているかしら?」
『ああ、アイツなら…あそこや』
そこで【デスキラー・シャ】が前足のカマを空に向けた。
「………」
なんと全裸の女性が空に浮いていた。
『アイツが上位魔族トウや』
「………」
ここで遂に上位魔族トウと勇者マイカが対峙・対面することになる。




