71、死の女神タナトスの暗躍
●【No.071】●
貴族伯爵カシオスト卿のクーデターを未然に防いだ活躍・功績により、勇者マイカたち『ブラックファントム』と勇者マトオたち『セックス・ハーレム・ナイトメア』の混成チームは多額の報酬金を手に入れた。 また大型船も入手できることになる。
近い将来、必要となる船。
その船の入手を確実なものにした。 ちなみに船の所有権は基本的にマイカにある。 マトオたちはマイカたちと一緒にいる間は大型船に乗船することはできるけど、マイカたちと離れると大型船には乗船できない。 つまり、マトオたちは新たに船を手に入れるか、連絡船に乗るか、でしか大陸間を移動できない。 でもまあ、しばらくの間はマイカたちと同行するつもりなので、その心配はないか?
それと冒険者ランクも上がる。
国王の権限により、男爵の地位の維持と冒険者ランクCが与えられる。
◎『ブラックファントム』
勇者マイカ :爵位→男爵
冒険者ランクD→C
戦士ラグレテス :爵位→男爵
冒険者ランクD→C
神官アロトリス :爵位→男爵
冒険者ランクD→C
大魔女シャニル :爵位→男爵
冒険者ランクD→C
◎『セックス・ハーレム・ナイトメア』
勇者マトオ :爵位→男爵
冒険者ランクE→C
戦士ハーリル :爵位→男爵
冒険者ランクE→C
僧侶ルシティーク :爵位→男爵
冒険者ランクE→C
魔法使いエミリアス:爵位→男爵
冒険者ランクE→C
冒険者ランクについて、少し説明する。
冒険者ランクは六つあって、S・A・B・C・D・Eとなってる。
いわゆる冒険者の階級であり、E→D→C→B→A→Sの順番で強く偉くなる。
そのほとんどが "ギルド冒険商" や国王からの仕事の依頼・魔族の討伐などで活躍して、見事に達成すると、その功績でランクが上がる。 特に冒険者ランクがC以上になると、相当な実力者と認定される。 ほとんどの冒険者がランクC以上になることを目指してる。
今回のマイカたちは、もはや冒険者ランクC以上の働きを見せて、十二分に活躍したので、ランクが一気にCまでハネ上がるのは、むしろ妥当である。
王様との謁見はまだまだ続き、今夜はアリスノヴァイン王国の王宮内にある各個室 (一人一部屋ずつ) に宿泊するマイカやマトオたち八人。 もちろんクーデターが起きた後なので、一応は護衛も兼ねての宿泊である。 それから数日間休んでから出発する予定だ。
ここは『邪惚教都』の地下の広い空間。
そこに神光聖者ミラドリルスがうつ伏せで倒れてる。 まだ意識があるのか? だが身体は動かない? この神光聖者ミラドリルスはマイカやマトオたちに敗北した『聖女』である。 自分は神光聖者という天使であり、『聖女』でもあった。 そんな自分が勇者とはいえ、たかが人間の女ごときに敗北したのだ。 その屈辱感は計り知れない。
「うっ…うっ…うっ…ぐっ…」
苦痛に歪む顔と今にも消えそうな声。
まさに死ぬ一歩手前って感じだ。
ズルズル…ズルズル…ズルズル…
「こ、この私が人間などに敗北したというのですか? この神光聖者ミラドリルスが…たかが人間の小娘ごときに敗北したと……? そんなバカな……? 絶対にあり得ません。 こ、この私が…この私が…」
うつ伏せで這いずっている。
もはや立つことも出来ないようで、相当弱っていると思われる。
「こ、このままでは終わらせない。
必ず…あの人間たちに一泡吹かせてやります。 その為にも…私がこのまま死ぬわけにはいきません。 もう一度だけチャンスを…この私に復讐の機会を…悪魔神ヴォグゲロルス様ぁ…お、お願いします…」
ズルズル…ズルズル…ズルズル…
「ぐっ…必ず…あの女に一泡吹かせて……やる―――」
一体何処へ向かっているのか?
動けない身体を這いずって、どんどんと暗闇の中に向かっている。
すると、そこに謎の声がする。
「それは無理です。
あなたはもう終わりですから。」
「!?」
驚く神光聖者ミラドリルスがうつ伏せのまま顔だけ上げる。 なんと目の前にいたのが…あの死の女神タナトスである。 この死の女神タナトスとは、あの勇者マイカをこの世界に転生させた女神であり、今までは一切干渉しなかったけど、ここでようやく再登場した。
「お、お前は…?」
「死の女神タナトスです」
「!?」
「まさか…あのマイカさんたちに、ここまでコテンパンにやられたはずなのに、まだ生きていたとは、さすがにしぶといですね? 神光聖者ミラドリルスさん」
「まさか…死の女神タナトスが直々に現れるとは…? この私もいよいよ終わりか…?」
「さぁー! もうあなたの役目も終わりですよぉー!」
「な、なにぃ~?」
ピカァッ!
「うわぁっ!?」
「……」
「や、やめ―――」
「……」
ピキピキピキピキピキ―――
ここで死の女神タナトスの目が妖しく赤く光り、神光聖者ミラドリルスの身体が石化する。 足からどんどんと石になっていき、あっという間にうつ伏せで這いずった状態で石になった。 マイカたちの戦闘で大ダメージを受けた上に、死の女神タナトスの石化攻撃を受けては、さすがの神光聖者ミラドリルスといえども、ひとたまりもない。 それからどんどんと石畳みの床と一体化する。
ドォーーン!
これで『邪惚教都』の地下深くに石化封印された。
「これで神光聖者ミラドリルスの一件は片付きました。 マイカさんたちが背後から突かれる心配もないでしょう。 彼女たちの邪魔は私が取り除きます。」
そう言うと死の女神タナトスが音も立てずに、その場から消えた。 その女神が一体何処へ行ったのか誰も知らない。
そして、死の女神タナトスのいた所の背後の暗闇から謎の男が一人だけ佇んでいた。 まるで心霊写真のように―――この男は一体何者なのか・・・?
死の女神タナトスを前にして、神光聖者ミラドリルス、遂に堕ちる。
【不覚―――無念】
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